07 ざわざわ
今朝は、何やら騒がしいですね。
寝汗やら塗り薬やら何やらを洗い落としてサッパリしたいと、おふたりが朝風呂入浴中。
で、少々騒がしいのです、浴室方面が。
「おふたりとも、日焼け痕もきれいに無くなっていましたから、褒めてあげてくださいね」
えーと、プリナさん。
ヴァンパイアの超回復力を褒める方向で?
「きれいになったことを、ですよ」
うーん、元々きれいなのだから、今さら褒めなくても良さそうな……
「サイリさんとしては、あちらのおふたりはきれい、なのですね」
いえ、どちらかと言えば、可愛い系かな。
「では、可愛いって褒めてあげれば」
いえいえ、日焼け痕が無くなったから可愛いらしくなった、なんて言うと、あらぬ誤解を招きそうで。
「相変わらず頑固さんですね、サイリさんは」
いえいえいえ、こういう会話が出来るのは、プリナさんだからこそ、ですよ。
そもそも普段の僕はこんなにおしゃべりじゃないって、ご存知でしょ。
「存じておりますよ、ありがとうございます」
こちらこそ、ありがとうございます。
……
朝食後、みんなで今日の予定を話し合いました。
スーミャとイリーシャさんは、クロ先生のところへお薬のお礼にお出かけ。
強力日焼け止めとかも貰ってきてくださいね。
プリナさんは、今日はお洗濯がメインとのこと。
昨日から、たくさん洗濯物が出ちゃいましたからね。
僕は……
……
何だか気持ちが落ち着きません。
この感じ、身に覚えがあります。
初めてスーミャたちと出会う前に感じた、なんとも言えないざわざわした感じ。
もしかして、虫の知らせとか第六感とかって言うやつなのかな。
僕の"若仙人"としてのチカラを必要とするほどの事態が近付いて来てる前兆。
あの時はおぼろげながら方角が分かったけど、
ここでゴロゴロしているだけなのに、こんなにざわざわを感じるってことは、
これからここに重大な何かが来ちゃうってことなのかも。
こんなこと、誰かに相談出来るわけも無く、
ただ大人しくここで待つのみ……
ぷるぷるぷるぷる
うぉっと、びっくり。
腕輪『コニタン』のこの振動パターンは、魔導具『Gふなずし』への着信の合図。
何が起きるか分かりませんが、いよいよ始まったようです。
クロ先生からの連絡は、
あのふたりのかゆかゆが再発した、とかでは無く、
入院患者さんを助けて欲しいという、切実なお願い。
僕に、出来るかな……
……
エルサニア王都のモノカさんのお宅に到着です。
クロ先生が同居しているモノカさんのお宅は、一見普通の二階建て住宅ですが、
実は目には見えない増設個室がすっごく高くまで積み上がっているのです。
クロ先生の診察室や研究室も、その個室群の中に。
魔導エレベーターで着いた先は、個室の病室。
クロ先生の秘薬があれば入院が必要な患者さんなんて滅多にいないはず。
余程の大病ってことですよね。
「すまない、サイリ君」
「手を貸してくれないか」
いつもの、冷静で自信満々なクロ先生ではありません。
何だか怖くなってきました。
本当に、僕なんかが何か出来るのかな。




