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"好き"の気持ち3

 シャルルくんが助けに来てくれた後、私はそのまま気を失ってしまったようだ。


「あの恥ずかしい格好をしていたお姉ちゃんに逃げられちゃった」


 あの恥ずかしい格好をしたお姉ちゃん――セーラー服を崩して着ていた栗栖のことだろう。

 栗栖は、シャルルくんの予期せぬ登場に離脱したらしい。


「ううん、助けられたから、それだけで充分よ。ありがとう、シャルルくん」


「アリスお姉ちゃんに褒められるのって……なんだか嬉しいね」


 照れを隠すように頬をほじるシャルルくん。


 シャルルくんの何気ない言動が愛しいと思うほど心が"好き"で満たされていく。

 好き。大好き。


「な、なにかな、アリスお姉ちゃん!?」


 そう思ったときには、私の手がシャルルくんの頬に触れていた。

 ぷにぷにで柔らかい。女の子でも羨ましく思うほどの柔肌。


「……。…………」


「アリスお姉ちゃん……?」


 私はシャルルくんと何がしたいのだろうか。


 たしかに私は”好き”を知った。

 でも、好きだからといって、なにをしてもいいというわけではない。


 どう行動すればいい。

 どうすれば、シャルルくんに好いてもらえるのか。


 急に「えっちしなことしよっか」なんて口走れば、間違いなくシャルルくんに引かれる。


 ”好き”が崩れるかもしれない。


 好きな人ができても、完全には”好き”を理解できないもどかしさ。


 ”好き”を教えてほしいと願った自分の浅はかな行動がおこがましい。

 そう思うひきこもり姫だった。


「ごめんね。別になんでもないから」


 手を引っ込め、シャルルくんのベッドに横になる。


 しおらしくなったように見えるかもしれないけど、全くもってそんなことはないので安心してほしい。


 自分の思うままにシャルルくんを愛でます、はい。

 あ〜ベッドからシャルルくんのいい匂いがする。くんくんぺろぺろ。


「ね、ねえ、アリスお姉ちゃんを襲った人って、誰なの?」


 シャルルくんが真面目な顔をしているので、自然と惚けていた顔が引き締まる。


「藤宮栗栖。私の妹よ」


「クリスお姉ちゃん……か」


「もしかして私より栗栖の方が好みかしら? 可愛いし、お願いしたらヤラせてくれそうだものね」


「やらせてくれそう? なにを……? ボクはアリスお姉ちゃんが好きだよ。他の女の子は目に入らないくらい。じゃなかったら、アリスお姉ちゃんを王妃にしないもん」


「ふ、ふーん、そう。そうなの」


 嬉しい気持ちを抑えて、なんともないように振る舞う。


 どう対応していいかわからないからこそ、感情を押し殺す。

 素直になれない自分が憎い。


「これからはクリスお姉ちゃんを警戒しておかなきゃね! たぶん狙いはアリスお姉ちゃんだから、ずっとアリスお姉ちゃんの側にいたら……」


「お風呂のときも? トイレのときも?」


「あれ、なんか嬉しそう!?」


 あ、楽しみすぎて声が上ずった!?


「えっと、まあ、嬉しいかしら……」


「素直なアリスお姉ちゃん可愛いね、えへへ」


「な、なによー! 照れさせることを言って。もう抱き枕の刑にしてやるんだから!」


「……!? それはやめとこ? そのボクも反応に困るし、」


「嫌なの……?」


 女の子の秘技、上目遣いを使用する。

 上目遣いは、女の子に免疫がなさそうなシャルルくんには効果抜群だった。


「ええと、うん、いいよ……あ、まっ――んっ……ふにゃ……」


 シャルルくんの甘い鳴き声。


 シャルルくんを押し倒すように抱き締めた。

 そして、逃げられないようぎゅぅっと胸、ふとももを押し当てて、女の子武器を最大限活かしてシャルルくんを私の体の虜にしようと試みる。


 発達前の女の子の体でも、思春期の男の子には毒だろう。


 シャルルくんは、いつまで耐えられるかしら、ぐへへ。

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