クリスティーナとアン
下級科の試合が開始され、クリスティーナは見事に決勝進出を果たした。今まさに決勝戦が行われようとしている。観客からは拍手が送られている。
開始が合図される。互いに牽制し合っている。しばらく膠着状態が続いた後、相手が攻撃を仕掛ける。彼女は素早く躱す。
なおも攻撃は続いているが、彼女は回避しながら距離を詰めている。詠唱を始め魔法を放つが、相手も負けじと応戦する。
二人の魔法が衝突しあってるが、彼女の攻撃が勝り相手の魔法を弾き直撃すると倒れ込む。相手は何とか立ち上がろうとするが、それが出来ないでいる。すると、審判が止めに入りクリスティーナの勝利が告げられる。
会場からの拍手に応え、彼女は御辞儀をしている。そのまま表彰式に移行する。彼女に勝者のメダルが授与される。再び観衆の賛辞に応え、彼女は御辞儀をする。
彼女が私たちを見つけてくれ手を振っている。彼女を見ているとローレンスに肩を叩かれる。彼を見ると、彼女に手を振り返している。そういうことかと思い、私は胸元で小さくてを振り返す。彼女は微笑みかけながら会場を後にして行く。
このあとは各科の優勝者による勝ち抜き戦が行われる。対戦は下級科と中級科の者が対戦し、その勝者とユリアが対戦することになる。
ローレンスと会話をしていると、実行委員会より報告がある。中級科の優勝者が怪我により出場を辞退したとのことである。そんな風に私には見えなかったが、我慢していたのであろうかと思う。
クリスティーナが望んでいたことが実現しようとしている。それは喜ばしいことではある。その反面、私は急に心配になってきている。
ローレンスに大丈夫だろうかと聞いてみる。彼女が望んだことなので、余計なことは考えないで応援してあげようと言われる。
彼の言ってることは、もっともな事である。しかし、彼は彼女の事が心配ではないのかと思ってしまう私がいた。そんなはずはないので、そう思ってしまった自分が嫌になっている。
休憩時間に入ったので、私は手洗いに行くことにする。その途中で、背後から音がするので振り返る。
すると、そこには手押し車に乗せられているアンがいる。どう対応したらよいか、私には分からない。とりあえず、私は彼女に一礼する。彼女は従者に合図をし手押し車を止める。
彼女は私を見つめているだけある。何かをしようとする様子は見られない。しばらく、それが続いている。彼女が従者に合図すると、手押し車が動き出す。
私の横を通過しようとした時、彼女の口元が動く。その声は小さく何を言ってるのか聞き取れない。彼女は、そのまま去って行く。
私は手洗いを済ませると会場に戻る。




