01 現状
『リヴァイス 51 若仙人の欲望と執着の終着』の続きで、
『若仙人』サイリのお話しです。
お楽しみいただければ幸いです。
イシン サイリです。
突然異世界に召喚されて、
召喚主のおじさん(故人)から結構な額の遺産とこじんまりした一軒家を受け継いで、
厄介なチートスキルを授かったおかげでみんなから"若仙人"なんて呼ばれて、
すっごく頼りになる歳下のメイドさんから甲斐甲斐しくお世話されたり、
元お姫さまのちっちゃなやんちゃ娘に懐かれたり、
可愛らしい童顔騎士さまから圧をかけられたりしながら、
自分なりの穏やかな異世界引きこもりライフ実現を目指して、
友人たちの冒険者活動のお手伝いに日々邁進しております。
えーと、現状把握のため、こちらの世界でのこれまでの状況をまとめてみたけど、
なんだかいろいろ残念なだけじゃなく、正直、爆発しろ案件だよね、これ。
……でも、僕なりに、思うところもあるのです。
他の召喚者の方々がおっしゃっていたように、ナニモノカから精神や感情にバイアスを掛けられて本人の意図せぬ方向へと人生を導かれているとしたら、
僕なんかがジタバタしたところでどうにもならないんじゃないか、と。
いや、ジタバタ足掻いてる様子を、そのナニモノカがによによ笑いながら楽しんで見ているかもしれないって思ったら、
何かすっごくイヤだな、と。
つまりは、これまで以上にしっかりと気を引き締めて、
アレなイベントごとに関わらないよう引きこもり道を極めてやる、っていう堅い決意を胸に、
今日もハンモックでお昼寝するのです。
zzz……
「あれ、どうにかならないのだろうか、プリナさん」
「あれは、サイリさん流の精神鍛錬なのかも知れません」
「実際、あの後って、不思議と集中力が増してお仕事の能率がアップするのですよ、イリーシャさん」
「ふむ、疑う前に、まずは実践してみるべし、かな」
「はい、あちらでおねむしているスーミャの、お隣りのハンモックへ、どうぞ」
「それでは、失礼して」
……
うーん、気持ち良い目覚め。
さて、今日はどの本を読もうかな。
って、プリナさんが手招きしてますよ。
なんでしょ。
おっと、スーミャとイリーシャさんがデュエットでお昼寝中です。
ちっちゃな元お姫さまの隣で、
ちっちゃな童顔騎士さまが、
口元をもぐもぐさせながら熟睡中ですよ。
おふたりとも、お昼寝の本分をわきまえずに、
がっつりマジ寝しちゃってますね。
まあ、しょうがないでしょう。
お昼寝初心者が陥りやすい罠ってやつですし、
この機会に心ゆくまで惰眠を貪るが良かろう、なのです。
「……もうたべられないよう……」
うわっ、失敗したっ。
せっかく『コニタン』にボイスレコーダーっぽい機能があるのに、今のレア寝言を録りそこなうとは。
普段やたらと大人アピールでマウントを取ってくるイリーシャさんへの、強力なカウンター手段となったのに。
くいくい
プリナさんが袖口を引っ張るのは、
……武士の情け、ですか。
さすがはプリナさん、優しさ無限大ですね。
分かりました、このまま快眠させてあげましょう。
でも、イリーシャさんが目覚めたら、ひと言言ってやらねばなりません。
革鎧でのハンモックは禁止!
ハンモッカーの風上にも置けませんね、全く。




