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冒険者登録

 乗り合いの馬車で最寄りの街に向かう。馬車は、15人位乗れそうだが他の客は居なかった。3時間ほど揺られて街に到着。一泊して、また別の乗り合い馬車で次の街を、目指す。宿は無く、駆け出し冒険者向けの、テントスペースに泊まった。幸い空いていたのでトラブルにならず旅を進めた。

 6日目の朝、目的の街に到達、王都の隣り町の伏丘(ふしおか)と言う街だ。賑やかな大通りに降ろされると、目の前が冒険者ギルドだった。

光樹(こうき)、ネックレス外して。」

秋穂が耳打ちした。施設にいた頃は『四元さん』だったから、ちょっと嬉しかった。そんな呑気な事はいいとして、若返った俺は、どう見てもひよっ子で、美少女四人侍らせたハーレムパーティーにしか見えないので、絡まれるのは必須だろう。

「冒険者登録をお願いします。」

遠巻きにしていたガラの悪い男達が距離を詰めて来た。

「随分幸せそうだな?」

ボスっぽい男が肩を組むように覆い被さった。

「まあそれなりにね。アンタはそうじゃ無さそうだな。」

視線を合わせ殺気を放つと、男は崩れ落ちた。野次馬との距離をキープしつつ手続きを進めた。申請書を提出すると、

「魔力測定します。」

測定器を渡されギュッと握る。野次馬の輪がグッと縮むと、測定器から火花と煙が出て、嵌めてあった水晶玉が砕けて弾け飛んだ。驚いた野次馬達は壁際に貼り付いていた。新しい測定器で四人が計測したが、全員がメーターを振り切って測定不能。大きな街にある大きなギルドなら、立派な測定器があるらしいが、まあメーター一杯分で登録して貰って手続きを完了した。いくら魔力が高くても、初心者は最低の階級からスタートなので特に気にすることも無い。

 明日の依頼を受けて宿を探しに行く。受付嬢にオススメを尋ね、徒歩数分の宿に向かった。

 ギルドを出た途端、

「この野郎、どんなイカサマ使ったんだ?お前ら、やっちまえ!」

子分達をけしかけたが、粉砕された魔力計を見ていた子分達は、一歩も動かなかった。失神していたボスだけが、ヤル気満々、剣を抜いて威嚇した。

「ん?」

光樹が振り返ると男の構えた剣が光り輝いた。

「あの剣、あんな魔剣だったのか?」

子分達がザワ付いた。

「熱っ!熱ちちちち!」

輝く刀身は溶け落ち、構えていた男は剣を投げ出したが、顔や手が火傷で水膨れになっていた。

ヘナヘナと座り込むと、子分の一人が、

「アイツ、魔力計ぶっ壊したし、ツレの女達もメーター振り切ったっス!関わらない方がいいっス!」

完敗を受け容れた様子を確認すると冬実は、

「相手の力量を読める様にならないとね!」

火傷にフゥっと息を掛けると、ギャっと呻いてまた失神したが、火傷はスッカリ治っていた。

「ネックレス、まだ必要みたいね!剣が溶けちゃうと思わなかったでしょ?」

秋穂は楽しそうに笑っていた。確かに、『熱ちち!』って手放す位を、想定して熱気を放ったが、魔力のコントロールがまだまだだったようだ。


 宿を確保して、夕食に出掛けた。酒場ばかりで、一番食べる物が有りそうなのは居酒屋くらいだった。また絡まれるのを覚悟したが、ギルド前での悶着が街中に知れ渡っていたようでスムーズに店に入り、スムーズに乾杯、騒ぎにならずに帰って来られた。

「美味しかったけど、毎日は無理ね。稼ぎも予想付かないからね。」

春菜は堅実に懐を計算していた。自炊の出来る宿か、長くここに居るなら借家を探そうと話し合った。

 今夜の宿は8畳間、まあ寝るだけなら気にならないなって程度で素泊まり一人一泊300円。前世の日本の10分の1くらいだろうか?そうなると3億借りているって事になるのか。ちょっと、イヤかなり怖くなってしまった。

 風呂は共用で男女交代制、女性の時間帯だったので、一人で留守番。遅めに男性の時間帯になりのんびり湯に浸かった。

 部屋に戻ると布団が4組敷いてあり、春菜だけが起きて待っていた。目覚舎にいた時の最後の夕食当番が冬実だったので順番から行くと、春菜の所で寝る事になりそうだ。もう一組敷いても問題無いスペースだが、

「改めて宜しくお願い致します。」

三つ指をつく春菜にダメ出しをする気にはならなかった。


 正面に座って抱き寄せる。華奢な骨格はそのまま、柔らかく弾力のある抱き心地に変わっていた。重ねた唇も絡まる舌も瑞々しく、理性を掻き乱す甘い香りを嗅いだのは初めての体験だった。衿元を開くと、皮膚が弛んでぶら下がっていた所は、滑らかで柔らかな大きな肉丘になっていて、サクラ色に染まる先端にしゃぶり付いて、もう片方を手の平で堪能、溢れ出すボリュームを確認した。

 浴衣の帯を解いて、もう一度唇を重ねた。人差し指は春菜の湿り具合を確かめつつ、浅く速くなって来た呼吸に拍車を掛けた。中指も参戦させ、お互いの鼓動が高まっていよいよ!

「うっ!」

肝心の光樹(・・)が暴発してしまった。

「気にしないで!それだけ私が魅力的だったって事よね?」

回復魔法でリベンジと思ったが、春菜は肌を合わせたまま寝ついてしまった。おあずけを喰らった気分だが、寝顔を眺めるのも悪くなかった。後で聞いた話し、自らの魔法で回復してからの行為は乙女の矜持に反することらしい。色々大胆な事をする割に、気にする所が有るのはちょっと面白いと思えた。


 翌日は早起きしてギルドで請けた依頼の薬草採取。馬車も無いので、徒歩圏の山に登る。初心者パーティーは、危険度の低い依頼しか受けられない。地道にポイントを重ね階級を上げ、難易度と報酬の高い依頼にシフトして行く。偶にある緊急依頼や上級者の下請け、依頼外での魔物駆除や犯罪者の逮捕、討伐での特進もあるらしいが極めて特例だそうだ。しばらくはここで活動する事になりそうなので、やはり手頃な棲家が必要だろう。

 駆け出しパーティーの階級は『丙の下』、当然九つある階級の一番下からのスタートだ。階級は個人では無く、パーティーに設定される。上位のパーティーに初心者が入ってもオーケーと言う事なのでザル法っぽい。上位のパーティーに加入し、1年以上在席して、分家的に独立すると、元のパーティーの一つ下の階級になれる。街の有力者や、大金持ちの息子達は、大金を積んで甲ランクのパーティーに入り、1年後独立するそうだ、昨日絡んで来た男も金の階級を持っていたが、どうに見ても青銅の階級符(丙クラス)が適正と思われた。別に上を目指している訳でも無いので、小細工等はせず丙の下パーティーとして始動する。便利屋風の仕事ばかりの中、受付嬢のオススメが薬草採取。

「薬草採取の時に、偶々(・・)出た害獣を駆除してもポイントになりますから、駆除の確証はチェックしておいて下さいね!」

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