停学処分を受ける令嬢 エリーザ・ラバーナ
私はそこを出ると競技委員会にマチルダのことを告げたが、取り合ってもらえなかった。
先に帰るようローレンスには伝えていたが、彼は待っていてくれた。私たちは会場を出ると校門に向かう。そこを見回すが、ユリアの馬車は確認できない。
当然のことだと思い、彼と途中まで帰ることにする。
「何をしてたんだい?」
「ちょっと……」
「深く聞かない事にするよ。しかし、エリーザ様は無理矢理やらされていたなんてね」
「僕も知らなかったよ。でも悔しくはないのかい?」
「そうじゃないと言えば嘘になる。あのことが、僕がさらに強くなる決意させてくれたと考えることにするよ」
「君は優しくて前向きだね」
「アンドゥーもそうじゃないかい?」
「……そんなことないさ」
彼の顔を見つめてみるが、嘘の無く真っ直ぐ突き進もうとする表情をしているように見える。私は、そんな彼を凄いと思う。
「そうだ! 優勝おめでとう。すっかりあの件で言いそびれてしまったよ」
「ありがとう、アンドゥー」
「お祝いしないとね」
「気を遣わなくても良いよ。親友だろ」
「そうだからこそじゃないかい! 嫌かい?」
「もちろん嬉しいよ」
「クリスティーナも誘ってみよう?」
「そうだね」
私たちは別れを告げる。
私は屋敷での仕事を一通り終えると、ヨハンさんに剣術の稽古を申し出る。自ら申し出ることは無いので驚いていたが、向上心を持つことは良いことだと喜んでくれている。
私自身も、そのような感情が湧いてくるとは思いもかけないことだ。確実に、ローレンス達の試合を見せられて触発されている。
彼に先手を取られては、こちらに勝ち目は無いので積極的に攻撃を仕掛ける。それは、ことごとく捌かれる。
私は攻撃の疲れが見えてきて、その手が緩んでしまう。その瞬間、彼が突いてきたが重心を落とし踏み込む。
そして、一気に前へ出る。目を逸らさず突きに出る私の伸ばした剣は、すんでの所であったが届かない。その次の瞬間に肩口に痛みを感じた。
今までで、一番の会心の攻撃であったが一歩及ばなかった。彼は攻撃が当たるのも時間の問題じゃないかと称えてくれたが、まだ何とも表現しがたい壁を感じている。
数日後、学院に登校すると掲示板に生徒が群がっている。私は気にせず教室へ入ることにする。
「エリーザ様、出席停止処分だってよ」
私はその言葉に耳を疑う。私の委員会への抗議は、門前払いにされたのである。私は、その生徒達が去った後近づく。
一年上級魔法コース エリーザ=ラバーナ
学院規則の学院生の品位を損ねる行為により、二週間の出席停止処分とする。
と記載されている。
私には何が起こったのか理解できないでいる。




