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12 慎み


 大盛りうどんを完食してきちゃったせいで夕飯をお残ししてしまい、


 プリナさんに悲しいお顔をさせてしまったことを猛省しながらの皿洗い。



 こういうとこですよ、僕。


 一家の主人として、いついかなる時でも家族の笑顔を守れる行動を取れるよう、


 常日頃から超一流執事張りの目配り気配りを心掛けるべし。


 そのために、いま僕が出来ることと言えば……



『サイリー、石けん持ってきてー』


 はーい、いま行きまーす。


 えーと、スーミャのお気に入りの香りの石けんは……


 これこれっと、それでは浴室へ、


 って、持っていけるわけないでしょっ。



 扉の前に置いとくよー。


『いっしょに入ろー』


 なんてことおっしゃるかな、この姫さまは。



 僕が変わったとかみんなは言うけど、


 スーミャの甘えん坊っぷりも順調にパワーアップしてきてるよね。


 まあ、これまで抑圧されてきた反動と言いますか、


 本来の甘えっ娘気質が大解放と言いますか、


 とてもうれしいことではありますが、


 お年頃の乙女として、恥じらいだけは忘れちゃいけないよ。



『比べっこはイリーシャ選手の優勝!』



 ……聞こえませんとも。



 ……



 今日も今日とて寝付けずに、居間で飲み物を一杯。


 そしてお約束通りに、イリーシャさん、登場。



「最近、気負い過ぎではないのか、サイリ殿」


 うん、自覚はあります。


 今まで呑気し過ぎてたから、はっちゃけも目立っちゃいますよね。



「平穏を望むなら、もっと私たちに頼っても良いのだぞ」


 はい、頼りにしております。


 我が家のお姉さん、ですもんね。



「いつものように、背丈うんぬんでからかってこないのだな」


 大人の女性として振る舞っている方には当然の対応なのです。



「つまり、普段の私は子供っぽい、と」


 いえ、イリーシャお姉さまは、いついかなる時でもみんなの憧れの素敵な淑女ですよ。



「……ほう、ならばとびっきりのハグをくれてやろう」


 慎み深い大人の女性は深夜に男の子を襲ったりしませんよぅ。



「いずれにしても、もう少し肩の力を抜いてくれるとありがたいのだが」


 善処します……



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