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仙術入門

 さて、旅立ったひかりは、船旅の時の流れに対応出来ず、時間を持て余していた。船酔いに悩まされる事もなく、ただ海を眺め、食っちゃ寝。船室では魔法を試すのも制限されるので、分体を1人だけ出す練習をしていた。何度も失敗して、何回か目に4人出た所で日が変わっていた事に気付いた。

 そういえば、妻達がお持ち帰りしても、分体に魔法を掛けた事は一度も無かった。自分自身に抱かれるなんて妙な感覚だけど、他にすることも無いので、分体達に魔法で光樹(・・)を作った。既に使い熟しているように、4人とも臨戦態勢になっていた。ツボを熟知した攻めであっという間に理性を失っていた。思うままに揺れ、光菜との1ラウンドを終えた。光果は夏果と同じく後ろからの攻めだった。最高の瞬間を迎える様子が、妻達に魔法を掛けた時を良く再現していた。光穂に跨がって揺れる。最高の瞬間には表情までがリアルなので、もしや?光実の時は感覚をリンクした状態で試してみた。

 分体達に付けた光樹(・・)は、妻達に付けた時と同じように感覚があり、刺激に反応し、最高の瞬間を迎えて萎むようだ。自分の悦びと、リンクした悦びの相乗効果で失神してしまったらしい。


 気を失うと、分体は消えてしまう。独りで乱れた姿で目覚めた。人目に触れずに済んだことに胸を撫で下ろした。

 昼間は無難な魔法の練習をして過ごし、夜は分体達の光樹(・・)で実験。分体の感覚がよく判るよう、感覚のリンクを解いて、光実を咥えて1ラウンド。間違いなく妻達と同じ機能だった。光菜から一回り。ひかりとしての悦びを満喫して、分体を回収してから眠りについた。個室だから問題ないけど、密航者扱いされそうだから、人前に出る訳にもいかないので要注意。


 大明の港、青林(あおばやし)に到着。入国の手続きをして、港の近くに宿をとった。乗ってきた船に手紙を頼もうとしたが、この後は南方に向うそうで、次に北道に向かうのは別の船との事で、手紙は港の職員に託した。


 大明の街は、少し現代風。5階建て位の建物のがあったり、魔力灯が街中で輝いていた。電柱や電線が無いので、ここでも電気は使われていないようだ。自動車も見当たらず、馬車が闊歩している。

 宿では、分体を出してちょっと実験。ワタシが掛けた妻達や分体はちゃんと機能する光樹(・・)が出来るが、自分に掛けた時はカタチだけ。分体は同じ魔法を妻達に掛けて成功しているので、ワタシに掛けて貰うとどうなるか試してみる。

 結界で遮音、魔法を試した。出来上がるまでの過程は特に変わりはない。出来上がった光樹(・・)は、いつもと変わらなかった。折角なので、一巡だけ揺れあって、早目に眠りについた。

 街を楽しむのは後回しにして、仙術の道場がある山に向かう。乗り合いの馬車を乗り継ぐこと3日間、やっと道場の門の前に立った。

 門の中に直ぐ建物が有るのではなく、登山口って感じだった。踏み固めただけの険しい道が延々と続き、夕方、暗くなってきた頃には『3合目』の立て札がある物置みたいな小屋に到着。道場は8合目にあるので、まだまだ半分にも達していない。水もトイレも無いが、宿泊場所らしい。

 ポーチから保存食と寝袋を出す。結界を張れば立派な山小屋に格上げになる。流石に分体を呼んでお楽しみって気にはならないので、おとなしく寝袋に包まった。

 翌朝は、朝日と共に目覚め、どんどん登る。暗くなってくると、魔力灯が目立ってきた。ようやく道場に辿り着いたようだ。

 塀が回っていて、中には簡単に入れるが、建物の中には入れない。中には人の気配は感じられ無い。色々調べると、結界で惑わされているのに気付き、見つけた御札を剥がすと、塀も建物も消えてしまった。代わりに、更に登る山道が現れた。


 真っ暗になった頃、また魔力灯が、光っていた。今度はホンモノのようで、門に近付くと、中からお爺さんが出迎えてくれた。

「女人禁制のこの山、結界で拒んでいたはずだが?」

「あっ、実は・・・、」

魔法で変身して戻れなくなっている事、仙力が極端に弱く、それが原因かも知れないので、ここでの修行を薦められた事を説明した。

「ほう、どなたの推薦で?」

雪の結晶の札を見せて、

「国王の特別顧問の工藤様です。」

「それでは追返す訳にはいきませんね。まぁ、そうですね、体験入門と言うことにしておきましょう。ただ、弟子達が目のやり場に困らぬような物に着替えてもらうと助かります。」

「はい、それでしたら!」

結果で更衣室を作り、工藤さんに聞いていた、道着に着替えた。サラシをきつく巻いて、膨らみを目立たなくして、髪も引っ詰めて、男ウケの要素を最小限にして結界を解いた。

「・・|それはそれで、艶か・・・んんんー」

ボソボソと言いかけて咳払い。通常の新人が入る大部屋では無く、客間をあてがってくれて、細かいことは、明日にしてそのまま布団に寝転がると、瞬間で眠ったらしく、朝日に起こされるまでの間、爆睡だったらしい。


 特に修行の内容は聞いていなかったが、外の広場に集まっているので、真似てみる。修行中、山を下りる事があるのかどうかは解らないが少なくても、頻繁に下りはしないだろう。

「・・・女だよな・・・?」

ゴソゴソとワタシを値踏みしている様子だった。

 兄弟子かなアスリート風のおじさんが台に登って、ラジオ体操風の柔軟体操を始めた。2人で組んでのストレッチになったので近くの中学を出たばかりっぽい男の子を誘った、戸惑ってはいたが、組んでくれて、背中合わせに腕を組んで交互に背負い合った。気持ち良く背骨が伸び、

「ぁン!」

思わず漏れた吐息が思ったより声になっていて、背中の下の男の子は、

「ヒィっ!!」

妙な声と共に鼻血を出していた。女人禁制の山で暮らす思春期の男の子には刺激が強すぎたようだ。


 昨夜のお爺さんが師匠で大明の仙術のナンバーワンの夏目さん。台に登って指導していたおじさんは、弟子頭というそうで、兼任コーチって感じかな?正明さん。ヒョロっと背が高くて、如何にも真面目そうな志郎さん、太っていて道着の襟元をガン見する敏之さんの4人がワタシの修行に付き合ってくれるらしい。

「若い奴らが、魔が差してノゾキとかしないように、僕が見張るから、お風呂の時は声掛けてね!」

もしそんな事になったら容疑者筆頭になりそうな敏之さんが両手を取って間を詰めて来た。咄嗟にコピーと入れ替わって、師匠の背中に隠れた。

「浄化魔法で済ませますから大丈夫ですよ、お気遣いありがとうございます。」

敏之さんは、人型に切った紙を摘んで目を丸くしていた。


 ワタシの仙力は、一見皆無だけど、沢山の要素が打ち消し合った状態なので、ちょっと整理をすれば軽く平均はオーバーするらしい。何かの加減で上手く揃うと魔力との相乗効果がうまれる。もしかしたら、変身した時には整っていたが、変身がきっかけで乱れたのかも知れない。

 畳敷きの部屋で、坐禅の雰囲気で座る。志郎さんが額に手のひらをかざし何か呪文を唱えた。魔力枯渇の時に回復剤を飲んだ時に似た爽快感。

「こんなに見事な乱れは初めてです。今日は一日、安静にしていて下さい。出来れば客間で過ごして頂くのが最良です。」

言われた通り、部屋でゴロゴロ。昼、おやつ、夕食は、一緒にストレッチをした子が運んでくれた。長旅と登山の疲れはまだ取り切れていなかったので、丁度良い休息になり、しっかり早寝して明日からの修行に備えた。 

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