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水仙

作者: 季夏一鬼

冬が来て、今年も水仙が咲いた。

冴え冴えと冷えた日曜日の朝、リビングから見える庭で静かに揺れていた。僕は1人、君を思い出す。

「水仙の花言葉って知ってる?」

彼女があの自殺した作家のファンだったかどうかは分からない―彼女はかなりの乱読家だった―それでも彼女の最後の言葉は僕の心に突き刺さって抜けない。別れてもう2年にもなるのに。

「どういうこと?」

彼女はその問いに答えなかった。それが優しさによるものなのか、残酷さによるものなのか、僕にはわからないけれど、きっと言う気はなかったのだろう。薄く笑って彼女は出ていった。たるんだ輪ゴムみたいな昼下がり。彼女のヒールが立てる鋭利な音で、日常はぱちんと弾けた。呆気ない終りだった。


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