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リハビリ

 トイレから戻ると、29号に連れられて建物の中を探索。今迄、部屋から出た事がなく、病院のような建物に入院していると思っていたが、病院と言うより学校に近いようだった。異世界から来た人達が、この世界に順応する為の知識を学んだりトレーニングとかをする所との事。剣術や魔法の稽古をする道場があったり、教室の様な部屋がいくつも並んでいた。

 転生者は若い男女ばかりで、圧倒的に女性が多い。俺の様なオッサンは一人もいなかった。一通り見て回ると、

「何か興味のある物はあった?」

「魔法は魅力ですね、俺でも使えるだろうか?」


 早速、受付カウンターの様な所で手続きをしてもらう。丸い硝子玉?水晶かな?目の前に出され、

「珠に魔力を込めて下さい。」

『酉ー18』とネームプレートを付けた受付嬢に指示されるが、魔力ってのが解らない。

「取り敢えず、珠に手を当てて、力を入れずにね、気持ちだけで潰そうと思って見て!」

29号のアドバイスに従い恐る恐る試してみた。

『グシュッ!』不思議な音と共に珠が砕け、停電?灯りが全て消えた。

館内がバタ付き、直ぐに灯りが灯った。

「膨大な魔力で安全装置が働いた様です。四元さんの魔力が強すぎのようですね!このままでは危険ですので、少々お待ち下さい!」

受付嬢はバタバタと奥に走り、先輩か上司を連れて再登場した。もう一人は室長の呼ばれていたので上司だろう。室長は手に持っていた鎖?を差出し

「本来、犯罪者の拘束に使用する物で申し訳無いのですが、これを装着すると、魔力が1万分の1になります、魔力をコントロール出来るようになるまで、ご使用頂くのが安全かと・・・。」

29号が眉をひそめると、

「脱着は戌組の先輩達に設定しますので!」

ふと、29号のネームプレートを見ると『戌ー29』と書いてある、29号が脱着出来るのなら問題無いだろう。魔力を使った照明設備を停止させてしまっては申し訳無い、

「また暗くしちゃうのは迷惑だろう?有り難く使わせて貰おうよ。」

自ら鎖を受け取り、29号に着けて貰った。

 細々した手続きを終え、色んな注意事項を聞かされて、ようやく練習場を借りる事が出来た。明日の午前中貸切りで使えるそうだ。魔力のコントロールを覚えるまでは、周りの人を巻き込まない様このパターンになるとの事。

「ところで四元様、今夜お食事ご一緒しませんか?」

室長はなんの脈略も無く食事に誘って来た。

「有難うございます、でもこの時間ならもう支度を始めてると思います、部屋に帰って頂きます。」

室長の大袈裟な落胆ぶりに驚くと、

「ちょ、ちょっと待って!色々説明しないと!」

29号が慌てて間に入った。

「夕食を誘うって言うのは、その夜の同衾を誘う意味なのよ、断って良いの?あと、一度断ったら貴方からは誘えないのよ!」

「それなら余計、断って良かったよ、なんか緊張するし。」

もとの予定通り部屋に帰った。


「今夜はチャーハンだよ、箸より、スプーン、良いでしょ?」

55号が満面の笑みで迎えてくれた。字を書いたり箸を扱うのはまだちょっと難しいので、リラックスして食べる事が出来た。ん?このご飯は夕食を誘われた事になるのかな?イヤイヤ違うでしょ?食後、変な妄想をしていると、

「どうしたの、具合悪い?顔、赤いわよ?」

「な、何でも無い!です!」

皺皺のおばあさんに欲情する俺ってなんなんだろう?足を付けて貰ったときのあの体験のせいだろうか?毎晩の魔力注入のせいだろうか?どう見てもおばあさんなんだけと、何故か若い娘が、老け役を演じている様な気がしてしまう。頼んだら叶うんだろうか?

「受付の室長さんを振ったの後悔してるのかしら?」

29号が冷やかした。

「いや、それは無いよ・・・。それにしても、不思議なルールだな。」

「そうね、ここの職員は前世の記憶を持たない転生者なの。条件が揃わないと外の世界には出られないのよね。男性はほぼ全員が記憶を引き継いで居るのでここの中は男女比が歪でねぇ。女性から誘って応えたら、その後は男性から誘って良くなるの。」

「じゃあ、俺が誘っても良いのか?」

「嬉しい冗談ね!勿論オーケーよ!でもムリしなくて良いから。」

「・・・ムリとかじゃ無く・・・。」

耳が熱くなった様に感じると、

「あら?本気?じゃあ、ご飯当番の私が夕食を誘ったって事でいいのかしら?今夜は私がお相手ね!」

皆んなが頷くと、

「じゃあ、これからは、夕食当番がお泊りでいいね?」

36号がルールを提案して即決した。


 就寝時、55号が枕を持って現れた。前回は手が復旧していなかったので、全ておまかせだった。今回は若い頃妄想した事を堪能した。

「こんな、おばあちゃんでも大丈夫だなんて驚きだねぇ。」

確かに、妄想していた肌触りなんかは味わえ無かったが、ただ上に跨っていた時とは別格の興奮を味わった。ただ、残念な事に、彼女の中に入ったかどうかの一瞬で興奮が堰を切ってしまった。

「魔力注入するわね!」

55号は、ゴソゴソの布団の中を潜って行った。


 昼間は魔法の稽古。魔法の系統は、火、水、風、土、光、闇と6系統。どれかに適正があればその系統魔法が使える。稽古をしたり、魔力を上げる事により、上位の魔法を使える様になるが、適正が無ければ、幾ら頑張っても使えないそうだ。俺の場合6系統全てオーケーだが、普通はどれが一つ、偶に二つ、三つになると大騒ぎになるそうだ。

 1万分の1チェーンを掛けて、水魔法から学んだ。火の系統が結果が解りやすく稽古し易いとされるが、道場を焼き尽くす心配があって水を選択している。水を極めれば、他も使い熟せる(筈)らしい。

 魔法を指導してくれる先生は『巳ー21』やはり前世の記憶を持っていない人だった。毎日の様に夕食に誘ってくれた。夕食の当番が決まっているのでずっとお断りしていた。他の場面でも、色んな人に夕食を誘われたが、同じ様にお断りし続けた。

「なんだかモテてる?男性が少ないって言うのが大きいと思うけど、俺だけオッサンなんだよな?」

36号は、

「えっ?目覚めてから鏡、見てない?」

慌てて持って来た手鏡を覗くと、ハタチ位?もうちょい若い?少年の様な俺が映っていた。オッサンの俺よりは女性ウケするかも知れないが、特別目立つ訳ではない。

「魔力の問題ね、館内の灯り飛ばしたの皆んな知れ渡ってるからね。」

魔力は、健康や収入に直結するそうだ。


 ひと月程で水系統の魔力コントロールが身に付き、他の系統も扱うことが出来るようになった。馬や馬車の扱いや、この世界で生きるノウハウを学んだ。

「もう卒業ね。」

47号は、卒業の手続きを説明してくれた。

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