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意外な展開 ローレンス

 私たちはクリスティーナと合流し食堂へと向かい、昼食をとっている。


「ローレンス、調子はどうだい?」


「……」


「あら、ローレンスどうかしたの?」


「いやごめん、ちょっと考え事をしていたよ。もう一度聞いていいかい?」


「調子はどうかと思って」


「問題ないよ。完璧な仕上がりだよ」


「それは良かった」

「安心したわ、頑張ってね」


 私は、これ以上彼に尋ねる事はしなかったし、彼女もそうだった。私たちは顔をみあわせる。そして、お互い頷いた。


 彼が頼んだのは野菜スープである。いつでもあれば、肉料理を好んで食べている。彼は食べ終わると立ち上がった。


「二人ともすまない。早いけど僕は、このまま選手控え室に行くことにするよ」


 私たちは無言で彼を見送った。




 二人で会場に戻り、しばらくすると中級コースの試合も試合が始まった。試合は淡々と進んでいき優勝者が決まった。先程の上級コースの試合と比べると盛り上がりに欠けていた。


 表彰式後、短時間の休憩を挟んで、下級コースの試合が行われ選手紹介が行われている。ローレンスが入場してきたので、声をかけたが反応はない。


 試合が行われていき、彼は圧倒的な実力差を見せつけ優勝した。全試合開始まもなく決着がついた。


 対戦相手は彼の剣に触れることさえ出来ないほどだった。学年決定戦も同様だった。


 彼は学院史上初の下級コース在籍者の学年優勝者となった。


 下級コースの者からは歓声と拍手が上がったが、上級コースの者は冷ややかだった。中には罵声を浴びせる者までいた。


 表彰式の準備が行われる中、周囲の生徒の声が入ってくる。


 国家剣術最高師範が、この大会に訪れているのは別の理由もあるという。この国最高の兵養成機関である選抜精鋭兵養成学校への入学資格に足るものを品定めに来ている側面もあるというのだ。


 そこに入っても、卒業出来るものは一割を切るという。卒業するのは至難といわれている。


 しかし、たとえ卒業できなくても、それなりの地位を与えられる。卒業者は年齢にかかわらず国の直轄軍に所属し、各隊の隊長として指揮することになるという。


 表彰式が行われ、彼にもメダルと剣が授与されている。彼は観客に一礼すると会場を出て、そのまま私の隣に座る。


「おめでとう、ローレンス」


「ありがとう、アンドゥ-」


 私はクリスティーナが彼に手を振っているのを確認していたので、それを彼に伝えると手をふりかえしている。


 しかし、優勝したにもかかわらず彼の声からはそれが感じられない。表情も口元はゆるんでいるが、目がいつも彼が嬉しそうにしてる時のそれとはちがう。


 優勝しなければいけないという重圧からまだ解放されていないのか、上級コースの者たちの彼への態度を思ってのことなのか、判断が付かないでいる。


 彼は、そのようなことを気に留めるような性格ではないので、他に事情があるのかもしれない。


 閉会式を待っていると、大会運営委員長よりお知らせがあるというので聞く。


 その内容とは、エドワードより各学年の優勝者と対戦したいとの申し出があったとのことだ。それだけでも驚くことだが、国家剣術最高師範よりも同様の申し入れがあったというのだ。


 これにより、会場はざわつき始めている。


 しかし、これは想定外の事態であるので、これは強制ではなく受けたくなければ辞退してもよい。


 これにより何らかの処分をうけたり不利になるような扱いをうけることは、一切ないとのことである。


 各学年の優勝者が、競技場に来るよう呼ばれるとローレンスは立ち上がった。彼は笑っている。


「ローレンス、受けるのかい?」


「願ってもない機会だよ」


 彼が向かうと、そこではしばらく協議が行われている。二学年優勝者に、審判長が意思を確認すると彼は辞退する旨を申し出た。


 すると、会場からは溜め息が漏れている。次にローレンスの意思を確認しようとしている。


「頼むから出てくれ」

「無理して出て醜態をさらすことはないぞ。下級コース」

「お前じゃ勝てないぞ」


 様々な言葉が飛び交っている。審判が彼に尋ねた。会場が静まりかえる。


「出場します」


 その言葉に、会場は今日一番の歓声に包まれて地響きがおこっている。


 選手の準備とローレンスの体力回復の時間を挟んで、学院一の剣士を決める試合は行われることになった。

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