1.適性検査
直しの作業に入りました。
全部直すまでに時間かかりそうなのですが、順次、更新したいと思います。
その結果、前のバージョンとの矛盾が生じる場合もありますが、ご容赦下さい。
この検査で、僕の人生は決まる――
そんな覚悟で受けた、サイコソフトの適性検査。
検査そのものは、髪の毛の提出と1週間という検査期間だけで終わる。
簡単に言えば、僕が超能力を使う適性が、どんなサイコソフトに対してあるのかを調べるだけの検査だ。
サイコソフトについて、簡単に説明しよう。
えー……。脳に直結して、超能力を使えるようにするソフトウェアです。
ソケットと言われる受け口を後頭部に埋め込み、サイコプラグとも呼ばれるプラグを差し込むだけで、適性のある超能力のサイコソフトならば、使えるようになります。
というわけで、今日はその適性検査の結果を貰える日です。
「9572番さん、9572番さん」
「あ、はい!」
呼ばれたので、結果を受け取りに行く。
受験票を渡し、番号を確認してもらった後で、一覧表を受け取る。
少なくとも、高校を卒業してすぐに就職を考えている18歳の今の僕にとっては、就職先を左右されるぐらいの影響力はある。
非常に重要である。
「えーと……」
一部のサイコソフトは、発電所での就職に使える。
人力発電である。
時給2,000円と、悪くない給料が貰える。
「……おやぁ?」
ちなみに、ほとんどの人にとって、サイコソフトの適性は、大半がO判定になる。つまり、一切使う能力が無いと。『SABCO』の五段階評定で、S評価は滅多にいないらしい。
「S評価がある」
とりあえず、詳しくは見ずに、その結果に期待を持って、帰宅した。
空に浮かぶ島、”Sorashima”。国として、名前は”Yamato”に変わったが、日本である。
旧日本の領土は、9割が水没した。主に地震で。
その首都・”Yamatai”で、僕は一人暮らしをしている。
「さて。詳しく見てみようか」
S評価が、1つではない。”Cat”、”Panther”、”Lion”等……。
それらの共通点が、1つだけあった。
――アンチサイ。妨害系の超能力ということだ。
「なんてこった……。超能力が、使えないじゃないか……」
そう、他の人が超能力を使うのを妨害する超能力ばかりだったのだ。
「他にはないか……」
C評価は、少しある。
アンチサイには、A評価のものもある。――というか、全て、SかA評価だった。
特殊なサイコソフトに関しては、結果として発表はされない。
「なんてこった……」
そう、他にはB評価すら無かったのだ。
特殊なサイコソフトの場合、そもそも、入手が非常に困難である。買うとしても、1000万は下らない。
「どうしよう……就職活動」
親の説得に失敗し、親からは大学に行けと言われたが、少々難しい大学に挑戦して不合格。そして、就職活動を始めたので、高卒の就活としては出遅れている。
幸い、この歳で基本情報を取っているので、職場を選ばなければ、就職はそう難しくないと思っているのだが。
問題は、第一志望の”Musashi”である。
適性検査の結果を見てから、とは言われている。結果は、Musashiにも届いているはずだ。
ちなみに、地名等は、ローマ字表記が今のYamatoでは標準仕様となっている。これは、Sorashimaへの移転の際に、母国語を英語にしようという動きがあった影響によると言われている。
名前に関しても、これも噂が本当ならば、サイコソフトの影響があって、本名は家族と役所以外にほぼ知らせることはない。皆、通称を持っている。
僕も、”ハヤト”と名乗っている。カタカナである理由は、当初、カタカナでの表記が流行った影響が、今も根強く残っているせいである。
「……まぁ、この結果を知らせて、運を天に任せるか」
不意に、スマホが鳴った。スーパースマホとも言うが、実際に”スーパー”を付けて呼んでいる人はほとんどいない。
メールだった。――Musashiから。
内容は、適性検査の結果を受け取ったことと――合格の通知。
更には、配属も『第二研究室に配属』とある。
「早っ!!」
しかし、これで安心した。4月からすぐにでもMusashiに勤めることになりそうだ。
ただ、僕はこの時点で、何故、こんなに早く、合格の通知と配属先まで知らせが来ることになったのかということについて、疑問にも思っていなかった。