王都の休日
無事に姫を送り届け、黒幕の始末も出来たので、任務完了。報酬は現金で取り引きするような額じゃ無いのでギルド経由にしてもらった。
豪華な客間にこもって、光樹に戻ろうと変身を試みる。予想はしていたが失敗だった。取り敢えず人間になる。大人になったひかるの姿で、ポーチから魔法解除の黒い水晶珠を取出した。頭上に掲げたが、反応は無かった。試しに猫になろうとしたが、変身出来ない。水晶珠を箱に戻すと、猫とひかりには変身出来た。
また、戻れないのか?自分を【鑑定】すると、【魔法免疫】のスキルが働いていた。身体を蝕む魔法を受けると、1回から数回で受付なくなるスキルだった。あきらめて、ひかりの洋服で部屋を出ると、
「あら、戻れないの?そんな格好じゃ不味いわね。」
春菜は、特にがっかりした様子ではなく、部屋に戻ると、パーティー用のドレスを出した。念話で呼んだのか、他の妻達も集まって、急遽ファッションショーが開催された。俺の衣装が決まると、皆んなも着替え、パーティーの支度が整った。
今回は、姫の到着を祝ってのパーティーで、極身内と、護衛に当たった騎士団の幹部と俺達、、、あ、ワタシ達が招待されていた。貴族の皆さんは、冒険談が好きなようで、盗賊団のアジトを抑えて根こそぎ捕まえた話が1番ウケていたかな?最初はそれぞれに輪が出来ていたが、冬実が講談師のように面白可笑しく話すので、いつの間にか、冬実のトークショーのようになっていた。
「この度は、父がご迷惑お掛けしまして、申し訳ございませんでした。」
ん?王家の方ですよね?顔中に『?』を浮かべると、
「私、王弟の妻で麗と申します。旧姓は樽内です。」
えっ?大丈夫?
「あのぅ、ご実家の件で不味い事とか・・・」
「ハッハッハ!心配は要らぬ、今回騒動も、麗が気付かなんだら、足元救われていただろうな!」
王様が笑っているので問題ない?実家が嫁ぎ先に弓を引くなんて、一族纏めて捕らえられても不思議じゃない筈だが、普通にパーティーに参加し、ウエイターのトレイから飲み物を王に取ったりしていた。顔に浮かべた『?』が消えていないに気付いた、多分かなり偉い人が説明してくれた。
「麗が嫁いで着た時も、舅殿は野心満々で困ったモノでしたよ!」
なんと、王の弟、役職は無いが、王の補佐全般って仕事をしている。前回の王位争いって言うのは、ほぼ無かったようなモノで、麗の父、樽内領主が独りで騒いでいた感じだったらしい。当時は領内も栄えており、次回は財力で王位を勝ち取るつもりだったらしい。そして今回、第一王子妃に孫娘を推したが、王子は幼馴染みを選び、第二王子でリベンジの予定が、またしても幼馴染みに軍配が上がった。領内の景気は冷え込み、有能な人財は流出、にっちもさっちもいかない状態になってこの度の事件になったそうだ。
「王家だけの秘密を父が知っていたりしたので、良からぬ事を考えていると思ったの。地元の友人に様子を聞くと、評判の悪い冒険者が急に羽振りが良くなって、貴族の屋敷に出入りするようになったそうなので、円さんが狙われていると思ったんですよ。」
その後が、前回の、替え玉作戦に繋がる様だ。
今後の樽内は王弟が治めるそうだ。樽内は、円の呪いを肩代わりして亡くなったと発表し、王弟が妃の実家を継ぐ形になり、波風の無い円満な領主交代を演出。王家とのパイプをアピールして、樽内の復興を目指すとの事。八方丸く収まった様なので一安心、パーティーもお開きの様なので部屋に戻った。
それぞれ個室が当たっているが、4人とも俺の、、、あ、ワタシの部屋に集まっていた。
「もしかして、何か期待してる?」
ちょっと惚けて見たが、冬実の反応は、
「ひかりは、どっちに、魔法掛けたい?」
掛けないって選択肢は無いようだ。答える代わりにそれぞれに光樹を作った。4ラウンド続けて揺れて、控え目に終了。いくら大きいベッドくても5人はキツい。まぁ、重なりあって絡み合っているので、ベッドから落ちる心配は無さそうだ。光樹に戻って、不甲斐ない光樹の心配をしているより、おまかせで揺られる方が素直に悦びに浸っていられるので、このままでも良いかと思うくらい堪能して、昨夜の寝不足のせいか、おかわりを強請ることも無く眠ってしまったようだ。
翌朝、1番に目覚め、仰向けで寝ている春菜の光樹が臨戦態勢だったので、跨って揺れると、
「斬新な目覚ましね!」
春菜も揺れると皆んな目を覚まし、交代で揺れあった。
国王にお暇の挨拶をして城を出た。ポーチに入れていたのが、白ワンピだけだったので、着替えを買いたいと主張したが、ポーチの中にはこの姿になったら着せようと思っていた洋服が何着もあるそうで、冬実はノリノリで、
「直ぐ着替える?結界で更衣室作ろうか?」
ファッションショーは面倒なので、丁寧にお断り。清楚百パーセントのワンピは、妻達が戦闘モードの迷彩だったから浮いた感じだったけど、皆んな街歩き向けのカジュアルな感じだったので、それ程違和感ないのでそのまま、市内観光に向かう事にした。
買い食いをしたり、大道芸を見たりして、お祭りかと思ったが、普段の景色とそんなに変わらなく、第2王子のお祝いムードで何割か華やかになっている程度らしい。他の街では見ない物があったり、冠龍でしか見なかった、北の異国の土産物など、きっと全国の物が並んでいるんだろう。まだ行っていない、南部の物や、南方の異国の物を物色していると、輸入品専門店と言った感じの店があり、早速物色すると、コッチの世界では諦めていた、コーヒー豆を見つけた。が、ミルやドリッパーがとんでもない価格、一通り揃えたら3万以上掛かってしまう。お茶ならドラム缶で何本も飲める金額だろう。
「あら、懐かしいわね。」
値札を見て、即却下と思っていた春菜は、元の世界の断片的な記憶に喫茶店の景色があるそうだ。コッチの世界に来て、最大の贅沢品かもしれない。
「あんなに欲しそうにしていたら、止められないわ。普段、無駄遣いしないし、今回の依頼も高額だったから、まぁ妥当な贅沢と言う事にしておきましょうね。」
店は見かけより奥行きがあり、奥に進むにつれ、どんな需要?誰が欲しがる?って品揃えになっていく。お客も段々疎らになっていたが、ほぼ突き当たりの奥の店に行列が出来ていた。並んでいるのは若い女性ばかりで、看板を確かめると、ランジェリーショップだった。中は見えなくなっている。引き返そうと思ったら、両腕を秋穂と冬実に捕まれ、春菜は既に最後尾に並び、夏果が背中を押している。
まぁ仕方が無いので、一緒に並び、1時間程で店内へ。先に入っていたお客は、ぱんつ一丁で身体を測って貰っていた。妻達も躊躇う事無く脱ぐので、合わせて脱いだ。腕を組んで普段は人前に晒さない部分をなんとなく隠していると、夏果はその両手を引っ張り、
「こう言う時は、潔く晒したほうが恥ずかしく無い。」
堂々としている妻達に習い、測定の順番を待った。