表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

115/131

反乱調査

 宿を発って街を離れると、1台の馬車が一定の距離で付いて来ている事に気がついた。その気になれば追い付ける速度と距離なので、忘れ物のお知らせとかって事は無いだろう。

 カーブで視界が遮られたタイミングで速度を上げた。次のカーブまで後方に、怪しい馬車は見えず、そのまま高速で脇道に入り、結界で隠れた。

 怪しい馬車は、結界に気付かず、猛スピードで通過していった。少し間を取って再スタート。ランチにしようと思った頃、前方にさっきの馬車。追跡を諦めたのか、追い越しに気付いたのか、路肩に停まっていた。

「あぁ、やっぱり、風呂場で転がってた奴らだ!」

冬馬はそう言うと、結界でガード。そのまま通過しようとしたが、

「お前ら、団長になんかしただろ?!、おとなしく戻したら、痛い目に合わなくて澄むようにしてやる!」

団長って昨日の司会者?【発情】のスキル持ってたヤツ?無視しても粘着されそうなので、【隷属】をかけてから、交渉に乗ってみた。

 団長(・・)がいるので、ナントカ団なんだろう。『北道舞遊団(ぶゆうだん)』各地を移動して踊りを披露する集団との事。

 以前は彼らも剣の舞を披露していたそうだが、今の団長が来てからは、女性の舞を、セクシー路線に変更。嫌がる踊り子は、【発情】で精神崩壊させ、セックス依存症にしてステージに上げたそうだ。昼間見たのは一応、衣装を着ていたが、夜は完全にストリップになるとの事。セクシーステージの前座のようになり、当初は反発していたが、セクシー路線で収入は激増、昼間はダラダラしてるか、ステージのあとに、個別でサービスした分の売上回収。夜は酒を飲んで、【発情】が効きすぎた踊り子を抱いて落ち着かせる。

「大した仕事もしないで喰って、飲んで、抱いての生活は天国だぜ、わずかなおひねりでやっと喰っていた頃と比べると月とスッポンで、踊り子には常時部分的に【発情】が掛かってるから抱きたいときに好きなだけ抱けるんだぜ。」

 色々聞くと、踊り子達を救済したいところだが、ミッションの最中なので残念ながら、構っていられない。スキルを奪ったので、踊り子達の束縛は出来なくなることを伝え、団長を切り捨て、元の路線を勧めてみた。戻って相談するそうだ。


 舞遊団の3人とはそこで別れ、本来の目的で南へ向かった。

「面白そうなこと言ってたよね!部分的に【発情】ってさ、どこの部分かって決まってるよね?」

冬馬は楽しそうにワタシの肩を叩くので、決まっている(・・・・・・)部分に掛けて見ると、冬馬だけじゃなくワタシにも掛かってしまった。

「ゴメンね、加減が解らなくて。上手く使えば、直ぐに臨戦態勢になったり、インターバルを縮めたり出来そうだね!」

なるほどと言いながら、馬車を停めて貰い、結界で個室を作って、一瞬で洗濯物になってしまった下着を履き替えた。少し呼吸を整えてから馬車に戻った。


 その後も順調に進んだ。昼間は馬車を飛ばし、毎晩宿に泊まれるように調整。夜は【発情】が活用出来るように研究。ひかりモードの分体達がアシスタントを務めている。意識をリンクして見ると、かなり上達し実用に耐えうるレベルになっていた。リンクを切るタイミングを逸し、【発情】で増幅された幸せの波が、4連になり4重になり、意識を失ってしまった。目覚めてから謝ったが、

「ひかりが楽しめたんなら、それが一番!」

お咎めなしだった。


 いよいよに枚蘭に到着。街に入る手前で、弟達は妻達になった。秋穂は

「騎士の皆さんに情報貰うには、こっちの方が便利なのよね!」

と、準備万端。

 先ずはギルドに行って、ネズミウサギの情報を集める、次いでに目ぼしい依頼が無いかもチェック。ウサギネズミの生息地に自生する薬草採取の依頼があったので請けてから山に向かった。


 ギルドに出入りする冒険者や、街の人達からは危機を感じさせるような事は見当たらない。謀反を企てているのが誰なのかも解らないので迂闊に尋ねるわけにも行かず、取り敢えずネズミウサギに集中することにした。

 毛皮を使うので、傷を最小限にする必要がある。雷土系で感電死させるのがベスト。全員が風系統をマスターしたので、丘を取り巻いて電気柵のように包囲、頂上に追い詰めて一網打尽。依頼の30匹は軽くクリア。通常なら一日10匹で御の字って感じなので、3日間狩っていたと言っても不思議じゃ無いので、2日間、フリーの時間を得た事になる。ついでに請けた薬草もしっかりゲット。

 ギルドに戻って薬草を納品、妻達は男性職員を捕まえて世間話。しばらくすると、秋穂がやって来て、

「次、行くわよ。」

冒険者が屯する酒場に繰り出した。想定内の事だったので、子供達も大人に変身済み。

【鑑定】が使える様になった妻達は、運ばれたグラスの中を調べ、薬物は勿論、極端に強い酒なんかを検知して、浄化しながら飲んでいる。鼻の下を伸ばしきった男達が正直不快だが、高嶺の花オーラを纏って、滅多におさわりは無いが偶に現れる勇者は、バチンと腕を弾かれていた。

 ディアン達にも男達が群がっていた。騒ぎになっていないので、まぁ問題ないのかな?なんて思っていたら、何故かスムーズに情報を聞き出していた。

 早目に切り上げても、しつこく引き留める人も居なかった。

「今日は変に絡んで来るヤツとか居なかったね。」

「アレね!」

【媚薬】と【隷属】を極々弱く掛けていたそうだ。酒場を出でから、魔法を解くと、中が急に騒がしくなった。


 宿に帰って情報を整理する。噂の域は越えないが、南方の異国と手を組んで北道を倒す計画が進んでいるらしい。その他色々聞いたが、信憑性や、関連性で上手く纏まらないので、さらなる情報収集をしていくことにして、布団に入った。二部屋でワタシは子供達と一緒、お隣は妻達が使う。布団に入ってお喋り。酒場では殆どがナンパだったが、意外と色々情報を仕入れていて、金属採取の依頼が急増中、鍛冶屋さんが城に呼び出されて帰って来ないので、武器のメンテナンスが出来ずに困っているそうだ。単純に考えて、戦力強化策だろう。


 何事も無く朝を迎えて、街を散策した。井戸端会議に耳を澄ましたり、値切り交渉しながら、街の様子を確認した。鍛冶屋さんの他には特に変わった様子は無い。保存食が他の街より2、3割高いのと、テントや寝袋等のキャンプグッズがかなりの品薄状態だったのがちょっと気になる位。戦に備えて、領主が買い占めての影響かも知れないが、普段の様子が解らないので比較が出来ない。


 夜は、猫になって、連絡が途絶えている、塾生の家を調査する。窓から覗くと部屋は荒らされていた。鍵は掛かって居らず、簡単に侵入に成功した。荒らされていたのは、机の周りだけで、普通の空き巣なら絶対に見逃さない現金が残されていた。机の様子から、何か必要な書類を探して持出したと思われる。現状はそのままに、そっと部屋を出た。


 翌朝、もう一度塾生の家を訪れる。遠くから様子を見ていると、彼の家の前に騎士隊が3人、若い女性が何か真剣にアピールしている。そっと近付いて影に潜って会話を確かめた。

 女性は塾生・稲川氏の彼女さんのようだ。失踪した彼の捜索を頼んでいるが、事件性がないとの理由で却下、彼女が食い下がっている感じだった。

「これ以上、我々の邪魔をするのなら、落ち着くまで牢で頭を冷して貰うことになりますよ。」

きつい口調で言い払うと、さっさと馬に跨った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ