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混沌なる迷宮の王  作者: しいなみずき
Eランク迷宮
15/44

迷宮レベル14 誘惑と絶望

 Eランク迷宮『宝物庫』。今この迷宮は、迷宮都市『エディシス』と周辺の町で有名になってきている。

 『エディシス』から、南に進むと見えてくる、森の内部に存在している。

 『宝物庫』の形状は、広域洞窟型と、そう珍しい形状ではない。

 そんな迷宮が有名な理由は、通常Eランクの迷宮からは、見つかることのない財宝が、内部で発見されたからである。

 これは数多くあるEランク迷宮の中でも、初めてのケースであり、その注目度は目下上昇中だ。

 そして、特にその割合が高いのが低ランク冒険者である、Fランク、Eランク冒険者達だ。

 彼らはランク的な問題と、その実力から、Dランク迷宮には挑みたがるものは少ない。

 そこでこの『宝物庫』だ。この迷宮は、Eランク迷宮でありながら財宝が存在する。それはリスクを避けながら、それでも稼ぎたい彼らの強い興味を引いた。

 その上既に見つかった財宝の質は、Dランク迷宮で発見される物よりも上質だった。

 それらの理由から、他の町から『エディシス』に拠点を移す者も増えてきていた。



















 薄暗い洞窟内を、四人組の冒険者パーティーが歩いている。


「んー……もっと簡単に見つかると思ってたんだが。意外に見つからないもんだな」


 その中の一人、若干草臥れた鎧を身に付けた剣士風の男が、そう愚痴を吐く。

 彼らも、この『宝物庫』の噂を聞きつけ、他の町からやって来た冒険者パーティーだ。


「そうぼやくな。宝物庫だなんだといっても、実際こんなもんだ」


 如何にも重そうな鎧を付けたもう一人の男が通路を進みながらそれに応える。

 後ろにいる、二人の男が光結晶を手に持ちながらそれに追従する。

 このパーティーのランクはE。構成は前衛二人に弓矢使いの中衛一人、そして魔術師の後衛一人。治癒術師はいないが悪くはない構成だ。

 因みに、光結晶とは魔力が籠った特殊な結晶のこと。外部からの魔力に反応して結晶自体が光る、松明いらずの画期的な魔具である。

 だが開発されてからそこまでの年月は経っていないため、一般にはあまり普及されていない。

 尚、光結晶にも純度があり、純度が高ければ高いほど光量が増え、消費する魔力も少なくてすむ。

 純度に比例して、値段も跳ね上がっていくため、これを持つのは基本的に高位の冒険者だけなのだが。


 四人は進む。ある程度まで進むとうっすらと、広場に繋がると思われる入り口の輪郭が見えてくる。


「おっ、あれ広場の入り口じゃないか?」


「確かに、それっぽいな」


 先程まで愚痴で仲間を口説いていた剣士風の男が、声を弾ませ確認をとる。

 通常財宝があるのは、小部屋か広場かのどちらかだ。

 そのため、剣士風の男は小部屋や広場が見つかるたびにテンションが急激に上がる。


「だが、あるとは限らんからな。さっきみたいに無駄な期待はするなよ」


「いやー、流石に三回も外れを引いてれば次は当たりなのは間違いねえって」


「……素直に頷け」


 進むにつれ、徐々に広場の内部が見えてくる。そして微かに香る鉄の臭い。その臭いを嗅いだ四人に緊張が走る。


「――っ! おい、分かってるな……?」


「ああ、この臭いは」

 

「血、ですね」


「リーダー、詠唱をしておいた方がいいか?」


「ああ、油断するなよ」


 先程までのふざけた雰囲気は、無い。既に臨戦態勢に入っている。

 剣士風の男と重装備を纏った男の二人は、手に自らの得物の柄を掴み、弓矢使いの男は弓に矢をつがえ、魔術師は詠唱を始めている。

 ここはEランク迷宮。そう強い魔物は出ない筈だが、それでも魔物の能力値は人間を遥かに越える。油断は出来ない。


 そして漸く、広場の内部が鮮明に見えてきた。


「うお……マジかよ」


「なんだ、あの魔物は……?」


 まず、四人の目に飛び込んできたのは、全長二メートルはありそうな牛の化け物だ。牛といっても二本足で立っており、その体型だけみれば、人とほとんど大差はない。

 しかし、その異様に膨れ上がった腕や脚の筋肉と、体に纏う白と黒の混ざりあった体毛をみるだけで、人間とはかけ離れていると分かる。

 そしてその手には、黒光りする黒刀を提げている。

 更にその化け物の周りには血の海が出来ており、そこに浮かぶのは、肉片。

 原型をまるで留めていないが、状況から見ても間違いなく、人間のものだろう。


「こいつは、ミノタウロス……!?」


 ミノタウロス。オークと並ぶ程度の身体能力だが、それでもホブゴブリンよりも強い。


「なるほど、ミノタウロスか。初見だな」


「ミノタウロスっつうと、確かオークと同じくらいか。ならとっとと倒しちまおうぜ。そっから――――」


 剣士風の男は興奮ぎみに続ける。今彼に見えている物のなかで、最も重要なのは、ミノタウロスではない。

 その先にある――――


「あのお宝の山を手に入れんぞ!」


 ――――そう、財宝である。

 ミノタウロスの先、そこに金になるのは間違いないであろう宝石類が積み上がっていた。


 ――恐らく、そこに転がっている肉片の主は、この財宝を取ろうとしてたところを偶々ミノタウロスに見つかり、殺されたのだろう。

 ミノタウロスとは、あまり見かけない魔物だが強さは大したことはない。

 奇襲などで無ければ、パーティーがしっかりと動けば問題なく仕留められる相手だ。


 パーティーリーダーの重装備の男は考える。この状況、この戦力でなら問題ないと。


「さて、いつも通りの布陣だ。無茶はするなよ」


「分かってるって」


「魔法は、撃てるか?」


 魔術師の男に問う。詠唱をしているため返答は無く、頷くだけだが、それだけで十分だった。


「よし……合図したら撃て――行くぞ!」


 指示を出すと同時に、リーダーの男と剣士風の男はミノタウロスに向かって走り出す。


「死ねや! 牛がぁ!」


「フンッ」


 二人は囮だ。ここで自分達に気を逸らさせ、魔法を確実に当てるのが彼らの作戦。

 しかしミノタウロスに動く気配はない。

 ならば――瞬時に作戦を変更し、自らの得物であるロングソードをミノタウロスの脚に突き刺す。


「ウ、ォオオオおオオおオオ」


 それでも、ミノタウロスは叫ぶばかりで暴れない。

 なんだ、こいつは?

 いやそれよりも、今ので敵の機動力は奪った。そう判断した男は魔術師に指示を飛ばす。


「今だ! 撃て!」


「――――雷撃(ライトニング)!」


 杖から発生した稲妻が、高速でミノタウロスの肉体を貫く。


「ガッ――――」


 僅かに声を漏らした後、ミノタウロスは地面に倒れ動かなくなった。


「なんだ、大したことなかったな。オーク以下じゃねえか?」


「……大方、傷でも負っていたんだろう。それよりも今は財宝だ」


「おうよ!」


 四人はそれぞれ財宝を持ってきた袋につめる。出来るだけ傷を着けないように入れなくてはならないので、思う以上に気を使う作業だ。








 全ての財宝を拾い終わった四人は、早速帰路につくことにした。

 財宝を入手した以上、最早この迷宮でやることはない。


「よし、帰るぞ」


「おうよ。けどこのミノタウロスから魔石取り出してねえが、どうする?」


「……放っておけ。取り出してる間に他の冒険者と鉢合わせてもつまらん」


 倒したミノタウロスだが、彼らは魔石を取り出してはいない。それは、リーダーの男が云ったように他の冒険者と鉢合わせた場合を考えてだ。

 魔石は基本、体内に埋まっている。そのため、魔物が大きければ大きいほど、取り出すのに時間が掛かるのだ。


「名残惜しが、仕方ないか。……ん? なんだこりゃ」


 諦めかけた剣士風の男だが、ふと、何かに気付く。


「おお。こいつぁ、いい刀だ」


 男が目を付けたのは、ミノタウロスが持っていた黒刀。先程までは財宝に目がいっており、気が付かなかったが、よく見ると素人目にも美しく見える。


「魔石が取れねえんだし、こいつを貰ってくか」


「おい、さっさと行くぞ」


「わりぃわりぃ。今行くって」


 











 来た道は覚えている。それくらいは冒険者として、基本中の基本だ。

 そこから逆算するに、あと十分程で迷宮を抜け出せる。

 ただし、ここで安心してはならない。入り口付近には、財宝を持った冒険者などを狙っている盗賊が、潜んでいる可能性があるのだ。

 もちろん、依頼を受けた冒険者と傭兵が共同で定期的に巡回し、安全を確保しているが、それでも可能性はゼロにはならない。

 もしも潜んでいた場合、油断をしていれば全滅する恐れもある。


「それにしても、かなりの収入になったな」


「ええ、無理して拠点を移して正解でしたね」


「宝物庫、と聞いたときは何を云ってるのかと思ったがな。それよりお前ら、今回の儲けだが何に使う予定だ?」


「僕は魔術効果の付いた弓矢を切り札用に買っておきたいですね」


「俺は杖の強化だな。そろそろ新しいのを買おうと思ってたんだ」


「で、お前は何だ? まあ、どうせお前のことだから娼館にでも行くんだろうが……」


 からかい混じりに剣士風の男に問う。しかし男からの返答はない。


「おい、どうした?」


「……お」


「ん? なんだ? 聞こえんぞ」


「お、おおおおお」


 男は、その場に立ち止まり、下を向きながら唸っている。腹でも壊したのだろうか。タイミングの悪い。

 しかし、リーダーである以上、そのままにするわけにもいかない。


「おい! いいかげんに、ぐふっ――――」


 血が、噴き出す。男のぶ厚い鎧を貫通し腹が裂けている。

 リーダーの男は状況を理解できずに、地面に体を叩きつけた。


「お、おォオオオおオォオオおオォオオオオオ!」


 剣士風の男がパーティーリーダーを斬ったのだ。

 そしてその男は、意味の無い叫び声を上げながら、血の付着した剣を握りしめている。


「な! リーダー!」


「てめえ! 何しやがる! 気でも狂ったか!?」


 仲間の二人に問いかけられるが、それでも男は動じない。尚も叫び続けている。


「っ! その黒刀、まさか妖刀か!?」


 男の手に握られているのは、先程ミノタウロスが持っていた刀。

 そして魔術師の男がその剣の正体に気付く。


 妖刀とは、罠の一種だ。持った者の精神を破壊し、人を殺すことに快感を覚えさせる呪いの剣である。

 しかもそれは、スキル『罠感知』を持っていても錬度の低い者には見抜けない高度な罠。

 普通こんな低ランク迷宮にあるはずはない。あり得ない。

 そう叫びたくなるのを男は我慢する。妖刀を持った者は危険だ。始末するか逃げるか。決断しなければならない。

 そこまで考え、気付く――


「おォオオオオォオ、ガァアあアァアアァアあアア」


 ――その、異変に。

 徐々に。


 いや、急速に。


 変化する。


 腕が。


 脚が。


 胴が。



 全身が膨らむ。鎧は地面に落ち、服がはち切れ、皮膚の色が変色していく。


 二人は、その光景に目を奪われた。

 そして数秒後、そこにいたのは人でなく、牛の姿をした異形。

 先程のミノタウロスと、瓜二つだ。


「あ、ありえ、ない」


「ば、ばかなっ……」


 肉体の変化を終えたミノタウロスは、硬直する弓使いの男に向かって黒刀を振るう。


「ウォオオオォオオォオオオォオオ」


「なっ、ぎゃあぁああぁあ」

 弓使いの男が、真っ二つに切り裂かれる。

 そして味方を失った魔術師に残った道は、ただ一つ。


「ひっ、ひいぃぃ」


 敵前逃亡だ。

 これは冒険者として正しい行為。敵わない敵に挑み命を捨てるよりも、逃げた方が正解なのだ。






 幸い、ミノタウロスは追い掛けては来ず、魔術師の男はなんとか逃げ延びた。そしてあと少しで、この迷宮からも脱出できる。


「はぁ、はぁ……は、早く、ギルドに報告しないとっ」


 異常過ぎる。こんなEランクの迷宮で、あんな恐ろしい物があるなんて。自分のスキルでは、全く分からなかった。

 そんな事を考えながら走っていると、後ろから声が掛かる。


「よぉー、にぃちゃん。一人かい?」


「いっひひ、その背中に背負った袋、俺たちにも見せてくれねえか?」


「そこからよぉ、美味そうな宝の臭いがするぜぇ?」


「あ、ああ、そんな……」


 盗賊だ。まさか、こんな時に。最悪だ。

 既に魔術師の男の周りには、薄汚れた服を身に纏った男達が。

 囲まれた。しかし今死ぬわけにはいかない。ギルドに報告しなければ、誰も報われないではないか。


「ま、待ってくれ! こ、この財宝なら好きなだけやる! だから見逃して――――」


「見逃すわけねえだろ! バカかてめえ!」


「ヒャッハァー! ぶっ殺せぇ!」


 男の顔には、絶望が張り付いていた。最早、助かる道はない。


 そしてその日、また冒険者パーティーが一つ消えた。






























 迷宮都市エディシスから、遠く離れたとある森に、ポツンと、一軒の小屋が建っていた。

 そして中には、二人の男女が。


「う、うぁあああ」


 その女は、肌は色白で髪は黒く、瞳は美しい蒼色。顔は非常に整った造形で、見る者を魅了させる。

 腰まで届きそうなその髪にはウェーブがかかっており、更にスタイルも良い。彼女にこそ、絶世の美女と云う言葉が相応しいだろう。


「そんな、そんなぁああああぁあああぁあ」


 そんな女が、その美しい顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら、泣いていた。


「うそだ! うそに決まってる!」


 まるで、地獄の苦しみを味わっているかのような、悲痛な叫びを上げながら、女は小屋のなかを暴れまわっている。


「お願いよぉおお! お願いだから嘘だといってぇえええぇえ!」


「…………」


「あなたぁあああ!」


「…………」


「なんとか、云いなさいよぉおおぉおおぉお」


「…………」


 対する男は無言。

 何も喋らない。


 いや、違う。何も、喋れないのだ。

 その男の状態は酷い有り様だ。口には猿轡をつけられ、目には目隠しを付けられ、体を木製の椅子に縛られているている。

 それだけではない。

 手の甲から椅子の肘掛けまでを、なん寸になるか分からないような、巨大な釘が突き刺さっていた。

 そして足も同様に、椅子の脚部分と釘で繋がっている。

 釘が突き刺さった部分は長くそのままにされていたのか変色して僅かに腐ってきている。

 その姿は、まるで拷問されたような、そんな印象だ。


「早く答えろぉおおおぉおおぉお!」


 女は叫びながら、男の猿轡を引きちぎる。それと同時に男の頬の皮膚も千切りとられ、血が吹き出るが、女はまるでした様子はない。


「う、うぅ。お、おね……がい、でず。……だずげで、ぐださい」


 口から大量の血を垂れ流し、体は震えているが、それでも必死に女に助けを乞う。


「誰が」


 女は、急激に冷めたかと思うと、優しく落ち着いた口調で男に問いかける。


「誰が、そんなことを喋っていいと云ったのかしら?」


「ひぃっ、あ、あの……もうじわげ、ありま――」


「黙れぇええぇええぇええ!」


 火山が突然噴火をするように。彼女の怒りもまた突然だった。

 先程よりも狂気に満ちた叫びを上げながら、男を殴り、蹴り、噛みつき、食いちぎり、釘を叩く。


「ぎぃやぁぁあぁぇあぁえぁあぁあえあぁああ」


「貴様はぁああ、違うだろうがぁああぁああ」


 男はあまりの激痛に、潰れかけた喉で発狂するが、女はそれに構わずに暴力を奮い続ける。


「ああ、私の愛しのジェイク、ジェイク、ジェイク、ジェイクぅうううううう。

し、死んだなんて、嘘でしょ? そうなんでしょ? ねえ、答えてよ」


「うっ、うぅぅ。もう、ゆるじで……くだざい」


「ちげえだろうがあああああああ! なんで出てこないんだよ! くそ、くそくそくそくそ! お願いよぉおおお……」


 女は涙する。しかし、全く状況がついてきていない。

 辺りは男の血で不気味なほど赤く染まっており、男自身は息も絶え絶えで、今すぐ死んだとしてもなんら不思議ではない。

 その足元で泣く美しい女。その光景は、まさに異常の一言だ。


「ああ、私の愛しの弟子、ジェイク。

本当に、死んでしまったのね……。でも大丈夫よ。あなたを殺したゴミをぶち殺して、私もあなたのところへ行くからね」


「う、うぅ……」


 悟ったように、女は喋り出す。そして男を睨み付け、頭に手を翳し一言呟く。


『冥界を司りし者よ――我が問いに答えを』


「ぎぃっ、ぎゃぁあああぁあああぁあ」


 叫びを上げる。そして、男の嗚咽がピタリと止まる。よくみると、男は呼吸さえ完全に止まっている。

 そして徐々に、男の目が完全に黒く染まる。


『我ハ――冥界を司リし者』


「答えなさい。ジェイクを、殺したのは誰?」


『――――そノ者、秘宝眠りシ、砦ニて、ボウギャクを振リ撒く、地獄ノ鬼』


 その女の返答に、男は先程とは別人のような、腹に響く低い声で答える。


「……オーガ? まさか。ジェイクがたかがオーガ程度に殺られるはずがない! ……黒幕よ。オーガを利用してジェイクを殺した奴を教えなさい!」


『そノ者、漆黒の、闇を纏イ、死をバラまク、異形の、王』


「……異形の王、ですって? そいつは何者? 何処にいるの?」


『――――』


「チッ、面倒ね。そいつは何者?」


『――――』


「答えられない、か。まあいいわ。そいつは何処にいるの?」


『――――』


「答えられない……だと? ふざけるなよ、このゴミがぁああぁああぁあ!」


『シ――――』


「チッ……くそが。分かったわよ。なら……どうすればそいつに会えるの?」


『潤いシ、死に逝ク、者たちノ、始マりノ町ニ、光灯ル時、そノ者ハ、表れル』


「死に逝く者たちの始まりの町、か。エディシスのことね。光が灯るのはいつ?」


「――――あ、ぁああぁあああああ」


「もう終了かよ! 使えない! 良いところで!」


 またしても突然に、男の声が元に戻る。女は舌打ちをすると男を勢い良く蹴り飛ばす。


「あ、ああ……」


 蹴り飛ばされた男は僅かな呻き声を上げ、それから動かなくなった。


「まあいいわ。他のを探せばいいし。それよりエディシスか。懐かしいわね」


 そして女は、その場を後にした。


















今流行りのヤンデレですね。



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