学院一決定戦 決着 ローレンスvs エドワード
試合開始前、大会運営委員長より対戦の詳細が発表された。対戦方式の決定で、かなり難航したようである。
まず、生徒同士で対戦が行われ、その勝者が国家剣術最高師範と対戦するとのことである。生徒間では決着がつかない場合は、延長戦が行われるとのことである。
その勝者と国家剣術最高師範との試合は、延長戦は行われない。決着がつかない場合は、引き分けとなるとのことであった。
試合の剣については、刀身が切れないように施された実際の剣に近い模造刀が使用されるという。
休憩時間が終わると、学院音楽隊により学院歌の吹奏が始まり、選手の二人が入場してくると場内は大きな歓声に包まれる。
選手が競技場の中央に止まると、選手紹介がなされる。まず最初にエドワードから紹介されると、会場が割れんばかりの歓声と拍手が送られている。
続いてローレンスの紹介がなされるが、やはり彼を応援するのは初級コースの者が主なのである。エドワードのそれと比べると劣るが、私は腹の底から声を出し彼に声援を送る。
観客の大部分の人は、エドワードの勝ちを疑ってないようである。
彼らは握手をして定位置につくと互いに礼をする。すると、審判が試合開始の合図をした。
両者は、剣先を合わせ牽制し合っている。そうしながら間合いを一方が詰めようとすると、片方が引いて距離を保とうとしている。
最初に仕掛けたのは、エドワードだ。ローレンスの剣を弾き、彼の間合いに一気に詰めて攻撃を仕掛けるが、剣と体をうまく使いローレンスがかわす。
振り下ろしたり突いたり、下から振り上げたりと多彩な攻撃を見せ彼を翻弄しようとしているが、しっかりと見極められている。
その後も、休むことなく三十回ほど打ち続けている。
しかし、ローレンスはその連続攻撃に後退を余儀なくされている。エドワードの突きが彼を捉えるかと思われたが、彼は剣で弾きそれを回避する。
エドワードの動きが、これにより一瞬止まる。彼は見逃さず、今度は攻撃にうってでる。
ローレンスは彼に緩急をつけながら突き続ける。しかし、エドワードは、その場から一歩も動くことなく体をうまく使って華麗に避けている。
すると、ローレンスは腰を落とし重心を低くする。体全身を使って一気に突き出した。
これにはエドワードもたまらず数歩後退し、剣でそれを払う。
会場は、ため息と歓声が入り交じっている。片時も目を離すことができず、剣筋を追うのが難しい。剣同士がぶつかるごとに火花が散っている。
凄まじい攻防が繰り広げられいる中、試合終了の合図がなられる。会場からは自然と拍手が沸き起こる。
審判が両者に休憩を挟むか確認するが、両者ともそのまま続行を希望すると歓声が上がった。
すぐに審判により再開され、二人は見合っている。すると、私は競技場を光が、あちらこちらに瞬時に移動しているのに気付く。
対戦から目を離すことはできないが、気になったので周囲を見渡してみる。私の視界では異常はないようなので、振り返ってみるとその理由が分かった。
マチルダが手鏡を競技場にむけて、小刻みに動かしている。私は彼女の意図を瞬時に理解し立ち上がる。彼女の元へ向かおうとするが、警備兵に止められる。
私が説明すると、監視兵は偶然だろうと一蹴する。私は食い下がり、彼女を指さし彼がその方向を見ようとする。しかし、マチルダはそれを素早く隠した。
彼は私の勘違いだと言う。これ以上続けると、会場から出って行ってもらうことになるという。なので席に戻らざるを得ない。
振り返ろうとしたとき、ユリアと目が合った。彼女はマチルダと離れた所に座っている。
私は席に戻り、二人の熱戦を見守る。エドワードが、ローレンスの攻撃を受けきり攻撃に転じる。
彼は先程のお返しとばかり突き続ける。その剣筋は早く、彼の体を正確に捉えている。ローレンスも負けじと、その素早い攻撃を目で捉え、剣でうまく捌いている。
エドワードは速度を落とし揺さぶりをかけ、彼の受けの仕損じを誘おうとしている。すると、エドワードの体が流れる。
ローレンスはすかさず、突きに転じようとしている。その時彼の顔に光が当てられる。彼は一瞬目を閉じるが攻撃は止めなかった。
彼の突きは、エドワードの左頬をすりぬける。体勢を持ち直したエドワードが、ローレンスの右横腹を打ちつける。すると、彼は片膝をついた。
会場は一瞬静寂に包まれる。その時、私の後方で何かの割れる音がしたが、それは観衆の大歓声に打ち消される。
審判によりエドワードの勝利が告げられた。その歓声は、さらに大きくなる。
ローレンスは、剣を地面に突き立てうなだれている。エドワードが、彼の元へ行き手を差し伸べる。ローレンスは、その手を握り立ち上がる。
会場からは両者の健闘に盛大は拍手が送られている。私は振り返ると、マチルダの前にユリアが立っている。その横に座っていたエリーザが立ち上がっている。彼女は狼狽えている。
私の体は熱くなり、怒りがこみ上げてくる。私は拳を力一杯握りしめると、それを太股に思いっきり打ちつけた。




