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23.一騎打ち

――Junna


 結局、アタシが代表者になるために、クルセイダーのリーダーという立場を利用した。

 ただ、キョウジもついて来るとは言っていた。それに反対するつもりはない。

 流石に、一騎打ちするからと言って、一人でのこのこ行くのは危険すぎる。


 アタシは、同時には使えないが、GungnirもAegisも使える。最強の矛と盾だ。


 ただ。

 最高強度で使える自信はない。その理由を、先ほど初めて知った。アタシのレベルが足りない。でも、同時に、根性で使える可能性があることも知った。共に、最高強度は恐らくLV 7のはず。LV 6強度なら、それなりの確率で使えるはずだ。


 相手が、どの程度の使い手かは分からない。

 でも、Gungnirを防ぐ手段があるとは思えない。当てれば勝てる。……と、思っていた。

 ここでも、そこに不確定要素が加わっている。SHIELD。前から、おかしいとは思っていた。対人での超能力の威力が低すぎる、と。人が、誰しも超能力への耐性を持っているのならば、たとえGungnirといえども、一撃必殺の威力を持っているとは断言できない。

 但し、その話を鵜呑みには出来ない。少なくとも、Gungnirを頭部に当てて、仕留められなかったことはない。恐らく、あの子も、机上の理論で話をしていて、試して確認はしていないんだろう。そういう意味では、SHIELDよりも、RESISTという表現の方が近いと思う。これは、後で提案してみないと。軽減はしてくれるけれど、防いではくれない。恐らく、その認識の方が正しい。でなければ、SHIELDはAegisよりも強い盾になってしまう。でも、それでも、SHIELDという概念を知っているのといないのとでは、戦い方が違ってくる。相手によって、威力が違うという認識でいた方が正解のようだ。


 決戦の場には、3名のCVがいた。一人で待っているわけはないとは思っていたが。


「一騎打ちをするのならば、他の奴は手出しをしない」


 信用できる保証はないが、そう言ってきた。


「一騎打ちでアタシが勝ったら、全員、お国に撤退してくれる?」

「ああ。その代わり、私が勝ったら、Hanumanの回収に手を貸していただこう」


 この国をいただくとかいう条件でなくて助かった。でも、全力で行かせてもらう。


「アタシが代表よ。そちらは貴方?」

「ああ。レディが相手では、少々躊躇いを覚えてしまうが、申し訳ない、――死んでいただく!」


 一応、ネットは組んではいない。流石に卑怯と思ったのと、その情報を渡したくないためだ。


「死ぬのはどちらかしらね?」


 様子見Gungnir。だが、わざと避け易く。開戦の合図としたかったためだ。


「小娘が、Gungnirだと!?生意気な!!」


 相手も、本気ではないエネルギー弾を放ってきた。Aegisで防ぐ。


「……Athene?いや、同時展開できないようだな、別個にGungnirとAegisを使えるか。

 成る程。一騎打ちに送り出してくるだけのことはあるようだ」


 そんなに沢山のソフトは使えない、戦闘のためと言えるソフトはGungnirとAegisしか備えていない。あとは、テレポート用のソフトとかは備えているけれども。

 でも、アタシは、恐らくそんなにPOWERはない。そして、GungnirとAegisは、威力が高い分、消耗も大きい。短期決戦で行かなければならない。


 こっそりサイコワイヤーを展開するが、見られている上に、向こうもサイコワイヤーを展開した。恐らく、こちらがテレポートしたら、向こうもテレポートで回避するだろう。――隙を作らなければ、恐らく当てられない。


 投擲用以外にも、手持ち武器としての使い方も出来るが、そう長く維持は出来ない。

 ただ……POWERという点では、向こうだって無制限に何でも出来るわけではないことは確かだ。数値として分からないのは不安だけれども、数値だけを知っていても基準がまだ分からないのだから、『限界がある』という事実だけ分かれば良い。


 数値として知っていると言っても、実際にそれを効率良く運用できるかというと、そこまでの情報にはなっていないと言える。だから、正直、アドバンテージはそんなに無い。むしろ、GungnirとAegisを使えることの方が、よっぽど大きなアドバンテージだ。

 当てれば殺れる。防げば死なない。

 この2つは、相手も気付いているはずだ、現時点で、アタシが優位だ。


「どうした?攻撃はして来ないのか?」


 ただ……。

 相手は、攻撃と防御を同時に行える。これは、向こうのアドバンテージだ。但し、こちらが用いたのがGungnirの場合、防いでくれるとダメージを与えられるので、防御は紙の如き価値しか持たない。避けられるのが厳しいが、少なくとも、防御に専念するわけにはいかないはずだ。


「こちらは、受けるわけにはいかないのでね。――攻めさせていただく!」


 エネルギー弾の連打。厳しい。タイマンなので、一方からしか飛んで来ないが、油断してAegisの範囲外から当てられると負けだ。SHIELDがあると言っても、果たして、一撃でも耐えられるかどうか……。


 受けながら、徐々に回避も試みる。隙を見て、攻めに転じたい。


「持久戦か、舐めるな!

 威力の高いサイキックで身を護る貴様の方が、不利だと心得よ!」

「分かっちゃいるけどねぇ……」


 なら、攻める隙を与えてよと言いたい。

 正直、サイキックでの戦闘経験はほとんど無い。どの位でPOWER切れになるのかを、体感で分からないのは不安だ。その点で、向こうが経験豊富ならば、警戒したい。だけど、そんなこと、教えてくれるはずもない。仮に分かったところで、対策も無いし。


 手を変える。テレポートで回避しながら、Gungnirを投擲する。攻めなければ、勝てないと判断して。

 同じ場所に、長くは居座らない。すぐに短距離テレポートで移動し、狙いもそこそこに追尾性能があるGungnirを投擲し、次の地点へ。それを繰り返す。Aegisは一旦、引っ込めた。


「小癪な!」


 相手も、テレポートで回避する方針へと変更し、攻撃の手が一旦止まった。

 これを待っていた!

 今度のGungnirは、投擲せず、手に持ったまま、槍というか……剣のように振り回す。当然、相手の動きを予測した上でテレポートで追尾しながら。


 一瞬、嫌な予感がした。ちょっと距離を置いて退避しつつ、Aegisを展開した。


「……舐めるなぁ!!」


 相手も動きを止めて、恐らくは相手の最大火力の攻撃・全方位衝撃波を放ってきた。

 Dragon亜種のサイコソフト、確か、名を”Fufnier ”と言ったか、最初から軍事用にCVが開発したそれの、最も危険な攻撃だ。但し、防がなければ味方もダメージを受けるが。

 はっきり言って、Aegisにとって、弱点とも言えるほど、相性の悪い攻撃だった。衝撃波は、真正面を防いでも、周囲から回り込んでくる。防ぎ切れない。


「ハッ!コレは効くみたいだなぁ!」


 調子に乗ったのか、数発、連打された。


 ……4発目の時だろうか。

 心の中で、ピィンッと音が鳴ったと思ったのと同時に、アタシの意識は遠のいた……。

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