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街道整備

 鍛冶屋に行くと、

「おう、良く来たな!」

親方が自ら出迎えてくれた。なんとなくVIP対応っぽい。背中に隠れる様にしていたのは杏さんだった。

「お久しぶり!師匠から連絡貰ってね、飛んで来たの!変身の都度大変でしょ?ちょっとビックリしてもらうわよ。」

ワクワク解説のテンションを上げる杏さんと、無口だが自信に満ちた表情の親方を見ているだけで、相当良いモノが出来上がったのが伝わってきた。お弟子さん達が完成品を運んで来た。鈍く光るガンメタに、燻銀のアクセント。サイズ的には5つともメンズに見える。首を傾げて説明を待つと、

「こうやって、魔力を込めると・・・」

一瞬眩しく光って、ぐっと小さくなり、色も燻銀にガンメタのアクセントに変わっていた。

「奥様達が、男性に変身しちゃったって聞きまして、この機能を付加したかったのよね!」

モゾモゾと親方は、

「こんな魔力の強い猫、大変だっただろ?」

魔力で変形させるには、化ける事が出来る魔物の爪を使うそうだが、ここまで本格的に変形させるには、かなりの魔力を持った魔物の爪が必要との事。

「四元さんと一緒に暮らしてた猫ちゃんに貰っていたんです。男女変更までは想定していませんでしたけどね!」

ディアンが人の姿で暮らしてた時に、爪切りした時の爪を集めていたそうだ。ディアンの変身能力とリュンヌの回復能力が付加された特別仕様に出来上がったそうだ。


 現地調査に向けて、一応遠征の準備。ポーチにはいくらでも物が入るので、同行する人達も含め1週間程度の食料とかを詰めておく。事故、事件、油断せずに備えておけば、大抵は無事に帰ってこられる。

 塾生の一人がリーダーになり、役人風の人が1人、工事業者さんが2人と、ワタシ達リュンヌも含め6人、計10人で、公用車っていうのかな?お役人さんの乗る立派な馬車で現地に向かった。

 新調した防具で完全武装した4人が、外から見えるようにしているので、人間の不審者はターゲットにしないし、当然

ナンパも寄ってこない。リュンヌはチョーカーを外し、龍のオーラを撒き散らしているので、魔物にも会うことはない。

 順調この上なく、調査ポイントに到着した。

 一つ目は谷越えの橋。距離は50メートルにも満たないので、その位の技術力は有るようだが、深い谷なので、足場がなく工事出来ない。現状、山側に廻り込んで、幅が狭くなった所に架かった橋を渡る。アップダウンの激しい道なので、2時間程の迂回になっている。

 2時間掛けて対岸に到着。最短距離の地点は、王都側より10数メートル高くなっていた。

 そのまま、海に向かい、岬の尖端を回って戻って来る。険しい山が壁になっていて、ここも1時間程の迂回になる。トンネルができれば数十メートルだろう。

 橋とトンネルで100メートル足らずで、3時間の迂回がクリア出来る計算になる。地図で高低差を調べると、王都側の高さで橋を掛け、そこからトンネルを掘り進めば、樽内側の街道の同じ高さ到達出来ることが解った。トンネルの長さが、地図上の最短より少し長いが、ほぼ直線でショートカット出来そうだ。

 トンネルの掘削ポイント迄、家の基礎工事の応用で階段を作りながら降りて、取り敢えずの足場作った。リュンヌは、首筋を掻いてコイン程の鱗を剥がすと、

「山の向こうまで穴を掘るのであろう?目印じゃ。」

掘削開始ポイントに貼り付けた。

 グルリと岬を回って、樽内側に到着。リュンヌは周りを観察して路面から3メートル程の岩壁を蹴った。ちょっとした足場が出来ると、王都側に置いてきた目印に向かって(かな?)、手のひらを突き出した。リュンヌがぼんやり光ると地震?いや、重機が通った様な揺れを感じ、10分程経っただろうか、岩壁が崩れ、金色に光った。金の光はふわりとリュンヌの手に収まった。首筋に鱗を戻すと、ヒラリ舞い降りた。

「目印になる穴を開けておいたぞ。早く、旨いモノを食べに行こう!」

工事業者さんが、様子を見ようと際壁にトライしたが、全く歯が立たないようなので、また魔法の階段を作ってあげた。

「ほっ、本当に貫通してます!」

10センチ程の穴が王都側まで真っ直ぐに続いていた。会話は聞こえないが、手振りを読むと、掘削で出た土砂を樽内側の街道の盛土に使い、高さを合わせるつもりと思われる。

 今回の調査は完了として、樽内の温泉宿に向かった。温泉と海鮮を堪能、夜になると、

「今日のワシはしっかり働いたであろう?褒美はひかりと同衾じゃ。安心せい、お主等が焼き餅焼くような事はせぬ。」

目があった夏彦は、あきらかに赤面していた。


 部屋に入ると、

「ちょいと張り切り過ぎのようじゃ。」

布団に潜り込むと、直ぐに寝息を立てていた。チカラの使い過ぎは想定していたが、態々のご指名なら、母乳で回復するのかと思っていたので、ちょっと空振りの感じだった。

 特になんということもなく朝を迎えた。

『暫し山に籠もる』

リュンヌからの念話で目を覚ました。布団の中には抜け殻状態のパジャマ。緑のチョーカーも枕元に置いてあった。リュンヌに匹敵する魔物や冒険者はまず居ないので、襲われたりする心配はないが、ご飯が食べられるのか、迷子になったりしないか心配で皆んなに相談。

「暫しって言うんなら、すぐ戻るんじゃないかな?」

全員、楽観的な推測なので、気にしない事にして、調査の続きで現場に向かった。


 専門的な調査に付き合って、移動を含め丸一日。リュンヌか居なくても、魔物の出没は無かった。普段も危険な魔物は滅多に出ないが、追い払う程度の雑魚も全く出ないのはかなりのレアケースだ。

「リュンヌの気配が残っているのかな?それとも、何かしてるのかな?」

皆んなも同じ様な事を考えていたが、チカラ的には可能性大でも、そんな小細工するかな?って事で、当然ながら結論は出ず、結果オーライを享受した。

 橋は、谷底付近の幅が狭くなった所はに橋を架け、それを足場にその上に橋を架ける。何層も繰り返して、街道の高さにするそうだ。

「じゃあ、谷底迄の階段を作っておきましょう。」

結構な深さなので、夕方まで掛かってしまったが、資材運搬が何とかなる程度の階段が完成した。

山の日ですね!

世の中、夏休みでしょうか?

ちょっと夏休み気分で、明日も投稿します。土日も合わせて4連投です。よろしくお願い致します。

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