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衝撃の決着! アンの想い

 延長戦が始まる。先程の序盤とは違い、二人とも攻撃する意思が見てとれる。


 この延長戦で決着がつかない場合は、どちらとも序列二位となる。それを意識してのことだろうか。それとも、お互いの実力は把握したといったところなのだろうか。


 それは二人しか知り得ないことである。次元が違いすぎることだけは分かる。


 アンが素早く詠唱を始め、彼女の手のひらに青い球状の光を出現させる。それを上空に向けて思い切り投げ放つ。


 その行方を目で追うと、最高地点まで到達した球体は、上空で無数に分裂し競技場内に降り注いでくる。観客席からは悲鳴があがっている。


 地面に直撃したそれは、もの凄い粉塵をまきあげている。その中から高速で動く光が何十個と微かではあるが確認できる。


 その中で、やり合っているのだろう。しかし、ただでさえ速い上に煙で覆われているため、何が起こっているかを把握するのは困難である。


 しばらくすると視界が開けてくる。これまでに見たことないユリアがいる。


 その端麗な頬から血が滴り落ちている。彼女はその事に気が付いていない。彼女の表情は、いつも通りである。


 一方、アンは少し呼吸が乱れているのが見てとれる。連続して攻撃し続けたのであろう。彼女は鋭い眼光でユリアを見続けている。


 次は、ユリアが攻撃を仕掛けるつもりのようだ。彼女はアンに対して両手を向けて魔法を放つ。


 アンは足元に魔法陣を展開させる。すると、彼女を包むドーム状のシールドが出現する。それは間近に迫っていた魔法を消失させる。

 

 ユリアは連続して、そのドームに手を止めることなく魔法を放ち続けている。もうすでに百発ちかく打ち込んだだろうか。その攻撃は熾烈である。見ている私の目が眩みそうになるほどである。


 すると、アンの出現させたドームに亀裂が走り弾け散る。彼女の目の前には、ユリアの放った次の攻撃魔法が迫っている。その前にシールドを展開させたが、完全に防ぎきれずに遙か後方に吹き飛ばされ、地上に強く打ちつけられる。


 観客からは大歓声があがる。誰もがユリアの勝ちを確信しているようだ。


 しかし、彼女はすぐに起き上がった。すると、ユリアは間髪入れず魔法を放ち続けている。休ませる気はないようだ。アンはシールドを展開させ、その苛烈な攻撃を防ぎきるので精一杯という感じである。


 彼女は再び吹き飛ばされたが、それでも起き上がってきた。直接攻撃が当たったのだろうか、右肩辺りの服が破れいる。そこから微かに煙があがっている。


 その露出した肩は赤く腫れているように見える。


 しかし、ユリアは攻撃の手を止めようとはせず、なおも攻撃を仕掛け続けている。その光景に会場からは、ちらほら悲鳴が聞こえてくる。


 アンは、もう一度吹き飛ばされる。勝負ありかと審判が彼女に駆けよっている。彼が到着する前に、彼女は何かを詠唱しながら起き上がる。観客席からは、歓声と悲鳴が入り交じって聞こえてくる。


 すると、先程彼女が上空に打ち上げて降り注いできた魔法で出来た多数の窪みが光り始める。その光どうしが、つなぎ合わさり競技場内に巨大な魔法陣が出現する。


 その魔法陣の中から無数の青色に光る球体が出現する。すると、ユリアの周りを囲んでいる。その球体は高速で回転し始めた。


 その青く光る球体は、高速回転により集合しあうと姿を現す。


 それは蛇である。それはユリアを中心にして蜷局とぐろを巻いている。


「締め付け屈服させよ青蛇」


 そうアンが叫んだ。すると、それは高速で回転しながらユリアを範囲を狭めながら包み込む。


 会場は静けさで包まれている。観客の視線はその一点に集中している。


 しばらくすると、それは音を立てて飛び散り去った。その舞い落ちる破片の中からユリアの姿がみえる。少し髪が乱れてはいるものの傷付いている様子が、まったく見受けとれない。


 彼女の目はアンを捉えていて、涼しい顔して立っている。


 一方、アンは呼吸がかなり乱れていて、肩で息をしている状態である。立っているのが、やっとという感じである。かなりの魔法力を使い果たしたのだろう。それは誰が見ても明らかである。


 もしかしたら、あの魔法は彼女の全力だったのかもしれない。彼女の目に動揺をうかがい見ることが出来る。その焦点は合っていない。


 すると、ユリアは片膝をつき地面に左手をかざした。彼女の口が微かに動いている。おそらく詠唱しているのであろう。


 それを確認したアンも詠唱をはじめた。彼女の手のひらに青い球体が出現し徐々に大きくなってきている。その足元に魔法陣が現れた。


 それは彼女が出現させたものだと思っていたが、それを見て彼女は驚愕している。すると、ユリアに向かって魔法を放ったが、それは彼女の手元で消失した。彼女は拳を握りしめている。


 その魔法陣は、さらに輝きを増し始めている。そして、赤く輝く光が彼女を包んだ瞬間に、それは地上高く吹き出していく。その高さは想像を遙かに超えている。しばらくすると、それは消失する。


 競技場に目を移すとアンの姿が見えない。会場が騒然とし始めた。私は、どうしたんだろうとローレンスに顔を向ける。彼も私を見が、事情の飲み込めてない表情である。


 あちらこちらで泣き叫ぶ声が聞こえてくる。


「上だ」


 観衆の中の一人が叫んでいる。上を見ると何かが落下してくるのが見える。地上に迫るそれはアンだった。彼女は地上にむけて両手をかざしている。すると、何十層にもなるプロテクトシールドを展開させ、それを突き破って落下してきた。


 かろうじて、残り数層というところでプロテクトシールドが彼女を受け止めた。地上からほんの僅かな距離だった。それが消失して彼女は地面に落ちた。


 勝負は決した誰もが思ったが、なんと立ち上がろうとしている。何とか片膝をついて立ち上がろうとしている。


 そんな彼女にユリアが近づいてくる。周囲がざわつき始めた。(そこまでするのか)という声が微かに聞こえる。彼女の少し前まで行くと、歩みを止めて立ち止まる。


 そのときアンは力を振り絞って立ち上がる。すると、ユリアの手が彼女に向けられる。


 会場からは再び悲鳴がするが、これまでとは比べられない大きさである。


 そして、ユリアの口が動いている。


 アンは彼女に向かって行こうするが、足が地面を擦っている。もう彼女には足を上げる余力はないようだ。ユリアの口の動きが止まる。そのままアンに向かって歩く。


 その瞬間、アンが前方に倒れ込もうとしているのをユリアが抱きとめる。そして、彼女を地面にそっと横にする。


 急いで審判がアンの状態を確認しに来る。そして、ユリアの勝利を告げる。


 すると、ユリアは彼女を抱きかかえ会場を後にする。その光景に会場は静まり返る。

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