帰国報告
観光と魔物退治で帰国の日がやってきた。御左様に子供達を迎えに行くと、
「もしかして、ひかりさん?その姿じゃ門はくぐれませんよ。」
光樹の姿では門前払い。しめしめとひかりに変身した。ベイビーモードの光樹ではお楽しみに制限があるので、ひかりになる口実を探していたので丁度良かった。
妻達はそのままで、見学させて貰った。華道の時間で子供達は、お淑やかな着物姿で頑張っていた。活け終わった所で修行終了、ワタシも習ったばかりで思い切り初心者だが、基本に忠実な良い出来に思えた。道場の皆さんに挨拶をして、王弟殿下を迎えに城へ向かった。
城での交渉は順調だったようで、計画していた事を全て纏め上げたそうだ。双方満足な結果にホクホク顔。
2国の動きは旧大明にも伝わっているようで大明南西沖で様子を伺っていた偵察船(?)が撤退したそうだ。北道から連れてきた捕虜は、親善のメッセンジャーとして、親書と共に帰国させたそうだ。
送別に茶会を開いてくれた。やはり居心地悪く、時が流れるのをひたすら待っていると、王弟妃殿下がプリンセスらしい女性を連れて来た。
「こちらは、第3王女の雅様です。」
プリンセスは会釈をすると、
「ギルドの悪癖を正して頂き、ありがとう御座いました。」
ギルドの改善が思うように行かず困り果てていた所、円妃殿下に、ワタシ達をギルドに送り込む事を進められたそうだ。いつの間にオトナの対応を身に付けたのかと驚いたが、当の本人は、イタズラがバレた子供の様にニッコリウインク。元々怒ってはいなかったが、かなりのことを水に流せそうな強力なウインクだった。
雑談していると、少し怪しいニオイがする役人が気になった。鑑定して見ると、旧大明のスパイだった。戦闘系ではなく、情報収集専門の様だ。帝の側近にコッソリ報告、逆手に取って、こちらの伝えたいことを報告させたり、嘘の情報を掴ませて、情報を撹乱する作戦を推奨した。取り敢えず、旧大明の戦艦に搭載された大砲の倍の射的距離の大砲を南西部の各港に配備したことと、戦艦と輸送艦一発で沈められる手段が解ったこと、戦車の弱点も把握したことを本国に報告させる。因みに、どれも真っ赤なウソ。
なんとか時間は過ぎて、沢山のお土産と一緒に、城を後にした。
入出国の手続きの為、妻達を弟達に変身させた。来た時と同じじゃないと不具合が生じるだろう。一応気を使って見たが、『王弟殿下御一行様』の括りでほぼスルーで出国させて貰えた。
帰りは、皆んなと一緒に輸送艦。居住スペースが貧弱だったので、兵士用の寝室?寝床?二段ベッドが3台の6人部屋から、両端の下段だけ残しツインに改造していた。戦闘要員を乗せていないのでそれでも部屋は余っていた。ただなんとなく、スキンシップには向かない感じだったので夜は子供達と過ごしていた。
運航は順調で樽内・青林間の船の数倍の速度を出せるそうだ。
土産の中には、遠話器の端末が10台と故障した中継装置が入っていた。【鑑定】すると、術式の一部が消えていた。そこを書き直し、魔石に魔力を注入して、帝都のギルドを呼んでみた。
『はい、こちら帝都第一ギルドです。』
「北道の冒険者、四元です。船からの遠話器の試験です、繋がったようですね。
『はい、良好です。』
仕組みは解らないが、台と魔石に術式で動作するようだ。量産できそうなので、帰ったら、魔石狙いのダンジョンと、計画が決定した。
樽内の港に着いて、王家の馬車で王都に戻った。殿下を送り届けて任務完了と思ったが、上皇が帰してくれなかった。派手な冒険や大捕物は無かったので、話題に困っていると、
「模擬戦のお話が聞きたいわ!」
円妃が助け舟を出してくれた。しかもプロローグ付きだった。
「第3王女の雅様が、冒険者ギルドで黙認されている性犯罪に酷く心を痛めてらしたので、四元様をギルドに派遣するよう進言致しました。そして、想像通り解決していただけたんです!」
円妃の視線は、『では、続きを!』と話を振って来た。
そういった策略とは知らずに、受付嬢の愚痴を聞いて、丁度絡まれたヤツ等がその悪玉だったので、サクっとお仕置き。その過程をなるべく詳しく話した。面白くは出来ないが、模擬戦の内容は結構上手く話せた気がした。上皇も楽しそうに聞いてくれた。
「でも、なぜ具体的に退治を依頼しなかったのだ?結果オーライだが、その者どもが、四元殿に会わずにいるかも知れんだろう?」
「美女に目が無いと聞いてましたから、会わない可能性は御座いません。知らずに解決する方が、四元様らしいですし、お土産話がドラマティックになると思ったのです。」
上皇は目を細め、
「おお、それは円の手柄じゃな!」
上機嫌で解放してくれた。
寄り道無しで帰宅。忍さんが紹介してくれた人達は、生活支援ギルドで生活は向上して、家を借りる事も出来るようになっているけど、そのままうちの面倒を見てくれている。半月程の留守も、快適さはキープしてくれていた。
子供達には学校からメッセージがいくつも来ていて、休んでいた分の学習が出来るようになっていた。ディアンの部屋に集まって集中して勉強しているようだった。
「奥の部屋で皆んなで寝ようよ。」
出国の時に合わせて、男性化している弟達を誘った。
「変身せずに?このままでいい?」
春介の問いに、
「うん、このままがいい。」
「ひかりから誘ったから、ラウンド制限は無しだぜ!」
そう言って抱き上げた秋太の唇に吸い付いて、返事の代わりにさせて貰った。
夜通し幸せを堪能して、朝のおかわりがどこからなのか解らない状態で睡眠欲が、性欲を上回った。既にカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。
子供達は今日から学校、朝食は家政婦さんがいるので心配ないが、黙って送り出す訳にもいかないので、分体にその役割を託し、弟達の鼓動と温もりを噛み締めながら眠りについた。
昼過ぎ、穏やかな快感が身体を満たして目を覚ました。ベッドにはワタシだけで、弟達の姿は無い。無意識で自分でシてたのか思ったが、両手とも空いているし、湿った感触も無い。快感は継続というか、徐々に強くなってきた。あっ分体からのリンク!気が付くと、快感は鋭くなったり、四連になったり、四重になったりして鼓動速めた。充分に堪能した頃、刺激は収まった。隣りの部屋に気配を感じ、ドアを開けると、分体達がベッドで絡みあっていた。
「「「「おはよう!ひかり!」」」」
ちょっと趣きを変えた目覚ましだったそうだ。
「お昼にするから、起こしておいでって春介が。」
洋服を選んでいると、分体達も一気に洗濯物になってしまった下着を穿き替えていた。