第三話・穢れた真紅は異形と共に
ちょっと遅れました、しかも少し短い
「オイオイマジかよ…人が化け物になっちまった、まさかさっき撃った奴も元々は人だったわけか?」
そんな軽口を叩きながらも、フギンは銃口を少女であった異形に向ける。
周囲にはもう人はいない、異形に恐れをなして逃げ出したのだろう。
この場所にはもはや異形とフギンのみが存在している。
少しばかりの静寂ののち、フギンは引き金に指をかけ、発砲した。
一撃、放たれた弾丸は異形の頭部を穿ち…粉砕した。
異形は地に伏し、やがて動きを止めた、絶命したのだろう、少し前までは普通の日常を送っていたであろう少女であった者は、今となっては腐りはてた肉塊である。
「ハぁ…なんたってこんなことになっちまったんだ。」
フギンは自らの不幸を嘆くように、自らが終わらせたものを慈しむように、目の前に横たわる二体の肉塊に所持していたライターを使い火をつけた。
「この調子じゃあ弔いをしてくれる人なんていないだろうからなぁ、お前たちの命脈を絶ったものとして俺が弔わせてもらう。」
そういうとフギンは踵を返し、自らの城へと帰ろうと足を踏み出す、すると何かが軽く足にぶつかる。
ふと気になり足元を見ると、そこには小さなロケットペンダントが落ちていた、最初の騒ぎで誰かが落としたのだろうか、深く考えずペンダントを拾う、するとロケットの金具が壊れているのだろうか、ロケットが開きかけている、少し気になり、中を見る。
そこには一枚の写真、写真は家族写真のようであり、幸せそうな夫婦と娘と思わしき少女が写っている、少女の顔には見覚えがある、先ほど異形へと変異し、自らがとどめをさしたあの少女で間違いない、察するに、このペンダントは少女のものなのだろう、ふと、母親と思わしき人物の胸に美しい真紅のブローチがついていることにフギンは気が付く。
そしてフギンは苦虫を嚙み潰すような表情をし、ロケットを閉じ、足早に帰路をたどるのであった。
~ゆがんだままで生きるのと、ゆがみを嫌い死すること、どちらが正しいかは分からないが、今回は死することが救済となったのかもしれない~
来週は土曜日に出します