転生の間
僕は、白い霧の中を歩いていた。
目の前に門のようなものとひときわ輝く光が見えた。
目の前には人の行列があり、皆そこに向かって歩いていた。
門の前に近づくと、光は女の形をしていた。
金色に輝く姿はとても美しかった。
門をくぐろうとすると彼女が話しかけてきた。
「日吉空くんあなたは、こちらへ 」
「ん?」
「目の前にあるのは、転生の門。ここをくぐると魂になりランダムに転生されます。あなたは、生前の徳から別メニューになりますので、後についてきて下さい 」
「は、はい」
彼女は、女神様なんだろうか?
歩き方も気品がある。
訳もわからす後を後を歩いていくともやがはれていき、大きな井戸のようなものが目に入った。
「この中をご覧ください 」
彼女が手招きしていた。
大きな井戸の中には、宇宙があった。
「星のように見えるのは、転生先の世界です。あなたは、この中のひとつに生まれ変わることになります。その中でも一番新しく消滅してしまいそうな世界があなたの転生先になります 」
「はっ? 」
女神様を見ると微笑んでいる
「生前あなたは、何をやっても中途半端でしたね。好きな女性とお付きあいしたくても上手く自分の気持ちを伝えられなかったり、勉強でトップをとってやろうと頑張るも眠気にまけてあきらめたり、会社でも実力で出世してやると意気込んだものの上司とうまくやれず評価されなかったり、全て中途半端でしたね。環境のせい、他人のせいとかたづけゲームやアニメの世界に逃げ込んだのがあなたの人生でしたね・・・ 」
「・・・」
その通りなのだが・・・あらためて言われると立つ瀬がない。
「てすが、男の子を交通事故から救うために自らを犠牲にした行為は評価出来るのです。あなたが助けた男の子は、将来世界平和を実現する大人物になる使命をもった子供だったので、あなたへの天界の評価は高いのです。
・・・それが、たまたまであったとしても・・・」
にっこり微笑んでいるけど、何かおそれ多い。女神様だからだろうか?
「ですので、最強の力で新世界を消滅の危機から守っていただく一人として転生していただく事になりました」
「はいっ? 」
「あなたに与えられるのは『生力絶倫』という力です。あなたの認識からすれば、無限の魔力を持ち最強になれるということでしょうか 」
「今度の世界は、異世界ファンタジーみたいなとこなのでしょうか? 」
「そうですね。しかも、あなたの大好きな三国志や戦国時代のように国と国が覇権を争っている物騒な世界でもあります 」
「王となり世界を救えと? 」
「その通りです。それだけの能力をあなたは持って転生します 」
「責任重大ですね・・・ 」
「まあ、その力をいかすもころすもあなたしだいですけどね 」
「?」
「世界の王になれる力を持ってあなたがどう生きるかは自由です。あなたが失敗しても替えはいくらでもいますからね 」
「使命を持ったものは他にもいると? 」
「ええ、生まれ変わるとき記憶をなくしていますから気づいていないものも多いですけどね。そのものたちを見つけ協力するもよし、単独で使命を全うするもよし。あなた次第ですかね? 」
「僕も記憶はなくなっちゃうのですか? 」
「あなたの能力は特別なので記憶は殆ど失われません 」
「お得ですね 」
「そうとらえていただけると嬉しいのですが、生力絶倫の力にはひとつだけ欠点がありまして・・・」
「? 」
「あまりにも強力な力なので、一定以上生命力を放出しないと、身体が破裂してしまうんです 」
「は! 」
「しかも、13歳になるまでに精通をしないと力を発揮することなく、体内の生命力が爆発して破裂します 」
女神が申し訳なさそうに言う
大きな力ゆえの反動か?
まあ、たまったら自分ですればいいんだから大丈夫だろ
「だ、大丈夫です。自分で処理できますから・・・」
「・・・それはできないのです。あなたは、他人にしてもらうか、性交をするかしないと精を放出来ない身体になってしまうので・・・ 」
「! 」
「でも、大丈夫です。ありあまる力を放出し続ければいいのですから 」
「ま、魔法とか使っても放出になるのですか? 」
「もちろんです 」
「じゃ、大丈夫そうですね 」
「ええ、一度精通してしまえばあとは色々な放出方法がありますから 」
「? 」
「先程も申したように、13歳までに精通しないとぐっちゃぐちゃに破裂します。それまでは、生命力を放出する方法がありません。もちろん、魔法も使えません 」
「と、言いますと? 」
「何度も申し上げたと思いますが、他人の手をかりて放出しなければ、魔法も使えるようにならず、ぎっちょんぎっちょんに破裂して死んでしまいます 」
「な、なんてすと~ 」
「なので、そうならないようあなたの記憶はほとんど残したままでの転生となります。ですので、初めての放出頑張ってくださいね 」
「はあ~? 」
「では、時間もないので・・・」
女神が右手をあげると、身体が浮いて世界の井戸に放り込まれた。
「あ~れ~ 」
暗い井戸に投げ込まれ、朴の意識はそこで途切れた。