鉱石採取ダンジョン
秋穂のコルセットを手伝ってドレスを着せてから部屋に戻る、サッと服を着てダイニングに降りると、朝食の支度は済んで居て、冬実は弁当を包んでいた。
三人に見送られて直接鍛冶屋に向かう。冬実の『はじめまして!』に、
「えっ?昨日の方、奥様かと思ったました!」
弟子の菫が大きく反応すると、
「そうですよ、あたしもですけどね!」
杏も、薫も目を丸くした。一夫多妻は認められているが、現実的には貴族や大金持ちが跡継ぎや、政略結婚で複数の妻を娶る位しか無いらしい。
「目覚舎?」
初めて聞いた薫の声は、酷く嫌なモノを話す感じだった。
杏は、場の空気を清浄するように、
「では、早速潜りましょう!何階層にします?」
「では、2階層!試したい事があるんで、近い所から行きましょう。」
先頭に立ってスロープを降りた。
【破視】を使って、洞窟の品定めを試みる。使い道の解らないスキルたが、黒猿鬼が隠れていた筈の結界を狙って来ていた事から、結界を見破る能力では無いかと想像、イヤ期待している。推定雑魚ばかりの中、程々レベルの洞窟に入り、程々の魔物を倒し、程々のアイテムをゲット。【破視】の効果を確信した。2階層であと3つ、程々の洞窟を攻め、3階層に潜る。レア1つ、程々4つをゲット。4階層も含め、午前中でレア5つ、程々が14、雑魚には当たらずに済んだ。
ポーチからテーブルと椅子を出してランチタイム
「見えてるんですよね?」
杏が尋ねる。
「ええ、何となくなんですけどね。午後はもう少し潜って見ても良いですか?」
「ええ、お任せしますわ!」
8階層迄まで潜って、全てレア。戻りにもレアを当てて、レアだけ11個ゲットして地上に戻った。
鍛冶屋までの馬車で、
「どうやって、レアな洞窟を?」
菫が突っ込むが、
「何となくそう思うだけで決め手は無いんだ。コツが掴めたように思えるから、明日からはレア狙いに絞って行こう!」
菫は自分でも判断出来るようになりたいと、学習意欲のオーラをギンギンに発しているが、スキルによるものは伝える事は不可能なので、はぐらかして置くしか無いだろう。薫は菫と視線を合わせ、首を横に振った。
鍛冶屋で三人を降ろして帰宅。二人になると、ベッタリと密着。
「光ちゃん、ごはん、何にする?」
食糧庫の在庫を思い浮かべて、肉野菜炒めをリクエスト。
「オッケー、買い出ししなくても大丈夫ね!」
家に着いて夕食の支度を手伝う。皆んなも帰り、昨日と同じパターンでお喋りして、冬実と入浴。洗い合うだけで、その先に進むきっかけが掴めない。
「あんね、秋ちゃん、良かったって言ってたの。」
冬実は真っ赤になってリクエスト。昨日初めて試したのは、浴槽内でのコトだったが、その前がヒットだったらしい。一応確認し、泡まみれになった。泡を流して浴槽に抱いて入る。うっとり身を任せているので、リクエストの内容は、勘違いじゃ無い様だ。
「そうね、借金返済したらのんびり旅行かな?」
将来を語ると、借金返済が先頭に来てしまう。返済の手応えは掴んだので、その先を掘り下げた、
「景色とか温泉とかもいいけど、やっぱりグルメね!」
旅の妄想で盛り上がり、何もないまま脱衣場で身体を拭いてバスタオルを巻いた冬実を抱き上げ、何とかベッドに辿り着いた。浴槽では叶わなかった事に再チャレンジ。焦ると余計上手くいかず、目的を達せずに暴発。キスとハグでも、うっとりの表情だったので、そのまま寝顔を堪能して寝落ち。気付くとカーテンの隙間から明るさが漏れていた。冬実は掛け布団との間にいて、朝の生理現象で戦闘モードの光樹は、行き場に困っていた。
昨日のリプレイの様に支度をする、ドレスを手伝ったのが冬実で、一緒に出かけるのが春菜になったのが違うだけ。鍛冶屋の三人のリアクションもほぼ変わらず、
「さっ、三人?」
「いえ、わたしの他にもう一人で四人ですよ。」
薫の目が、不快害虫を見る目になっていたが、気にせず馬車を進めた。
レア洞窟だけ攻めて、サクサクと潜る、午前中だけで8階層まで潜る。
「やはり、深い方がレアの比率か高いから、午後は更に下層で良いですね?」
杏が頷いた。
午後も順調に進むと、10階層でこれまでのレア洞窟よりも強い魔力を発する洞窟を発見。中の魔物もそれに応じて強力で、アイテムも高価な物だった。他の洞窟も、もはや『レア』とは言い難い比率で『レア』と呼んでいたレベルだった。
サクサクと片付けて11階層。先程の『レア』以上の洞窟を仮に『Sレア』とする。『Sレア』が3つ、他はたぶん全部レアだろう。杏と相談してSレアだけ攻めて12階層へ移動。そのまま15階層迄潜って引き上げの時間になった。
登りにはSレアを感じる事は無かったので、スイスイと地上。ほぼ予定の時間で帰路についた。
「もちろん、目先の目標は借金返済ね!その為に、収入の安定と、自力で家を借りられるようになる事が一歩かしら!」
現実派の春奈は、借金返済後までの想像は出来ない様だ、秋穂の冒険旅行、冬実のグルメ旅行の話しをすると、
「史跡巡りとかいいわね!その為にはしっかり働かなくっちゃ!」
伯爵邸の出入り八百屋と交渉して、高級野菜や果物のハネモンを安く回して貰う様にしていたそうで、八百屋に寄って、馬車の荷台をいっぱいにしてから家に帰った。
食料庫に収めてから、今夜の支度。肉に比べて入手が困難な野菜を駆使し、スープ、フライ、サラダが完成した。三人が戻り、伯爵家からの頂き物のワインで乾杯。詳しい事は判らないが、きっと高級品だろう。ワインオープナーが無かったので色々試したが、コルクをラムネのビー玉の様に押し込んで何とか注ぐ事に成功。とても香り良く、美味しく感じたが、俺の舌では、普段のワインと特に区別が出来なかったので、今後はワインに金を掛けなくて良い事が判明、安上がりの舌にちょっとガッカリ。
食後は春菜と入浴。テキパキと効率的に洗って、
「浴槽の中でお願い!」
サッと抱きついて来た。お互いに準備万端、今夜こそはと意気込んたが、光樹だけが直ぐに快楽に達した。
お姫様抱っこで部屋に移動。積極的だと思っていたが、落ち着いて考えると、ほぼ受け身ばかりで、滅多にリクエストもしない。恥ずかしそうに視線を合わせない様子が、何とも尋常じゃ無い事をしている感覚に拍車をかける。鼓動は最高潮に達したが、春菜は直ぐに眠ってしまい、結局寝落ちする迄寝顔を堪能した。