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回避不可避の魔族少女の願い

標的を地図を見ながら座標通りに追っていくと見覚えのある住宅街の空き地に着いた。


とりあえず空き地が見えてなるべく目立たず空き地から見えにくい場所を選んで身を隠す。


空き地に積み上げられた土管の様な物にちょこんと座るあの魔族少女が見える。



そう見覚えのある…あの少女は最悪クエスト魔族少女のマリンちゃんだ‼




ゲームと同じで

髪は栗色でツインテール

見た目の年齢は12歳くらいになのだが、どこか子供ら叱らぬ雰囲気の持ち主だ。


※実際は74歳らしい

公式抜粋


お祖母さんじゃないか‼とか詐欺だろ‼とか思うかもしれないが魔族の年齢は人間と比べ物にならないので見た目も年齢も関係ないらしい。


まあよくある設定だよね。


さて奴は何処にいるのかな…



と確認のために地図を取り出すと目標は既に街の外に向かって移動していた。



「なっ⁉ まさか気付かれたのか?」



確かに気配断ちとかなんにもしてなかったけど、いくらなんでも警戒し過ぎなんじゃ…というか俺が油断し過ぎた?




「お兄さん」



「へあ!?」



聞き覚えのある可愛らしいトーンの声に俺は…


ビクッと捕食者に見つかった獲物の様な反応をしてしまった…というか変な奇声をあげてしまった。


くそ…恥ずかしいな…ってそんなこと言ってる状況じゃないな。


てか馬鹿な⁉

ゲームではこちらから話しかけなければ安全だったのに‼


まあ普通に考えれば現実なのだから動くのは当たり前なのだが、地図に気を取られて気付くのが遅れたか。


俺は恐怖のあまり暫く振り向く事が出来なかった。

(別にマリンちゃんが強いからとかではない まあ実際強いには強いのだが今の俺の敵ではない)


イベント中に何度も死んだ、あの時の死の恐怖•記憶とでも言ったらいいだろうか。




「お兄さん?」


騙されるな俺⁉


こんな可愛らしい声を出しているがコイツは悪魔だぞ⁉



いや…正確には魔族か

などと頭の中の冷静な自分で自分に突っ込む。


流石に無視は出来ないかな…俺の良心が痛む。


「えーとなにかな?」


仕方なく振り返るクロト。


「よかった お兄さん動かないから死んでるのかって心配しちゃった」


死んで…

うーんどうやって逃げようかこの子から。



「大丈夫だよ 動かなかったのはちょっと考え事をしていたのさ」


とお兄さん振りつつも頭の中でなんとか回避出来ないだろうかと考える。


「お兄さんにお願いがあるの」


やばいこのままでは…この流れはいかんぞ俺!!

このままでは強制イベントが始まってしまう。


まあ何度もやっている(死んだため)クエストだから大丈夫だとは思うが、現実になったことで起こりうるイレギュラーが俺は心配だった。


さっきのマリンちゃんのように予期せぬ動きを他のイベントキャラもする可能性があるのだ…危険すぎる。


そうなったら最早ゲームの経験が( 全くでは無いが)意味を成さなくなる


そんなことを考えているとマリンちゃんの話は進んでいた


「私のお母さんが病気で倒れちゃったの その病気を治すには万能薬のカレクナ花がないとだめなの…」


騙されるな~俺‼あの悲壮な顔や声は演技だぞ‼


「でもそれを取ってくるには街の北側にあるカレクナの洞窟に行かなきゃならないの 洞窟には魔物が沢山いるし……私には…お願いしますカレクナ花を私の代わりに取って来て貰えませんか?」


くっ⁉


美少女の上目遣いよりも強力な破壊兵器はこの世に存在するのだろうか…いやないだろう‼


悔しいが俺の完敗だろう。



まあ、このクエストは始まってしまったら回避不能だからやるしかないんだけどね~。


結論は最初から出ていたのだ。

やるしか無い。



「洞窟の花を取って来ればいいんだな?」


負けました、根気負けだな。

敗因は出会ってしまったことかな?



「いってくれるの?」



期待の眼差しの少女に頷く俺。


「ああ 」


まあレベル的には余裕な筈だし、多分大丈夫だろう。


「よかった ちょっと前に一人助けてくれるっていう人がいたんだけどあまり強そうじゃ無かったから」



うんなんていうか正直だねこの子は…


もう一人のって…もしかして⁉


そう思い地図を確認してみると案の定 奴は北側の門に向かっていた。


どうやらもう一人の人というのが標的のリトなのだろう。

人間の癖に魔族少女を助けるとは…



奴はロリ…………いや良い奴なんだなきっと。



自然とリトのことを好印象に捉えている自分がいた。

おっといかんいかん‼奴は唯の金づるだ‼と自分を戒める。


よし、向かうはカレクナ花が咲く洞窟‼いざ行かん‼




☆☆☆☆




ドルテラン北門



ドルテランの北側は草原になっていて昔のゲームでお馴染みのスライム


といっても某RPGの尖っているスライムではなく、体は液体状でアメーバのような容姿の気持ち悪い魔物。


液状の体の中に核が一つスライムの弱点になるこの核を傷つければスライムはいとも簡単に倒せる。


初めて戦う相手としてはスピードも鈍く、弾力のある体で打撃系の攻撃は効きにくいという特徴はあるが、

核さえ狙えば倒せるため初心者には優しい魔物といえる。



まあ倒す時にいろいろ飛び散って気持ち悪いけどね。

俺はそこが嫌いで、最初は苦労した。



他にも大鼠(おおねずみ)という名前の通り鼠をデカくしただけの魔物もいる。


なんだろう小さいと可愛くみえそうなんだが…デカイと全然可愛く見えない。寧ろ気持ち悪いかな。


素早い動きと硬い前歯が特徴でやられそうになると仲間を呼んでくる。単独行動よりも集団で行動することが多い。



だがまあどっちも今の俺の敵じゃない、それどころか最初の方の魔物ならほとんど俺の相手にはならないかな。




サクサクと進んだため洞窟には直ぐに辿り着いた。


洞窟の中の魔物は最初の頃なら面倒な魔物だろう。


大蝙蝠(おおこうもり)

というこれまた名前の通りデカくしただけの蝙蝠が襲ってくるのだが、


暗がりの中でも奴等は平気に襲ってくるし中々のスピードに鋭い牙を持つため、最初の頃にしてはかなり強い魔物と言える。


最初の頃はかなり苦戦したっけな~あの頃が懐かしい。と親父くさいことを考えてしまった。



松明があればなんとか見やすくはなるだけど片手が塞がるし戦闘では不利になことが多い、その上ゲームスタッフのミスだろうか?時々大蝙蝠が一斉に何十匹かの群れになって襲ってくる時がある。


その時は死を覚悟するしかない。


まあ今の俺は邪眼の目があり敵の位置が普通にわかるしレベル的にもかなり強いから全く困らないがね。


※邪眼の目は暗闇の中でも普通に明るい時と同じくらいに見える。という効果もある。


バシュバシュと剣で大蝙蝠を切り落として進んでいくと、大きめのフロアにでる、その奥には目的の花カレクナ花が咲いている。


懐かしいな~ここで死んだな

思い出に浸る俺 何故かゲームで死んだ時の記憶って覚えてるんだよな~



普通にここで油断して花を取りにいくと死ぬ。


俺は何度かここで死んだ時のことを思い出していた。



普通に油断して取りにいくと地面から現れる(ボスキャラ)に捕まり

リンチにあって殺されるのだ…


目印は地面に生えた不自然な色のキノコ⁉


これを切るか、不用意に近づくと正体を表しお化けキノコになるのだ‼



これまた名前の通りお化けのようにデッカいキノコの形をした魔物で毒々しい斑点のあるキノコの傘が特徴、不気味に光る赤い目と口からベーっとでた舌が何とも悪そうな印象を与える。


まあ今のレベルだとキノコを切るとそのまま(地面に埋まったまま)死ぬんだけどね(笑)


「ぐぎゃー⁉」


次々にお化けキノコを斬り殺して行く、こいつ等の血って紫なんだよな…なんていうか気持ち悪い。


最後の一匹は仲間の声に反応して素早く地面から出てきたため切り損なってしまった。


キノコは不気味な笑みを浮かべながら近づき、呼吸するかのように口を開け紫のいかにも臭そうな息を吐く…嗅ぎたくはないな。




「毒の息か‼」


毒の息は危険だ。

吸うと勿論毒になるのだがこのゲームでの毒状態は他のゲームより重い


一秒毎に1/3600のダメージを負う

つまり一時間で確実に死ぬ

もっと早く死ぬ猛毒なんかもあり毒状態になると恐ろしいが、一応対処法は沢山ある。


例えばアビリティで毒耐性があるものを付けたり、

元々の能力値の毒耐性を上げたり


後は俺のようにスキル(技)で対処するかだ。


因みに俺はスキル《不動の体》

状態異常攻撃を暫くの間効かない体にする事でいつも凌いでいる。


時間制限があるのと、突然こられた時は対処できないが、毒を使ってくるとわかる相手になら発動すれば暫くは無効にできる便利な技だ。



「よっと」


スキル《不動の体》を発動

微かな光がクロトを包むように膜を張る。



「これで奴の攻撃は効かないな…後は」


クロトは最後の一匹睨めつけ、一気にその間合いを埋める。上段に構えた剣を目にも留まらぬ速さで袈裟斬りにして斬り捨てる。


「ぐぎゃー⁉」


チン


魔物の悲鳴を聞きながら、慣れた手つきで血を一度は払ってから剣を鞘に収める。


魔物は直ぐに絶命し、光の粒子に包まれ静かに消える。

魔物は消える時にドロップアイテムを落とす、大体の場合戦闘で傷が付くのか…小さな傷物の魔石の破片を落とすが、稀に全く傷のない球状の魔石を落とす事がある。


魔球と呼ばれ大きさにもよるがとても高価に取引される。


今回は珍しくお化けキノコの魔球が落ちていた。



クロトは手慣れたようにドロップアイテムを拾う。


毒キノコ×7

青いキノコ×4

お化けキノコのキノコ×3

キノコ汁×5

お化けキノコの魔球×1


「見事に…キノコばっかだな」


アイテムポーチを見ながら呟く

さてお目当ての花カレクナ花を摘んでいくとするか…



洞窟の奥のフロアは天井が突き抜けていて、空が見えるようになっているため丁度紅い月明かりがカレクナ花を照らすという神々しいシチュエーションが見られた。


月明かりに照らされるカレクナ花は綺麗な紫色に淡く光って見えた。

不思議な花だよな。


「これで よしと」


丁寧にカレクナ花をポーチに入れるとクロトは元来た道を帰って行く。



「そういや当初の標的だったリトに会ってないな…あいつはどこに居るんだ?まあ今はどうでもいいけど」



目的地同じだった筈だよな?
















やっとモブヒロイン的なキャラ?というかとりあえず美少女が一人現れた。


というか五話目にして普通の?キャラがきましたね…それまでのは的キャラとか鼠男みたいな奴だけだしな…


ヒロイン出したい‼∑(゜Д゜)とか考えてます

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