05 勝利
家庭菜園の食べ頃お野菜の収穫を、日暮れまでがんばった、僕。
うん、一家の主人にふさわしいお仕事、ですよね。
そして、採れたてお野菜を抱えて意気揚々と我が家に戻った僕に、新たなる試練が。
えーと、いつかはこうなると思ってましたが、
ついにお食事問題勃発、です。
人数が増えると必ず発生する、アレ、ですね。
ご存知のように、僕は食事に関しては、一切わがままを言いません。
まあ、プリナさんの料理には文句のつけようなど無いことも一因なのですが。
ここでの食事には、スーミャもイリーシャさんも、これまで文句無しの大満足だったのです。
今日の夕飯がアレに決まるまでは。
こちらの世界の食生活は、あちらの世界の文化が結構浸透しております。
元々、あちこちの国で召喚者が召喚されるたびに少しずつあちらの風習が流入していたそうなのですが、
先代と先々代のエルサニアの統治者がめっちゃ大量に召喚しちゃったせいで、あちらの世界の文化が爆発的に広まったのだとか。
カレー、です。
みんな大好き、ある意味究極の家庭料理とでも呼べる、アレですよ。
もちろん僕たちも大好きなのですが、それゆえに各自に嗜好のこだわりがあるのです。
つまり味付けに関しては、誰しもが譲れない一過言を持っているのですよ。
「とにかく、かっらいの!」
スーミャが、珍しくわがままっ娘です。
「野菜の優しい甘みを活かした甘口こそが至高!」
イリーシャさんが、超強気なのです。
「……」
プリナさんが、見たことないほどの困り顔ですね。
このお野菜、どうしよう。
一家の主人であればこそ、この問題への対応は慎重に、ですよ。
……
はい、プリナさん、お疲れさまでした。
良く煮込まれた野菜の甘みがたっぷり溶け出しており、
後から投入した採れたて野菜の食感も存分に楽しめ、
攻撃的じゃない絶妙に刺激的な辛さも堪能出来るという、
奇跡のようなバランスのカレーでした。
食卓の4人の笑顔は、みんなの希望を見事にまとめ上げたプリナさんの勝利の証し、ですね。
ご飯だけじゃなくて、ナンっぽいパンまで用意してくれたその気遣い、ただただ脱帽です。
「「「おかわり!」」」




