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遠話器

 遅いブランチ?ランチでいいかな?取り敢えず胃袋を満たし、(ワタシよりは)早く起きた弟達が、中継装置に使う魔石を見繕っていた。似たモノは結構あるが、同じモノは一つも無かった。

 試作品を3つ作って見た。石の台座に術式を書き込み、サンプルに一番近い魔石をセット。一つに念話を送ると、あとの2つが反応した。中継装置を通過したのか、直接念話が届いたのか判断出来ないが、まぁ、一歩前進。

 次は遠話器が繋がるか試してみた。サンプルの中継装置は反応するが、試作品は反応無し。遠話器を調べると、中継装置と同じ種類の小さな魔石がセットされていた。着脱可能なので、試作品に使った魔石と同じ種類のモノをセットしてみた。中継装置とは繋がる様になったが、端末を操作すると中継装置の魔石が光るだけで、遠話器としては機能していない。取り敢えず、同じ種類の魔石をセットする事が必要だと解ったし、手持ちのモノを流用出来るので、魔石採取の工程が要らなくなった。色々実験してなんとか実用化したい。


 サンプルの中継装置を使うと魔石入れ替えていない端末は通話が出来る。一度魔石入れ替えた端末を元に戻しても通話は出来ない。

 色々実験を繰り返し、都度【鑑定】した。その中で『なぜ特定の相手を呼べるのか?』が解ってきた。端末を使う為に魔力を込めると、端末と利用者がリンクして、その利用者を呼ぶと端末が着信するらい。魔力には魔法紋と言うものがあり、指紋の様に個々違う事を利用している様だ。そこを注視して端末からはずした魔石と、付いているままの魔石を比べると【認識】という感じの魔法が掛かっていた。術式を読み解いて、外した魔石に掛け直し端末に戻した。見事、通話が出来るように復活した。

 仕組みが解ってくると、魔力が無い人が使えないことが解った。相手の特定は自動だが、知らない相手を呼ぶ事が出来ない。ある意味、間違い電話が少ない事やセキュリティの観点でメリットかも知れないが、アッチの世界の電話を知っていると、かなり都合が悪い。折角なら、誰でも使える様にしておきたい。

 そこからの進展はなく1週間。城の役人が、一人の老人を連れて来た。老人は、斉藤さんという、アッチの世界で電話等のネットワークに携わっていた人との事。彼がブチ当たっていた壁が、ワタシ達の実験でクリア出来そうだと、共同で開発することになった。通信事業に今後も関わる事と、後任の育成を約束して、実験結果を全て提供した。

 既に大荷物を積んだ馬車で来ていて、実験に使っている倉庫にドンドン運び込んでいた。目が届く方が技術の漏洩とかの心配が無いので、まぁ良い方向なのかな?取り敢えず、倉庫を解放して研究を任せた。強い魔力が必要な時は呼んで貰う事にして久しぶりにリラックス。ピクニックがてら、薬草採取の依頼を請けて馬車に揺られた。


 数日後、倉庫に呼ばれると、肩掛けカバンが3個、テーブルに陳列するように並んでいた。初期の携帯電話っぽいかな?魔力を貯めておけば誰でも使えて、予め設定した番号で呼び出すのでほぼ電話のシステムを再現した。あとは中継装置の規模と数、それから端末の小型化で実用の域に達するだろう。

 

 端末のダウンサイジングは、斉藤さんに任せて、中継装置の設置に取り組んだ。王家が全面協力なので、国の施設に設置することは簡単だった。魔法と生活支援ギルドを駆使して3ヶ月。城、役所、駅等等に11箇所。大明で稼働していた中規模施設のサイズで同じ位の間隔になるように設置した。テストしてみたが、中継装置同士が繋がらない。サンプルで貰ったモノと同等以上の能力と思われたが、明らかにパワー不足だった。

 全部ダメかと思ったが、駅に設置したモノだけは想定した距離で繋がっていた。試作の端末も使えるので、他との違いを調べた。台座も魔石も問題無いが、駅に設置した2台は、人通りが多いことを考慮して囲う事にしたが、折角なので、見学したモノを真似て石造りの建物にしておいた。

 もしや、そのせい?別の場所のモノと入れ替えてみると、駅に設置したモノが調子良い事に変わりは無かった。場所の影響の可能性と否定出来ないので、城に設置したモノを石造りに建て替えることにした。

 駅に設置した時でノウハウはあるのでサクサクと1週間で完了した。テストは良好で、他の8箇所も石造りにすることになった。1ヶ月程で完成、王都全体で通話が可能になった。


 王都内の中継網が整い、端末の試作品も改良が繰り返され、ムリヤリならポケットOKな位まで小さくなった。これを元に量産、自前の魔力で話すタイプと、魔力を蓄積しておいて、そのパワーで稼働するタイプを作る。試作品は後者のタイプなので、自前で話せる方ならもっと小さくなりそうだ。当面、100台作って、テスト運用しながら不具合を解消しつつ、都市間通信が出来るよう、大型の中継装置の建設に取り組む。

 樽内と伏丘は、市街地に大規模中継装置を建てれば王都と繋がる、王都を含めて3つ大規模を建て、王都の不足分と合わせ10箇所、中規模を建てる事になった。

 建物は生活支援ギルドが担当して、内部の装置は、斉藤さんの補佐をしている冒険者ギルドで魔法が得意な人達が担当。ワタシ達は取り敢えず現場から離れることが出来た。

 気分転換と、ちょっとしたリハビリで、魔物退治の依頼を請けて少し遠出をした。ブランクかあっても平気と思われる強さを選んでいる。一通り武器や魔法を試して、ブランクを跳ね除けた。

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