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第2話 ゲームする

 二階に位置する彼の部屋に行き、よそよそしく畳の上ですずが正座をする。


「あ……。『くずしていいぞ』? えっと……うん……じゃあ……」


 お言葉に甘えて、と付け加えて正座から体育座りに変える。そわそわして緊張しているのか、小さく丸い形になっていた。


「いや……気にしないで……。『なんだよその座り方』って? 気にしなくていいよ……。家だといつもこうだから……」


 両脚を抱えるようにして、もはや顔が見えなくなるくらいに小さくなっていく。すずは今までどうしてきたのか忘れていたのだった。


「えへへ……。久しぶりだね、君の部屋に来るの……。なんだか慣れてなくて変な感じ……」


 すると、彼は自分の近くに来いと指で示した。隣来いよ、とまた強引な言い方で。しかしそれにすずは何も嫌な顔はしなかった。なぜならこれが彼の普通。すずは昔からこうやって彼にリードされてきた。


「う、うん……。君の……となり……行くね……」


 ゆっくりとした足取りですずは近づいていく。彼のしっかりとした体つきに戸惑いながらも、勇気を出して隣に座った。


「し、失礼します……。よいしょ、っと……」


 だからなんでその座り方なんだよ、と彼が突っ込む。


「だって……慣れてないから……。久しぶりすぎて、あんまり調子乗ったらいけないと……思って……」


 くずせ、と彼が命令する。すずは恐る恐るそのきれいな脚を抱えるのをやめて、体育座りから長座に直した。


「あ……スーファミだ……。昔はよく二人でやってたよね……。とくにスト2……」


 彼はコントローラーを二つ取り、片方をあぐらとなっている自分の膝の上に置き、もう一つをすずに渡した。


「ゲーム……するの……? また一緒に……二人で……」


 彼は、やりたくないのかどっちだよ、と無愛想に聞いてくる。素直に答えるすずは、恥ずかしそうに『君と……や、やりたい……』と返答した。


 突然に笑う彼。吐き出すような笑いだった。すずは咄嗟に注意する。


「な、何笑ってるの……! 私は自分の気持ちを伝えただけで……」


 彼は『いや……』と一つ間を置いてから言った。




 なんか、エロく聞こえたから……、と。




「ッ!?」


 すずは赤面し、一瞬で気まずくなる。それもこれも彼のせい。決して変な意味はなかったはずだ。


 勇気を出して、平静を装いながらもコントローラーを持った。


「ゲ、ゲーム……しよっか……」


 おぉ……、と間の抜けた返事をした彼を、すずはドキドキしながら見つめていた。


 やがてお昼になってくる。

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