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月光浴  作者: 高倉 壮
8/10

あの人と


その人とのセックスは、お互いの体が半分ずつ溶け合って混じりあうような感覚になるものでした。

その人は僕よりも経験を積んでいたのは疑いのない事実でしたが、

彼女が体を許した男は二人だけだったという信じ難くも、

信じてみたい言葉に僕は身を任せることにしました。

そんな彼女に、僕は最初からすべてを預けました。


彼女の唇や舌は、優しく僕の口をつついたり撫でたりしていましたが、

そのうち徐々に激しく僕を責め立て、この人なら僕をとても上手に食べてくれるだろうと思わせるほど、小さいはずの口を大きくつかって僕を貪りました。


全身を貪られながらも、

この人から与えられるキスも愛撫も彼女が今まで体を交えたたった二人の男との嘘偽りのない愛情に裏打ちされた営みの中で取り交わされてきたものなのだ、

余計なものは削ぎ落とされ、

必要なものだけ集められた純度の高い表現だけが僕の体に向けられているのだという、

かつて味わったことのない優越感というか、

充実感というか、

なんとも形容しがたい感情が僕の中に熱をもって渦巻きだしました。


その燈された思いが僕の体を芯から焦がし、

彼女の唇や舌先、掌や指先、彼女の意図とは無縁に触れる髪の先に至るまで、

彼女の全てが僕を狂わす快感へ誘いました。


彼女に一度も触れられずに、僕のせいきは精子をぶちまけてしまいました。


飛散した精子は僕の胸や顔、髪の毛を汚しましたが、彼女は僕の体を丹念に舌で掬うように舐めてくれました。


もう彼女の前に恥ずかしいものなど何もないと思っても、

その目に見つめられると羞恥のあまり、

僕の顔は紅潮していくのでした。


僕の張った胸を両の掌で舐めるように確かめながら、

まるで彫刻のようだと彼女は僕の体を褒めました。

彼女はそう褒めながら、僕の乳首や脇などを愛撫します。


今度は彼女の歯に優しく噛まれ、僕のせいきは悲鳴を上げて弾むように弾け、

思わず僕は声を上げていました。


 その人はそれ以外は、ほとんど何も言わずに、僕の鍛え抜かれた体を愛しましたが、


「この体が欲しい」と、


訴えるように一度だけ僕の耳元で囁きました。

   

              つづく


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