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元領主逮捕

 大量の襲撃者を捕らえ、こちらは無傷。避難や準備に手間が掛かったのと、協力してくれたご近所さんや冒険者達に御礼を支払った位で済んだ。今回捕まえた分の成果を考えると黒字と捉えても良いくらいだろう。直ぐに尊村を追いたい所だが、捕らえた襲撃者の始末もあるので今夜はあきらめる事にした。

 尊村一行は、町外れの空き家に潜伏している。陽動作戦が不発に終わり、想定外の鉄壁な護りに為す術もないも無く退散。折角集めた脱獄囚もまた塀の中に戻される。良くて刑期が延び、そうでなければこの世に留まる事は無いだろう。残ったのは尊村を含め11人。皆、盗賊団の幹部だった男達だ。

「話が違うじゃないか!魔力は強いが、小娘を襲うだけだって言ってただろ?確かに結界を張った屋敷に住んでるとは聞いていたが、ありゃ屋敷じゃ無く要塞だろ?ギルドも、騎士団も着いてたんじゃ勝てっこねぇだろ?俺は抜けるぜ!」

 一人が立ち上がると6人が続いた。

「牢から出して貰った恩を忘れたのか?」

「俺に付いて逃げるんなら連れて行ってもいいぜ、でもアレと戦うのはゴメンだな、お前さんもあきらめた方がいいぜ。」

「忠告ありがとう。私からも忠告を差し上げよう。」

立ち去る7人に魔力の刃を飛ばし、

「裏切った相手には、背中を向けない事だ。」

尊村は7つの死体を放置し、他の3人とともに空き家を後にした。


 さて、第2ラウンド。翌朝、暗いうちに逆襲撃。尊村の姿はなく、空き家には7つの死体が転がっていた。顔を改めると、少なくても3人は以前捕まえて、お尋ね者リストで照合した顔と思われた。同行していた騎士に始末を任せ、尊村の足取りを追った。手掛かりは見つからず他に隠れる場所を探したが見つからなかった。方角的に考えると王都に向かったと思われる。深追いはせず、ギルドに報告して、家に帰った。


 忍さん達を迎えに行って、やっと旅行と襲撃に終止符を打った。お土産を広げたり、久し振りの忍さんの料理を味わったりして、自宅を堪能した。元の姿になった俺に戸惑う二人だったが、直ぐに慣れてくれたようだった。土産話に花を咲かせ、異国の衣装を着てみたりして盛り上がった。


「光君は大人になったら、学校どうするの?」

樹は不安そうに尋ねた。

「うん、元々は大人なんだ。もう学校には行かないけど、お友達もいるから大丈夫だよね?」

「うん、寂しいけど、大丈夫だよ。」

我慢しているのは見え見え何だけど、また子供に変身して戻らなくなるのは困るので、参観日には観に行く約束であきらめて貰った。


 数日後、尊村と逃げたと思われる男が、王都で次々と捕まった。なんとか落ち着いて、遠征中の報奨金の受け取りや、お土産を配っていると、尊村が正式にお尋ね者になり、懸賞が掛けられた。早速王都に向おうとしたが、

「僕、朱辺が怪しく思う。アイツの転落に、ドウデンで調査していた事が絡んでいるから、復讐したい筈!」

 夏果の読みに乗って、朱辺に馬車を飛ばした。因みに、家の結界は手持ちの魔石を注ぎ込んで十分に補強しておいたので、心配せずに遠征に集中出来る。


 朱辺の町に入ると、ひっそりして、人は全く歩いていなかった。ギルドに入ると、

「魔物が沢山入り込んで、外出もままならない状況なんです。」

外を歩いて襲われたり、あまり立派じゃない家なんかは、壊されて襲われたりしているそうだ。騎士団がだいぶ片付けているらしいが、完全制圧には至ってないとの事。

 ドウデン商会に行ってさゆり(ちゃい)の父親に尊村の話を伝えると、

「失脚の噂を聞いて喜んでいましたが、この魔物騒ぎがヤツの仕業だとしたら、責任を感じますね。」

「いや、そんな事!ただ可能性が有るってだけですし、兎に角、用心して貰おうと思っただけですから!」


 冬実をドウデンの見張りに残し、魔物の駆除に回った。どの程度いるのか解らないが、狼系の魔物を13頭倒した。夜は道田家に泊めて貰い、久し振りに、さゆりと再会。俺は変身した姿しか見せていなかったから、相手にして貰えなかったが、妻達とは楽しそうにしていた。


 夜中、結界に反応があった。結界破りの剣、多分、杏の赤い刀に相当する物で斬られたのだろう。屋敷に魔物が入ってくる気配が感じられた。

「デカいのが一匹ね!」

春菜は既に槍を振るっていた。冬実が改めて、建物を結界で護ると、赤く光るモノが、屋根に飛んだ。カラダは隠密系の術で隠しているが、結界破りの剣は隠せなかった様で雷の魔力弾を飛ばすと剣と一緒に使い手も落ちてきた。【氷縛】で拘束、冬実の結界が完成すると、魔物は目的を失ったのか、キョロキョロと戦意を失ったように見えた。秋穂の弓が唸り、魔物の頭部が粉砕し騒ぎは収まった。

 結界破りの賊を調べると、お尋ね者になった尊村だった。夏果の読みは的中していた。さゆりの父は、

「間違いありません、あの時の騎士隊長です!」

【鑑定】を使うと【獣使い】のスキルを持っていた。また魔物を呼ばれても困るので、スキルを奪ってからロープで縛り、【氷縛】を解いた。

「お前らのせいで、俺の人生、滅茶苦茶だ、道連れにしてやる!」

魔物を呼んだつもりだろうが、既にスキルは無くなっている。無駄な足掻きを眺め、

「人の人生、滅茶苦茶にしたアンタにだけは言われたくないね、ちょっと黙っててくれる?」

【麻痺】を掛けて唸らせておいた。


 翌朝、騎士隊に尊村を引き渡すと、

「元の隊長を捕まえるなんて思いませんでした。まあ、嫌な上司でしたけど、犯罪者になるとは思いませんでしたよ。」

 今の隊長だろうか?しみじみと連行していった。道田家は塀を壊されたのと、植栽が荒らされた程度の損害で済み、街に放たれた魔物も駆除する事が出来たので、安心して帰宅する事が出来た。


 ギルドに寄って、報告と思ったが既に伝わっていて、

「報奨金の手続きは済んでますよ!」

木綿子がニッコリと迎えてくれた。喫緊の課題をクリアし呑気にお喋りをしていると、おどおどした様子の男性が窓口にやって来た。

「何かご依頼ですか?」

木綿子が声を掛けたので、視線だけで挨拶して、ギルドを離れた。


 家で寛いでいると、木綿子がさっきの男性を連れてやって来た。直接の依頼となると、多分難しい案件と思って構えたが、お茶を持って来た忍さんを見るなり、

「奥様、ご無事でしたか!!」

直立したかと思うと、深々と頭を下げた。

「中沼さん?お元気そうですね?」

 中沼さんと呼ばれた男性は、忍さんのご主人の部下だった人で、逃してくれたグループの一人との事。処刑された筈のご主人は、仮死状態の魔法で死んだと見せ掛け、熱りが冷めた頃こっそり戻して、逃がす予定が、身体を隠したグループの人達が、忍さんを逃した罪で処刑されてしまい、行方不明になっているそうだ。中沼さんはその件を最近知ったそうで、探してはいたが、見つかれば仮死状態からそのまま本当に殺されてしまう筈なので、密かに探していたそうだ。尊村が居なくなったので、大手を振って探し始めている。副団長を務めていた深滝領内に居る筈と、捜索の依頼だった。

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