表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/339

三令嬢 マチルダ・オテーヌ エリーザ・ラバーナ アン・ロマーナ

 私は教室の扉を開ける。中にはマチルダ、エリーザ、アンの三人の令嬢が待ち受けている。マチルダが先頭に立ち、その左側にいるエリーザいる。二人は高圧的に見える。アン様は俯いていて興味がなさそうである。


「失礼します、マチルダ様。ユリア様のことで話があると伺い参りました」


「あらアンドゥー。来ないかと思ったわ。でなければ、私の衛兵を差し向けてたわよ」


「はぁ」


「冗談よ。私が野蛮なことするわけないでしょ。ねぇ、そうよね? エリーザさん」


「そうよ。マチルダさんは、あなたの緊張を解いてあげようとしているのよ。彼女の気遣いを察してあげることも出来ないの? だから……」


「それ以上は止めて差し上げたら? かわいそうよ」


「そうですわね」


「ところで。ユリアさんに何をしたのかしら? あの臭い小屋に行くなんて有り得ないわ。あのユリアさんがよ。認めたくはないけど学年一の才女よ。考えたら馬鹿でも理解できるわ」


「私には心当たりはありません」


「嘘を言っては駄目よ。私は心配しているの。彼女が帰ってきた時、私は側に近づいて臭いが染みついてないか確認したのよ。さすが、メリーチ家の令嬢だわ。彼女に漂う気品が、それを寄せつけなったのね。残念……なんでも無いわ」


「本当に何もしておりません」


「ふざけるんじゃないわよ! 私を誰だと思っているの。私は、あの大嫌……いや、お慕いしてるユリアさんを幼少から見続けてきたのよ。その表情、しぐさ、立ち振る舞いをね」


「決して、ふざけてなんかいません」


「冷静さを欠いてしまったわ。私は見逃さなかったわよ。小屋から帰ってきたときの彼女の表情をね。口角が僅かに下がっていたのよ。あの鉄仮面女がよ。あら失礼」


「ずっと見続けてるだけありますわ、マチルダさん。流石です」


「えぇ、そうかしら?」


「はぁ、そうなんですか。でも、本当に心当たりがありません」


「嘘は吐いてなさそうね。では、話をかえましょう。彼女は何をしに来たのかしら?」


「用があるとのことでした」


「その用とは何? 差し支えなければ教えて頂けないかしら?」


 彼女が何かを探っているのは明らかだ。しかし、それは徒労である。これ以上、彼女に付きまとわれても困る。私は、はぐらかせると不味いと考える。私は彼女に明日の放課後も呼び出されそうな勢いである。彼女なら、やりかねないと思う。今日で終わらせなくては、私は三人で帰れなくなってしまうので話すことにする。


「今日の迎えは不要とのことでした」


「それだけ?」


「はい、そうです」


「彼女に変った様子は?」


「いえ、特にありませんでした」


「他に何か言わなかったのかしら?」


「友人を紹介して欲しいと言われました」


「友人ねぇ、わかったわ。もう帰っていいわよ」


「失礼します」


 私は彼女たちに一礼して部屋を後にする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ