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思わぬ遭遇 エリーザ・ラバーナ

 休日、朝からアルフォンソに叩き起こされた。昨日遅く、御主人様から午後に来客があるとのことで、私にそれ用の食材の買い出しに行ってこいと命令された。


 渋々それに従い、幌付きの荷馬車で向っている。場所を聞いたのだが、それくらい目で見れば分かるだろと怒鳴られた。さらに気分が悪くなった。


 私は街に入るが場所が分からない。それで、周囲を見回しながら店を探している。それでも、中々見つけることがが出来ない。私は首が疲れてきている。人の行き来は疎らである。


 それを続けていると、ふと路地に目がとまる。二人の男が声を荒げている。馬上からその先に目をやると女性が見える。どんな人だろうと目を凝らせてみる。


 その人は、エリーザに似た人である。


 そう思うしかない。彼女のような身分の人が馬車や護衛も付けずに、この様な場所にいるなんて到底考えられない。それは彼女を知っている誰もが思うはずである。


 その女性と目が合うが、どう見てもエリーザにしか見えない。世の中には似た人がいる者だと思う。


 私は急いで馬を降りて近づく。気配を察知したのか男の一人が振り返る。


「何だ! お前」


「アンドゥー」


 その声には聞き覚えがある。間違いなく、それはエリーザの声だ。しかし、なぜこんな所に一人でいるのだろうかが理解できないでいる。


「お前、この女の彼氏か?」


「違いますけど」

「そんなわけ無いでしょ!!」


「今まで、一言も喋らなかったのに元気じゃないか」


「ところでお前は一体誰なんだよ! 知り合いか?」


 一人は体格はよく身長も私より高いが、もう一人は小太りで低い。後者の方がより高圧的である。どちらも30代くらいだろうか。武器になるような物は所持していないようであるが、用心に越したことはない。


「私は使用人です。知り合いかと言われれば……違うとおもいますけど」


「おい! どっちなんだよ!! お前、俺らのこと馬鹿にしてるのか?」


「この嬢ちゃんとの関係は?」


「知ってる程度です」


 小さい男が激昂して、もう一人の男の背中を殴っている。彼らの力関係を窺い知る事が出来る。


「お前のせいで殴られたじゃないか! どうしてくれるんだ」


「ところで一体何をしてるんですか?」


「ちょっと金を借りようと思ってな」


「お貸しになるんですか?」


 彼女の名前は敢えて出さないそうにする。後に彼女に何かあっては困る。


「貸すわけないでしょ! アンドゥー」


 こちらは気を遣っているのに、彼女は察してくれていない。


「お前やっぱり知り合いじゃねえか! おい!」


「何のために面倒見てやってると思うんだ。このガキを黙らせろ!」


 すると、大柄の男は地面に落ちている大きな石を拾い向かってくる。私は素早く駆けだし男の振り上げた手首を掴み鳩尾みぞおちと思いっきり突く。


 男の握っていた石は彼の足に直撃する。すると、右足を押さえて悶絶している。どうやら私の突きより、そこが痛いらしい。


 すると、もう一人の男はエリーザの腕を掴み引きずっている。彼女は思いっきり引かれて、膝から倒れ込む。


 それでも、男は止めようとしない。私は怒りが込み上げてきて、男の脇腹を蹴り上げる。すると、男は木造の壁に頭を打ちつける。男達は立ち上がろうしている。


「お前、許さないからな」


「加減しないぞ! それに人に頼んで王都警備隊に連絡してもらった。もうすぐ来るぞ!」


 男達は顔が青ざめて、お互いを支え合いなから逃げていく。彼女の身が第一であるので、私は深追せずとどまる。

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