EP2.役場兼冒険者ギルド
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村の役場の場所と外観こそチヨの知っている建物だったが、過疎化してプレイヤーの出入りなど一切無かったアルタ村の役場には多くの人々が出入りしていた。
「驚いたわ…とても賑わっているのねぇ」
「アルタ村の周りにあるダンジョンから採れた物の買い取りとか冒険者向けの依頼もこの役場でやってるからね!冒険者さん達の出入りが多いんだよ!」
チヨが知っているアルタ村はいわゆる始まりの村であり、新規でキャラクターを作成すると最初に訪れることになる村で、その周囲にあるダンジョンもチュートリアルから初心者向けであり、報酬の旨味の無さから初心者を抜ければ訪れる事の無い村とダンジョンで、サービス終了を控えていた事もありプレイヤーなど訪れる事は皆無だった。
「チヨさんもダンジョンに稼ぎに来た冒険者だよね?受付に案内するからついて来て!」
アイリはユリの手を引いて建物の中に入り、受付まで案内をしてくれた。
「あら?アイリちゃんがここに来るなんて珍しいわね」
「リンカさんこんにちは!こちら冒険者のチヨさん、この村は初めてみたいだから案内してきたの!それじゃあ私はお母さんのお手伝いがあるから、チヨさんまたね!」
アイリは手を振りながら帰り、リンカはアイリを見送った後チヨに向き直った。
「チヨさんですね、初めましてこちらはアルタ村冒険者ギルドの受付です。当ギルドで登録を致しますのでギルドカードの提示をお願い出来ますか?」
チヨはギルドカード自体は持っているが、チヨの知っているギルドとは仕組みが違っており、出すのに躊躇した。
「ギルドカード…もってはいるのだけれど、これで大丈夫かしら…?」
躊躇したチヨであったが他に出すものも無かったので先ほど銀貨を出したようにストレージから自分のギルドカードを取り出してリンカに渡した。
「拝見しますね。これは…随分古い仕組みのギルドカードですね…周辺国の物でも無いですし、相当遠くの国からいらっしゃったんですね」
「え、えぇ…まあそんな所かしらね…?それで登録は出来るのかしら…?」
チヨが出したギルドカードはどういう訳か古い仕組みのようだったが、怪しまれている様子は無いのでひとまずリンカの話に合わせる事にした。
「大丈夫ですよ、そういった方も少なくないですから。ただこのギルドカードでは登録が出来ないので新しく冒険者登録をしていただく必要がありますがそれでもよろしいですか?」
「えぇ、お願い出来るかしら?」
結局チヨの持っていたギルドカードは使い物にならなかったが、新しく登録が出来るようだ。
「かしこまりました、それではこちらの用紙にご記入をお願いします。失礼ですがユリさんは共通語の読み書きは大丈夫ですか?」
チヨの前に出された用紙には全て日本語が使われていた。システム的に言語設定が日本語になっているような物だろうか…?
「えぇ問題ありません」
ユリはペンを手に取り用紙に目を通すとそこには名前を記入する欄から始まり、出身地や年齢を書く欄もあり、本当の事を書くか悩んで手を止めているとリンカがチヨに声をかけた。
「ご不明な場合や書きづらい場合は空欄でも大丈夫です。依頼の中にはそういった情報が受注する時に必要な物もありますから、そういった依頼は受けられなくなりますが問題無く登録は可能ですよ」
リンカの言葉にチヨは出身地と年齢は飛ばし、記入できる欄のみを記入していき、職業欄で再度手を止める。チヨは近接主体ではあるが、長年続けていたMMORPGなだけあってほぼ全てのスキルは上がりきっていたので装備さえ用意出来ればどの職種でも扱えたためだ。
「慣れ親しんだこれがいいかしら…?」
『アルケミナイト』チヨが書き込んだ職業は『錬金術』と『剣士』のスキルを組み合わせる『リンクスキル』で錬金術により強化された近接武器を利用して戦う職種であり、長いプレイ時間の間、チヨが最もやり込んでいたプレイスタイルだった。
その後、記入出来る欄を書き終えてリンカに渡した。
「確認致しますね。あれ…?この『アルケミナイト』と言う職業は何でしょうか…?」
「あら?錬金術と剣士の複合職ですけれど…ご存知無かったかしら…?」
「れ、錬金術!?しかも剣士とのリンクスキルだなんて…」
リンカが突然に驚きの声を上げてチヨが記入した用紙を魔法陣が描かれた小さな石板の上に乗せた。
「結果は…虚偽無し…!チ、チヨさん!ご案内致しますので奥の応接室で少々お待ちいただけませんか!?」
「あらあら…?」
チヨはリンカに手を引かれて応接室に連れていかれ、チヨは一人で応接室の長椅子に座らされてどこかへ行ってしまったリンカの帰りを待った。
「何だか冒険者ギルドでのお約束みたいな事になっちゃったわねぇ…それにしても錬金術に驚いていた様子だったけれどどうなっているのかしら…?」
チヨの知る錬金術は剣士や魔法使いと言ったメジャーな職業のひとつで特別珍しい物でも無かったし、二つの極めた職業の組み合わせで出来る『リンクスキル』も初心者を抜けたプレイヤーなら珍しい物でも無かった。
「やっぱり似ているってだけで違う所も多いみたいね…もう少し慎重になった方がいいかも知れないわね…」
しばらくチヨがギルドの応接室で待っていると廊下から歩幅の小さな足音がトタトタと聞こえてきて、応接室の扉をノックしてから背の小さなエルフ耳で銀髪ボブカットの可愛らしい少女が入って来た。
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