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第十四話 「最後の誓約」

【日記、無】


「私は引っ越した。あの冷たい屋敷を出て、静かな路地の奥深く、この簡素な家に。権謀術数が渦巻く宮廷から、離れる必要があった。

数ヶ月前、忠臣たちは罪に陥れられ、投獄された。そして今、ベレーラは、私にアルタナスへの侵略を命じた。理由は、ただ『富饒の国だから』と。これでは強盗と何が違う?私が貫いてきた信念が、忠誠を誓った女王の手によって、打ち砕かれようとしている。


私は、拒んだ。

その時から、宮中では私を標的とした流言蜚語が湧き上がり、私は『護国大元帥』の職位を奪われた。一族からも、『家の恥』と見なされた。

ベレーラの最後の『憐れみ』か、あるいは『罰』か……私は彼女の親衛隊長となった。国全体を守る力を奪われ、ただ一人——この国を自らの手で滅ぼそうとしている張本人を、守るために。


正直、死ぬのは怖くない。しょせん、志は挫かれた。

だが、構わない。

私にはもう、この腐りきった体制を変える力はない。

だが、少なくとも……少なくとも私は、彼女の傍らに留まることができる。

たとえ世界中が彼女を裏切ろうと、たとえ彼女自身が道を踏み外そうと、私が、彼女の最後の盾となる。

これが、私の真の、唯一の宿命なのかもしれない。」


......


日記は、そこで、ぷつりと途絶えていた。

その後の数ページを捲ってみても、新たな文字は見当たらない。ただ、涙で滲んだ染みや、皺、飛び散ったインクの斑点、そして指で強く擦ったかのような掠れた痕跡が残るだけだった。


セリーヌが静かに日記帳を閉じようとした、まさにその瞬間、窓からふわりと風が舞い込み、黄ばんだ頁が最後の別れを惜しむかのように、軽やかな音を立てて捲れていった。

何か軽いものが紙の間から弾き出され、机の上に落ちた。


「これは……」


セリーヌの視線の先、そこに落ちていたのは、歪な、蔓で編まれた弧状の物体だった。セリーヌの瞳孔が微かに収縮し、それが何であるかを、瞬時に理解した。


腕輪だ。


あの日記にあった、キャロラインが不器用な手つきでベレーラのために編んだ、『寄り添う約束』を宿した、純真な友情の信物!


そして、腕輪が滑り落ちたその頁には、すでに干からびて暗黄色になった、かつては白かったであろう小さな花びらが数枚、挟まれていた。花びらには、暗色の染みと、踏み潰された跡がはっきりと見て取れ、その白さは、すでに泥に無情にも汚されていた。


セリーヌは、言葉にできぬ複雑な、ほとんど痛みに近い感情を抱きながら、その頁を指先で摘まみ上げた。


目をやると、ほとんど空白の紙面の中央に、ただ一行だけ、文字があった。その字は非常に小さく、まるで極度の焦りの中か、最後の力を振り絞って書かれたかのようだ。一画一画が、命で刻みつけられている。


その一行こそ、この日記帳の終章であり、キャロライン・プランティアがこの世界に残した、最後の告白だった。



「大丈夫、どうあっても、私が永遠にあなたを守るから!ベラちゃん」




「……そういうことか」


セリーヌの呟きはほとんど聞こえず、まるで一つの溜息となって、空気の中に消えていった。


そして、ゆっくりと、日記帳を、そっと閉じた。

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