おあずけ
三人で入浴。昨日は薫の騒ぎでスキップだったので、春菜と夏果が一緒。やはり落ち着かないが、秋穂と冬美と過ごしたのに、今日は止めようとは言えなかった。
乗り気では無いのは間違いないが、視界と感触が、同時に楽しめるのはやはり贅沢に思えた。単純な光樹は、入浴中に2回も暴発していた。ベッドでも2回、肝心の時には役に立たなかったが二人は、何もなかったかのように密着を楽しんだ。それぞれの肉塊を両手で堪能し、空いた片方を、交互にしゃぶったり、柔らかな圧力に挟まれたりしながら眠りについた。入浴の後に乳欲?あっ、立派なオヤジギャグ?声に出さなかった事に安心して、乳欲を楽しんだ。
気付くと朝になっていて、元気になっている光樹をどう使うかを考えた。朝の生理現象で何とかなりそうな気はするが、2回目の自信は無い。復活迄のインターバルを考えると早く始めるのがベターだろう。二人の湿り具合いを確かめたりしているうちに、光樹は落ち着いてしまった。
ガッカリしていると、春菜が目を覚まし、
「なんか、落ち込んでる?」
適当に誤魔化したつもりが、
「朝、元気になってたから、どっちにしようか迷ってたんでしょ?こうすると良いのよ!」
春菜は、弛んだ光樹を手の平で包むと、一瞬で臨戦態勢になった。
「この魔法は、乙女の矜持でNGって言って無かった?」
「私の魔法で、夏果が楽しむのは問題無しよ!夜ならね、次に順番が回るかも知れないから使ってないだけよ。」
そう言えば、最初に今の関係になった時、回復魔法で4連戦だったよな。納得したが、いまからトライする雰囲気でもなく、朝の支度に取り掛かった。
予定の時間になり、二人は自室に帰った。身支度を整えリビングに降りると、秋穂と冬実は既に準備万端、朝食の支度も済んでいた。
「えっ?ムリしなくても、今日は一日移動なんだから馬車で楽しめば良かったでしょ?」
朝の2回戦の不安を話すと、秋穂は想定外の反応で冬実まで普通に頷いていた。
「光君はわたし達を平等に扱いたいのよ、ムリして欲しくないけど、大切に思われているのが解るから、光君に任せるのよ。」
夏果も降りて来て朝食を始めた。
ひんやりした朝の空気を吸い込んで馬車に乗り込む。ギルドはまだ開いて無いので、直出の報告は出してある。今回の依頼は馬車で一日の所にあるダンジョンに住む魔物の退治。鍛冶屋御用達の革製品店の依頼で、防具作りに使う魔物の革を獲りに行く。片道を一泊二日でのんびり移動するのが一般的だが、街道の整備や馬車の改良で、少し頑張れば、一日での移動が可能なので、早朝から馬車に揺られていた。
途中、魔物にも盗賊にも遭わずに目的のダンジョンに到着。夕食と宿の手配で街を散策した。取り敢えず、空腹を満たす食堂と、取り敢えず雨露を避ける宿を見付け、明日に備える。
満腹で部屋に入ると、6帖程の板の間で、カビベースの淀んだ臭いが充満していた。建て付けの悪い窓を無理矢理開け、換気をしながら浄化魔法。積もった埃が湿気で固着したような床はピカピカになり、積んであった煎餅布団は倍位の高さになり、異臭も消えて天日干しの様な香りに変わっていた。何人で泊まっても1室1泊1000円、遠征に来たパーティーがターゲットなので、酒を呑んでゴロ寝か寝袋で過ごす、野宿パターンが普通と思われるが、フカフカになった布団を無理矢理3組敷き詰めて、
「光樹は真ん中よ!あと結界で遮音と覗き防止して下さる?」
右の布団に春菜と冬実が、左には夏果と秋穂が入り灯りが消えた。部屋全体に結界を張り、漏れ出す声を閉じ込める。
両隣の布団ではそれぞれ交代で攻めているようで、定期的に聞こえる声の主が変わっていた。2時間程続いて、そろそろ出番かと期待したが、招集は無く四人ともスヤスヤと寝息を立て始めた。
両耳に残ったように思える彼女達の声で光樹は臨戦態勢になっていて、いつ以来か解らない位に久々に自分で暴発させた。シーツを汚してしまい、焦ったが、練習していた浄化の魔法で原状回復。じっと目を閉じ落ち着こうとしているうちに眠ったようだった。
目を覚ますと、両隣の二組は仲良く絡み合ってまだ眠っていた、こっちの世界に来てからの習慣で全裸で寝ていた事に気が付き、無駄な準備だった事が酷く恥ずかしく思い、慌ててトランスを穿いた。
四人は目を覚ますと、テキパキと身支度を整えた、ドレスで出勤の時に手伝って以来、下着を選ぶ相談や、絶対に自分でも届く背中のファスナーを上げるのをねだったりして結構面倒な時間だったが、何も無いと空振りした気分だった。
「えっ?見てたの?聞いてたの?結界張ってってお願いしましたよね?」
秋穂に責められる、
「部屋の結界なんて、いつも冬実が済ませていますわ!」
俺が、二組から隔離される結界がご所望だったって事?何か嫌われる事、しちゃったのだろうか?夜、あんまりにも暴発ばかりだからだろうか?
素泊まりなので、朝からやっているダンジョン前の立ち喰いの店で蕎麦を啜った。いつもは鬱陶しい程に誰かが密着しているが、春菜と秋穂、夏果と冬実でペアになり、何となく寂しい朝食を済ませた。やっぱり怒らせたんだろうな、取り敢えずダンジョンの受付に並んだ。
ダンジョンは、油断さえしなければ最下層迄ほぼ消化試合で降りられる。最下層の20階層を含め下から3階層にランダムに出現する『飛び狐』がターゲットなので、サクサクと降りて行った。
飛び狐と聞いていたが、ガイドブックの挿し絵や解説からは、カンガルーの様な魔物と思われる。体長2メートル程で、大きな後ろ脚でジャンプし、その脚でのキックが最大の武器との事。まともに喰らえば内臓破裂らしい。
夕方には下まで降りて、18階層と20階層を往復して飛び狐をさがしたが1頭も出なかった。15階層で見つけた洞窟に戻ってテントを張って今日の仕事を終えた。
洞窟の入口を結界で塞ぎ、テントを二張。三人でちょっと狭い位なので、一人が俺のテントって言うのが妥当だろう、元の順番だと秋穂かな?二人になったら、急に態度が変わった理由を聞いてみよう。片方のテントに入って誰が来るのか待っていると、
「「「「おやすみなさい!」」」」
もう一つのテントにギチギチで寝る様だ。
眠れずにテントの天井を眺めて、ボーっと考える。一緒の入浴も、一緒のベッドも当たり前になり過ぎて、有難味を感じなくなっていたのかも知れない。最初は天にも登る様に思えていたあの一瞬も、ノルマの様に思ってしまっていた。きっとそのせいだろう。大体、プロポーズだってして無いしな。もちろん、プロポーズすべきタイミングなんて無かったけどね。朝になったら、今の考えを伝えて、改めてプロポーズさせて貰おう。方向性がハッキリすると、急に眠くなり、朝食の誘いで目を覚ました。