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襲撃

 アセトアルデヒドの処理が終わり、頑丈に漲っていた光樹(・・)も、やっと収まった。のんびりしていると、妻達が木綿子と一緒に帰って来た。

「敵さんも、ただ黙って成行きを見守るって訳は、無いですよね?」

買って来たのは旅支度?春菜は、袋からワンピースや靴を出しながら、

「お忍びでお出掛けするプリンセスってコンセプトで衣装を揃えたから、変身して!」

「えっ?また、元に戻れ無くなったりしないか?」

秋穂は買って来た衣類を俺にあてて、

「私が選んだのですから、当然似合いますわ!別に、どっちの姿でも何か変わりはあって?」

どうも決定事項らしいので、変身にトライ。意識して性別を変える変身は成功した事が無いので、上手く行かなければ、別の作戦を考えれば良いかな?だめもとで、12歳の金髪の少女をイメージして、身体を魔力で満たした。軽い目眩がして、身体が縮んだ事が実感できた。

「ひかりちゃん、久し振り、はい、お着替え。」

冬実に着替えを渡され、身体を確かめながら着替えると、変身はしっかり成功していた。

 夏果が居ないと思ったら、

「武器と防具、ちゃんと手入れして保管しておいたから、直ぐにでも使える!」

こちらも準備万端だ。


「では依頼の内容をご説明致します!」

木綿子は書類を配って、背後の『敵さん』や、今回のミッションについて説明を始めた。

 第2王子擁立で院政を狙っているのは、樽内(たるない)領主で現国王が即位する時にも、当時の第2王子に、自分の娘を嫁がせ、『王の義父』の座を狙ったそうだ。樽内領は裕福だが、先代の王が

「あの領主は政をしていない、商いをしている、アヤツが優秀な訳では無く、土地と民が富を産んでおるのじゃ!」

と、第1王子が今の王になったそうだ。

 先代王の見込み通り、樽内の有力な人材は王都に流出、農作物は順調だが、加工工場は税の軽い他の領に移転、漁師も、他の港に水揚げした方が実入りが良いので、港も寂れて来たらしい。そこで、起死回生のプランとして、孫娘を第2王子に嫁がせ、王家を乗っ取る事を企てていた。そこで、幼馴染みで許嫁、しかも、実家やその交友関係が、王家を支える立場の貴族ばかりの姫が狙われたらしい。

 前回の誘拐未遂事件で、黒幕である事は間違い無さそうだが、決定的な証拠が無いので、対応に苦慮しているそうだ。    

 敵さんも、おおっぴらに行動する訳にもいかず、前回で手駒を使い切った様子なので、もう良い手は無さそうだ。ただ苦し紛れの自爆とか、テロの様な作戦に出られると、被害を防ぐのが難しくなって来る。

「それで、俺がエサになって、おびき寄せるんだな?」

「ひかり、その言葉遣いはなんですか?」

確かに、プリンセス候補には不似合いだったかな?

「は、ハイ、気を付けます。」

小さくなって、話題を進めて貰った。

「また、同じ作戦ってどうなの?俺、いやワタシが替え玉ってバレバレでしょ?」 

「いえ、樽内のスパイは把握出来たので、あの件については嘘の情報を流しているから、問題ありません。今回もソコを利用して、入城パレードの前にお忍びで王都に入るとニセ情報を流してるんです。」

 騎士団に護られての大規模な車列で王都に向かうのが1週間後、その前に成りすまして王都へ向かう。そこで襲って来たヤツを返り討ちにする作戦だ。バタバタと荷物を整え、猫に変身して、恵歳に向かった。


 恵歳に着いてギルドに向かった。今回の作戦はトップシークレットなのでギルドでも、木綿子の友人の職員しか知らされていない。猫になっている俺を見つけ、

「木綿子さんはお元気ですか?」

「ええ、ボチボチです。」

春菜が合言葉を答えた。

「あまり治安が良いとは言えない地区なんで気を付けて下さいね。」

街外れの地図と鍵を渡された。


 歓楽街の奥、女性客が殆ど?いや、全然居ない通りの安宿が地図の目的地で、渡されていたのはそこの鍵らしい。12号室と書かれていた。ここで一泊して、暗いうちに、城の通用口で姫の引き渡しに見せ掛けて、猫から替え玉に変身する。領主の依頼を請けた冒険者が

こんな安宿に泊まる筈ないので、これもちっちゃいフェイクのつもりだろう。狙いは正しいが、周りの部屋から聞こえる、お楽しみの声や、ベッドの軋む音が気になって落ち着かない。妻達はギシギシにダブルベッドに収まり、猫になっている俺はソファーで丸くなった。


 翌朝?まだ真っ暗なうちに、城の通用口に向かう。見張りに階級符を見せて夏果と冬実が門を潜った。俺はこっそり冬実の上着に紛れて城に入った。女の子に変身して用意しておいた洋服に身を包み、ニセ姫の出来上がり。二人に挟まれて馬車に戻った。馬車もレンタルで、俺達だって臭いをさせないようにしている。

 街道を通って極普通の旅を装う。割と治安が良い地域なので、盗賊なんかの心配は少ないが、万が一そんな事になったら、折角の罠が台無しなので、本命に襲われるまで、無事を祈るしかない。

 陽が高くなると、ナンパが面倒だったが、幸い、しつこく纏わり付く奴は居なかったので、無事に危険な地域にたどり着いた。次の町との中間点で、待ち伏せに都合良い薮に挟まれている。【千里眼】【破視】【鑑定】を駆使、18人が潜んでいて、殆どが武術に秀でた者で、

数人が強い魔力を持っていた。その中に、闇属性だけでとんでもないレベルの魔力を持つ者がいて、今回の中心だろう。こちらとの距離を測っているので、射程圏に入ったら、魔力攻撃を仕掛けて来るだろう。

「結界の準備だ!あのコーナーの辺りで魔力攻撃が来る、かなりの威力だと思う、全員で防御だ!」

「お嬢様、言葉遣い、お気を付けて下さいな。」

冬実はちょっと小言を言ってから、呪文を唱え始めた。コーナーに入ると、予想通り、強力な闇魔法が襲って来た。5人の本気の結界はしっかり耐え切ったが、周囲の草木は枯れ果てていた。幅10メートル程、術者から30メートル、馬車を越えてからもまだまだ数十メートルは枯れていた。

 安心する間も無く、武術組が駆け寄って来る。枯れた薮を蹴散らすと、動物の死骸が転がっていた。さて、どう迎え撃つ?結界から出ては闇魔法のターゲットになるし、3倍の人数を相手に斬り結ぶのも悪手だろう。馬車を動かせる程度の結界に切り替えようと思ったら、駆け寄る男達がバタバタと倒れた。急速に干乾び、ほんの数分で白骨化してしまった。剣を杖代わりに何とか立って居るのが数人、弓で片付けようと思ったが、闇魔法の、第2波が一掃した。俺達の結界は無事だが、結構な魔力を消費した。現時点で残っているのは、味方も関係なく魔法をぶっ放すイカレ野郎と、多分雇い主と思われる、魔力も体力も大した事のない老人だけになっていた。

 イカレ野郎は普通に視界に入りグッと近寄った。徳久利を煽ってストレッチ。回復剤で補った魔力で至近距離からぶっ放すつもりだろう。先の2発から考えると、この条件で喰らっても耐えられるが、そう何発も貰いたくない。

「イカレ野郎が一発撃ったら、秋穂はあの徳久利を狙ってくれ!春菜と夏果は周りの邪気を浄化、冬実は引き続き結界を頼む!」

 第3波を耐え、秋穂の矢はイカレ野郎の徳久利を射抜いた。続けて本人を狙ったが、あっさり弾かれてしまった。周囲の浄化が済んだので、結界を解いて魔法攻撃。次々と着弾、イカレ野郎はボロボロになって倒れた。ミッションクリア?ではなく、起き上がってきた。

 身体がデカくなり、身長は2メートルを越えるだろう。鎧の様な筋肉は、担いていた大剣を振り上げた。結界を張り直して様子を見る。結界は振り下ろされた剣を弾いたが、皆んなのダメージを見ると同じ威力だとして2、3発だろう。何か手を打たなくては、勢いは相手に行ってしまいそうだ。

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