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02 かゆかゆ


「かゆーい」


 ちょっと、スーミャ。


 人前でぽりぽり掻いちゃ駄目ですよ、はしたない。



「だってかゆいもん……」


 我慢しなさい、お年頃の女の子がひと目もはばからずにぽりぽりしちゃいけません。



 えーと、長時間ハンモックお昼寝していたら、当然陽射しも動いちゃうわけで。


 で、涼しい木陰が、いつの間にやら直射な日光浴になっちゃった、と。


 薄々ワンピースなスーミャは、当然日焼けしちゃったわけで。


 真っ白お肌が真っ赤っかで、ヒリヒリのかゆかゆなのですよ。


 って、ヴァンパイアがそんなに日焼けしちゃって大丈夫なのですか。



「私、ハーフだから、ちょっとだけなら平気」


 スーミャは、ヴァンパイアハーフだけどヴァンパイア成分多めな人族ハーフ。


 日光耐性はそれなり、だそうです。



「イリーシャもハーフなの」


 イリーシャさんは、人族寄りなハーフ、だそうです。



 ふむ、ふたりの絆の深さ、ちょっとだけ理解出来ました。


 たぶん、スーミャがあれだけ長期間きっつい呪いに抵抗出来たのは、ハーフだったから。


 なんと言いますか、おふたりの場合は、ハーフであることこそが今の穏やかな生活への道しるべだったのかも知れません。




「はい、お待たせしました」

「クロ先生特製の、かゆみ止め軟膏ですよ」


 プリナさんが『ゲートルーム』でお使いしてきてくれましたよ。


 クロ先生の秘薬なら、過剰な回復効果と異常な即効性、間違い無し!



「サイリ、塗って」


 ……ほら。


 この世界は、隙あらば僕から平穏な生活を奪おうとしてくるのですよ。



 駄目ですよ、スーミャ。


 女の子に軟膏塗り塗りして良いのは、家族と恋人とお医者さんだけなのです。



「それなら、サイリが塗っても良いってことでしょ」


 ……


 なんだか、これ以上この話題を深追いするのは危険な気がする。



 うん、犯罪行為じゃなくて治療行為だし。


 このやたらとデカい瓶入りの軟膏を、患部に塗るだけ、だよね。



 それでは、指先で適量の軟膏をすくって、と。


 お客さん、かゆいところはありませんか。



「全部!」


 ほう、全部ですか。


 そういうこと言うおませさんには、まずはそのちっちゃなお鼻の穴に軟膏まみれの指をぶすりと……



「成敗!」


 いてえ!



「変質者、許すまじ!」


 いや、包帯まみれのあなたに言われたくないですっ。


 って、誰だ、君は!



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