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四月三日 Ⅲ
帰りのHRが終わり帰ろうとした時、ふと思い出す
そーいえば、霧崎さんと一緒に帰る約束してたなー
そして気づいた
話すネタが見つかっていなかったことに
自分の中で試行錯誤していると、目の前に一人の少女が立ちふさがった
「あ、ああ、霧崎さん」
彼女に動揺を悟られないようにする
彼女は笑顔だった
「えっと、もう帰る?」
すると彼女は、「うんう」と首を横に振る
自分から誘っておいて…?
思ったが彼女の話を続けて聞く
「実はね、部活動見学一緒についてきてほしいの」
「部活動見学?」
部活に入る気のない自分には関係ないのだ
が、しかし
霧崎さんが言うのだ、行かないわけがない
俺は自分でも聞いたことのない、いい声で言う
「うん、行こうか」
すると霧崎さんは、ぱぁぁと笑顔になり
「ありがとう!」
そう言ってくれる
俺はこれが聞きたかったのだ
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