大明ギルドにて
朝食の後は、観光を兼ね遠話器のシステムの説明を聞くために、近くの中継装置の見学をした。帝都の役人さんが案内してくれたが、システムの説明はしてくれなかった。
「トップシークレット?」
「いいえ、実は・・・」
遠話のシステムは、1人の魔術師が開発、製作したもので、その仕組みは製作者しか知らない秘密で、その製作者は数年前に亡くなっているので、もし故障しても誰も直せないらしい。
それでも装置は見せてくれた。窓が無い石造りの建物に入ると床は土間になっていて中央に高さ1メートル程の石柱が立ち、その上部に魔石が嵌め込んであった。【鑑定】すると、地中から魔力を吸い上げて、念話を中継していることが解った。
石柱も魔石も特に珍しいモノでも高価なモノでもないが、石柱に書き込まれた術式が中継機能を可能にしているようだ。内容を書き写し、帰ってからの実験に備えた。
「メンテナンスとかはどうしてるのですか?」
「10年前から動いていて、故障なんかしたことないから、そういった心配はしていませんね。ただ壊れたら直せる人は居ませんから大変ですよね。」
大変と言いつつ、改善の努力は感じられなかった。
ここは中規模の施設で大きな街に数カ所程度あり、大規模なモノは街に一つと隣りの街が遠い所の中継点にあり、小規模なモノはちょっとした集落とか都市部の補助的な感じで設置されている。大小の中継装置も案内してもらって、それぞれに刻まれた術式を書き写した。規模が違うだけで、内容は変わらなかった。
北道へのエリア拡大を頼んでみたが、中継装置を新規に作れない為、叶わなかった。
ギルドに寄って、冒険者登録。今日は『ひかりと弟達』の姿なので、そのパターンでの手続きのつもりだったが、逆パターンの『光樹と妻達』の分も済ませてくれた。皇帝直々の推薦状がパワーを発揮してくれた様だ。
宿は連泊、どんなパターンの夜だろう?
「久しぶり、元に戻ろうか?」
春介のリクエストで『光樹と妻達』になった。ワタシは脱いでから変身したが、妻達はそのままだったので、ダブダブのメンズ服の美女達に極小の光樹がしっかり反応していた。その光樹の活躍は無かったが、全身で柔らかさと滑らかさを堪能した。
折角、冒険者登録が出来たので、大明のダンジョンに潜ってみた。特別変わった事は無かったが、ガイドマップがしっかりしているのと、ダンジョン内に標識が沢山あって、効率よく攻めることが出来た。程々の強さの魔物だったので、魔石もアイテムも程々だった。
ギルドに報告に行くと、お約束のように絡まれる。朝は早い時間だったので、真剣に働こうとする人しかいなかったが、夕方は、ギルドらしい空気になっていた。昨夜変身して元に戻っていたので、若僧が美少女を侍らせたハーレムパーティにしか見えないので仕方がないかも知れないな。
「兄ちゃん、俺と模擬戦しようぜ。んで俺が勝ったら、女1人よこせや。ひと晩で許してやる。」
ボスっぼいヤツが絡んで来た。
「ワタ・・・、俺が勝ったら何が貰えるんだ?見合ったモノが賭けられるのか?」
「生意気な事言ってんじゃねぇ!3人見逃してやるんだ、それだけでも有り難く思え!」
「「「「その話、オレも乗った!」」」」
同じく腕自慢の男が集まった。さっきのヤツより格上らしく、主導権は後から来た4人に移った。さっきまで威張り散らしていた男は舌打ちをしてバーカウンターでビールをオーダーしていた。
「丁度4人ね、その試合、あたし達が受けるわ、あなた達への景品はあたし達でいいわ!その代わり、負けたら去勢ね!」
負ける訳無いと男達はニヤつきながら格闘場に移動、妻達はニコニコとついて行った。
「これで良いかな?君達は遠慮せず、好きな武器を選んで良いからね!」
春菜がそう言って短刀を選ぶと、妻達はは全員が短刀を選んだ。
「やる気あんのか?ああ?ヤル気あるんだな?直ぐに済ませてやるから待ってろ!」
男達はそれぞれ得意の武器を手にした。模擬戦用なので、刃は潰してあるがまともに喰らえば骨位は軽く折れてしまう。
「オレはこの女だな。」
それぞれ対戦相手が決まると、4組が対峙した。
夏果の相手は長刀を振りかぶった大男、「イテッ!」
っと声を漏らした。リーチと武器長さを活かし一気にケリをつける積りのようだったが、夏果が間合いに入り込み、デコピンしてヒットアンドアウェイ。
「懐がガラ空きね、降参するなら去勢の件は勘弁してあげてもいいわ!」
「うるせぇ!」
乱暴に踏み込んだが、あっさり躱され後頭部を殴られ(真剣なら斬られ)ノックダウン。
春菜は高速で繰り出される刃を軽く受け流し、体勢を崩した男を軽く押して転がした。
「降参する?って感じじゃないわね。」
鳩尾に突きを入れて終了させた。
冬実は筋肉隆々の巨漢が振り下ろす大剣を片手の短刀で受け止めた。
「その筋肉、見かけだけ?」
涼しい顔で押し返し、蹌踉めいた瞬間にタイミングで大剣を奪った。次の瞬間、巨漢は自分の剣で袈裟がけに斬られた、実際には肩を殴られた。鎖骨位は折れちゃったかな?
少し長引いているのは秋穂の組。男が斬り込んで、秋穂が受け流すスタイルは、春菜と似ているが、相手が二刀流で苦戦?いや、躱す度に顔面に短刀が入っていて、男の人相が変わっていた。紫色に腫れたパンダになっているが、逆上して攻め続ける。真剣なら決着か付いているので、模擬戦でも判定勝ちの筈だが、秋穂はゲームを楽しんでいるようだった。左手に短刀が入り、短い方の刀が飛んだ。秋穂はそれを拾うと、
「今度は私が二刀流ですわ!」
それでも諦めない男は更に斬り掛かるが、奪われた刀が自分の右手に入り、長い方の刀も秋穂の手に渡ってしまった。
「そろそろ本気出しちゃいましょうか?」
サッと間を詰めると、男の両肩に刀がめり込んでいた。
審判をしていたギルドの職員は、不愉快そうに妻達の4戦全勝を認めた。いつかの様に反則でドローって言い出すかと思ったが、ギャラリーがすっかり妻達の応援団になっていたので、小細工が出来なくなったようだ。
横暴な上位冒険者と職員が結託して、初心者冒険者を喰い物にしていると受付嬢に聞いていたので、コイツらだろうと挑発に乗って、確かめてからちょっとお仕置きと思っていたらしい。【隷属】を掛けて余罪を追求すると、強姦集団と言って良い位の罪を犯していた。ギルド内では今回の様なパターンで男女のパーティーの男性を潰したり、女性パーティーと合同で依頼をうけ、現場で犯行に至ったりしていた。誘拐された女性を助けても、『どうせ、散々輪姦されてるんだ、オレ達が増えても大して変わらんだろう』と、そのままでは開放しなかった。
「そして、貴方がそれを隠蔽してたんですね?」
グルの職員にも【隷属】を掛けていたのでスラスラと白状した。他に関係者が居ない事を確認すると、春菜は共犯の職員に手をかざすと、一瞬股間を抑え唸り声をあげた。直ぐに平常の感じに戻った。【鑑定】しても特に変わった様子はなかったが、
「前立腺を壊疽させたからね、排尿専用になったわ!」
春菜はニッコリ。
「あっちの4人はそのまま?」
「模擬戦でノビた時に処置済みだよ。」
冬実もニッコリ。夏果も頷いていた。
「ちょっとよろしいかしら?」
秋穂は対戦相手の、見える所だけをヒール、勿論処置済み。コイツが主犯らしい。癒着等の諸事情で処罰出来ずに困っていて、本来ならちょん切られる筈なので、まぁ妥当なお仕置きだろう。手続きを済ませて宿に帰った。
こんにちは、グレープヒヤシンスです。
年末で完結予定です、もうしばらくお付き合いいただけると嬉しいです!