表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/25

16.エルサレム

 都心にある喫茶店、『エルサレム』。

 ……もとい。

 『パフェ専門店・クルセイダー御用達の店』、『エルサレム』。


 着いてすぐに、メニューを見せられて、「どのパフェにする?」と言われて、とりあえず30種ほどもあるパフェのメニュー中からそれぞれ1つずつ選ぶまで待たされた。


「何しろ、脳にエネルギーを必要とするからよ。ちなみに、砂糖の代わりに全てブドウ糖を使ってるんだぜ!」


 僕はコーヒーパフェ、カエデちゃんはフルーツパフェ、エルザさんはトマトパフェだ。

 値段は安い。1つ300円だ。……と思ったら、あまり大きくないパフェが出てきた。


「お代わりは1つ100円な。

 一人三杯は食べる計算で量を調整されてあるから、気にせずお代わりしろ。違うパフェでもお代わりオーケーだぜ」


 チョコレートパフェを豪快に30秒ほどで消費するキョウジ。お代わりはイチゴパフェだ。


「……食わんのか?」

「とりあえず、情報交換を。

 あなたがキョウジさんで、そちらがジュンナさんで間違いないかな?」

「ああ。

 そういや、名前すら聞いてなかったな」

「僕がハヤト。この子がカエデ。そっちがエルザさんです」

「よろしく頼むわ。

 いや、こないだはスマンカッタ」


 あっさりと頭を下げるキョウジ。心の中にあった蟠りが、少し軽くなった。


「緊急時だ、まぁ、これで手を組もうや。

 制圧されたのは、テレビ局全局だけではない。代表的なところで、国会議事堂とか、な。

 主要な駅も、制圧されようとしている。

 ……奴らの主目的は、『Hanuman』の奪回だ」

「……そんなに大事なものなのか?」


 キョウジはジュンナに合図する。


「あちらのお偉いさんが、不老長寿の手段に、ご執心のようでね」

「……ホントに、そういう代物なのか?」

「さぁね。他に可能性が無いだけ。

 でも、あちらさんは見逃すつもりは無さそうよ」

「……そうでしょうね」


 サイコソフト1つのために、Yamato制圧かよ……とは思うが、話を聞くと、『CV(セレスティアル・ヴィジタント』という連中は、相当ヤバいキラーチームらしい。キラーチームという呼称も、元は彼らを指すために作られた言葉で、他のキラーチームにとってはいい迷惑らしい。何しろ、結成初期から殺人が当たり前の集団だったというのだから……。


「Athene使いさんには、戦力として期待したいが……戦いたくないというなら、断られても仕方ないとは思っている」

「もちろん、戦いますけどね!」


 あまりの即断即決に、キョウジが怯む。


「そ、そうか……。それは心強い。

 いやぁ……何しろ、戦闘用のサイコソフトが足りなくてな。

 まぁ、そんなものが簡単にゴロゴロと手に入る、っていう社会だったら、それはそれで問題だろうが。

 ――人数では負けない!

 だが、戦力では、負けるかも知れん」

「ふぅん……」


 フルーツパフェを食べていたカエデちゃんが、何か言いたげだった。が、それを言わせて巻き込みたくない。今さらという話もあるが、子供を戦争に駆り出すのはどうかと思う。


「……僕は、役立たずなのかな?」

「ああ……そうだな。『Hanuman』を奪われるとマズいし、護らせていただこう。

 何故、何の手段も講じずにESP系の探査に引っかかってないのかは謎だが……。

 まぁ、問題ないだろう!」

「……別に、向こうの識別する手段を誤魔化してしまえばいい」

「……」


 カエデちゃんの呟きがイチイチ気になるが、まぁ、気にしたら負けだ!


「……それで?」

「あ、ああ……。

 ――敵は幸い、分散している。

 各個撃破を狙いたい。

 Athene使い、アンタ、名はエルザだったか?」

「はい。よろしく!」

「そうか。

 エルザさん。アンタは、俺と一緒に来てくれ!」

「えー!!

 私はハヤトを護ります!」

「……」


 キョウジが、僕の耳元に口を寄せる。


「……さっき、戦うって言ったよな?」

「……気にしたら負けですよ」

「……。

 そうか」


 どうやら、諦めてくれたようだ。ジュンナさんと仲が良さそうだし、女性というものへの対応に、多少は慣れているのだろうか。

 理詰めで話しても、女性は理解してくれない。直感と気分で生きる生き物だからだ。その代わり感情で勝負する恋愛とかなら、男では太刀打ちが出来ない。


「……じゃあ、俺ら、ちょっくら連中にひと勝負、仕掛けて来るわ」


 さて。彼らは一度、この場を去ってくれるようだ。

 僕は、カエデちゃんに、確認したいことが幾つかあった。

 恐らく、カエデちゃんを見た目相当の年齢と考えない方が良い。

 何らかの情報を握っていることは、ほぼ確実だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ