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旅行?出張?

 艦には当然、大明の役人も、護衛の衛兵も同乗している。到着した時は、あまりにも少ない陣営に、批判的な視線を感じていたが、空からの襲撃者を返り討ちにした実績で、誰も文句は言わなかった。大明の護衛艦も一緒なので、旧大明に大きなアピールになるだろう。

 何事もなく海原を進んだ。樽内の港には、国王自ら出迎えに来ていた。良く整備された街道を走り、大型の馬車が余裕で行き違えるトンネルを通り、絶景の大橋を渡って、あっという間に王城に到着。建築技術なんは優位と思っていた大明の人々は驚きを隠せなかった。城に送り届けて、片道分のミッションクリアと思っていたが、なかなか解放されず、団地等の開発の事や、鉄道の事を説明する事になってしまい、滞在中はずっと城住まいになりそうだ。元々高額報酬だし、高貴な雰囲気にも多少は慣れて来たので、1週間の滞在をお世話はなんとか頑張れた。やっと明日が帰国の日。

「四元先生、大明旅行を計画されてたんですよね?よろしければ、帝をお送りしたあと、そのまま船旅を楽しんで頂くのは如何でしょう?戦艦はそのままお貸し致します。」

 大明の人達は、頻りに南西部のリゾートを薦めてくれていたので、戦艦で行けって事?旧大明との国境の海域に行って、戦艦を見せびらかせて、国力を、アピールするのが狙いだろう。まあ面白そうなので、手の平で転がされることにした。


 予定通り、大明の帝御一行様を送り、入れ替わりで、案内役のお爺さんと孫娘?が乗り込んだ。お爺さんは元海軍提督の笠本(かさもと)さんで、彼が引退してから、旧大明が不穏な動きを始めたそうだ。若い女性は、奥様だそうだ。トリプルスコア位の年齢差だろう。

「こんなに大きな艦をたったこれだけで動かしているのか?」

「ハイ、人手が足りない時には、こうして・・・」

式神を10人程出してみせた。のんびりクルーズを楽しんでいる気分が反映したのか、リゾート感たっぷりのビキニ姿だった。笠本さんの反応が奥様には不快だったようで、デレっとした顔は、脇腹に肘鉄を喰らって真顔に戻っていた。

 大きな艦が停泊出来る港は少なく、南西部を統治している寅神(とらがみ)まで一気に進んだ。久しぶりに、陸に上がると、逆に足元か揺れる感じがした。


「ここに来たら、先ずはコレです!」

奥様の真弓さんが、港近くの屋台でタコ焼きをゲット、ハフハフして頂いた。もっと食べたい感じだったが、

「すぐに夕食です、フグ鍋ですから、控えめでお願いしますね!」

舌と鼻が食欲を刺激した状態で、フグ屋に向かった。北道では獲れないので、こっちの世界では初めてのフグ。やはり高級魚らしい。胃袋ギュウギュウにして店を出た。路上で芸を披露している人の輪が幾つもあり、アチコチ見物していると、

「胃袋に余裕はできましたか?」

「えっ?まぁ少しなら。」

「では、シメのお好み焼きに行きましょう。」

真弓さんは細い身体の何処に入って居るのか不思議な感じだが、豚玉と海鮮玉を頼んで、皆んなでシェア。ソースの香りには、満腹中枢を麻痺させる魔力が籠もっていのか、ペロリと平らげた。


 宿はとらず、艦に帰って船中泊。ちょっとした宿より住心地が良い。食事の支度が必要なだけなので、早朝の出港には都合が良い。夜の見張りの心配もないので、スキンシップも楽しめそうなので、妻達が、どんなリクエストをしてくるのか、チョットいや、かなり期待していた。

「光穂を呼んでくださる?」

秋穂のリクエストに応えると、3人も右へ倣え。

 分体達を送り出しデッキに出てみると、笠本さんが何かを飲んでいた。

「は、恥ずかしい所をお見せしてしまいました。」

えっ恥ずかしい事なの?持病の1つや2つ有ってもおかしくない世代だろうから、薬を飲んでいても恥ずか・・・?あぁ、夜用の回復剤(ポーション)らしい。

「あ、あの、良かったら、元の姿の時にお試し下さい。奥方が4人でしたら役に立つと思いますよ。」

受け取る方がこの場を切り抜けそうなので、遠慮なく頂いた。

「キャップ1杯を薄めるんですよ、原液で飲むと、効きすぎて大変らしいですから、それに後遺症で勃たなくなりますから気を付けて下さいね。」

意外な所で情報ゲット。光樹(・・)に元気が無いのは、ひかりになって戻れ無いのと同様に、霊力と仙力の乱れと思っていたけど、別に原因が有ることが判り、原因が判れば、対処法も判るかも知れない。淡い期待を抱いていると、

「では、失礼!」

笠本さんは、少し前屈みになって船室に急いだ。

 部屋に帰って、考える。しばしお預けだった悦びを、分体と感覚をリンクして今夜味わうか、実際に抱かれるまでガマンするか悩みに悩んだ。光樹バージョンの分体も一緒に出せれば良いんだけどな。と、思いながらベッドに寝転んで伸びをした。ギュッと目を瞑って欠伸、目を開けると、光樹バージョンの分体が4人並んでいた。抱っこTO抱っこで腕の中を堪能、なんとか意識を保って2巡。満足すると、ひかりバージョンの分体が消えてたりしないか心配になった。感覚をリンクしてみると、しっかりお楽しみの真っ只中。火照りが収まらないうちに、おかわりを味わってしまった。

 こちらの分体を回収、向こうの分体が消えない事を確認してから眠りについた。

 朝のおかわりをリンクで堪能、朝食の支度に取り掛かる。厨房に行くと、すでに出汁の良い香りが漂っていた。

「寅神に来たからには、コレも食べて頂かないとなりません!」

真弓さんが、うどんを作っていた。

「麺を温めるだけにしていますから、ちょっとお待ち下さい!」

うどんが入った網をグツグツの大鍋に投入、温まったところで網を振って湯切り、どんぶりに移すと、黄金色のスープを注いで、ネギを散らした。

「お熱いうちにどうぞ!」

帝都で食べた醤油ベースの黒いツユでは無く、アッチの世界で言う関西風って感じだった。真弓さんは寅神の出身で、地元の味に誇りを持っているようだ。過労気味の胃袋にとても優しく、味覚も嗅覚も大満足だった。気密性の高い船室でも香りが届いたのか、皆んな続々と登場、うどんに舌鼓を打った。

「笠本さんはまだ、お休みですか?」

「えっ?えぇ、ちょっと体調が善くないようなんです。」

「ヒールしましょうか?」

「いえ!だ、大丈夫です、すぐに回復する筈ですから。」

夫人は顔を赤らめて、慌てたようにヒールを断っていた。皆んなは事情が解らず、赤面のタイミングに違和感を覚えたようだ。気にせずうどんを平らげ、出港の準備に取り掛かった。

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