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螺旋階段

作者: 工藤まなみ

今日もサービス残業……ブラックだわーこの仕事。何が白衣天使だあ~! 仕事はブラックだぞー!


気づけばもうこんな時間。お腹が空いた。テイクアウトして家でご飯食べようかな、とお店を探した。


そこで、ボロボロで今時こんなお店あるんだ。と覗くとおじいさんが1人丼を抱え込んで何かを食べていた。……違うお店を探そうとそのお店の角を曲がって螺旋階段を上る。


するとさっき見たお店がここからだと、違うお店になって見える! 凄く賑わっていて明るい…

ええーっ! どういう事? 私は今上って来た螺旋階段を下りる。

そして、あの店を見る…やっぱりボロボロよね? また螺旋階段を上がる…ここから見えるお店は賑わっていて明るい…疲れが溜まっているなー‥‥‥。今度はゆっくり螺旋階段を下りる。お店を見ると…やっぱりボロボロ…気になったから入ってみますか。

入ってしまった…そこでさっき見たおじいさんがまだお店にいた。

「あのー…」

と声を掛けてみた。


「このお店あの階段から見ると別のお店に見えるのだけど…それって私だけそう見えているのかな~何て変な事を言ってすみません。お食事中に」


「そうか、あんたにはそう見えたかね、昔はここも賑わっていたからなあ」

 …言っている意味が解らない…


「ここは何が食べれるんですか?」


「何でもあるよ、だけどここは予約制なんだよ」


‥‥‥‥‥‥帰ろう。


「ちょっと待ってくれ、お嬢さん」

 とおじいさんに呼び止められた。


「電話してやるから、今何が食べたい?」


「それじゃあ! かつ丼が食べたいです!」


「よっしゃ」

 と何処かに電話をかける…電話の向こう側からは賑やかな声が聞えてくる。


「予約したから行っておいで」

 ‥‥‥よく解らないけど? と外に出て角の螺旋階段を上がる。そこにはあの時ここから見えた賑やかなお店があった…。入っていいのかな? 結構お客さんいるけど‥‥‥えい! ドアを開ける。

「あのー予約した工藤ですが…」


「ああー! かつ丼のお客さんだね、出来てるよ! そこに座って待っててよ」


ええーー…出来てるんだ…。


「はい! お待ちどう」


あら! 美味しそう! 食べてみた。これは! 美味しい…。食べたーはあ…美味しかった…。私は会計を済ませてお店を出る。値段も安くてビックリ。良いお店見つけたわー。そして螺旋階段を下りる。やっぱりぼろぼろだわこのお店…でもさっきのお店は美味しかったなあ…


あのおじいさん、まだ居る。お礼を言った方がいいよね。混んでいたお店に直ぐ入れたし、注文した物も出来ていたのだから、

「あのーさっきはありがとうございました。美味しかったです」


「そりゃあ良かった」


「あの店の電話番号教えてもらえますか? また行きたいです」


「それは、構わないが…今度来る時にこの店があるかどうか解らないよ」


「この店? あのさっき電話してくれていたあの店の電話番号が知りたいんです」


おじいさんは黙ってメモに電話番号を書いてくれた。


「ありがとうございました」

さあ帰ろう。そしてまたあの店に行こう。今度は友達を連れて来よう。


私は仕事が忙しくてあのお店の事を忘れていた。


今日も忙しかった‥‥‥。もうこんな時間…そうだ! あの店に行こう。とメモを探すが見つからない。

そっか! あの場所に行けば教えてもらえるかも。私はあの店を探す…あれ? 確かこの辺りだったはず…螺旋階段が無い…何処にも無い…確かに方向音痴だけど…建物がないって…螺旋階段、螺旋階段…やっぱり見つからない…諦めよう。近くのお店に入って食事を済ませた。会計をする為に財布を出す。と、メモがひらりと落ちる。もう、やだなあ、私ったらここにあるじゃない。とそれを拾う。会計を済ませた。その後私のメモを見たお店の人が

「その番号ここの店ですね」


ええーー? 私が驚いた顔をしていたからなのか、


「はい」

とお店の名刺を貰った。ほんとだ。この番号だ。


その店員さんに聞いてみた。

「螺旋階段のあるお店って知っていますか?」

「さあ? 知らないですね。この辺に螺旋階段がある建物はないですよ」


「ありがとうございましたー」


‥‥‥。そんな‥‥‥その後はどうやって帰って来たのか覚えていない。もういいや! 寝よう!


夢の中…。ここって? あった! 螺旋階段。とお店を覗く。凄く賑わっていて明るい…何だろう

夢ってわかっているのに、ドアは開いている。入ろう。沢山のお客さんがいる。


そこに、あの時会ったおじいさんがいた。声を掛けようとするけど声が出ない。

でも…楽しそうに笑っている。


「今日も親子丼かい?」


「ああ! 宜しく」


そうか…あの時食べていたのは、親子丼だったんだ。


どうやら、私の姿は見えていない様だ。他のお客さん達は私をすり抜けて行く。私の身体…透明だ。

これでは、誰も気が付かないよね。そこで、あのおじいさんと目が合った。


「おや! あの時のお嬢さんじゃないか」

「おじいさんには私が見えるんですか?」

「何言ってるんだ? 見えてるから喋っているんだぞ、まあ座んなさい。またかつ丼かい?」


「どうなんでしょう?」

「俺が解る訳ないだろう? あんたが食べたい物なんだ、俺が食うんじゃないからなあ」

「そうですよね」

 ワッハッハーと豪快に笑う。おじいさん。


「せっかく来たんだ食ってけよ」

「ここって予約制なんですよね」

「頼んであるよ」


「えっ? でもさっき…」


「はい! お待たせ!」

とテーブルにあの時食べたかつ丼が置かれる


「ほら、遠慮せずに食ってけよ」


夢なんだし、まあいいかあ!

「それじゃあ、いただきます!」

美味しい! …食べてしまった。

「美味しかったです」


「そりゃあ良かった」

嬉しそうに笑顔で言う


うん? あれ? 何だかおじいさんの姿が消えていく。あれ? 私の姿も消えかけている‥‥‥。


「これから、あんたに良い出会いが待っているよ。しっかりつかむんだよ」

そう言って消えてしまった。


スマホのアラームが鳴る。目が覚めた。


やっぱり夢だよね…いやにリアルだったなあ。今日も仕事だ、頑張るかあ!気合を入れないと起きれない。今日は早番だから、早くいかないと。準備をして出る。


バスもう来てる! ダメだ間に合わない‥‥‥。まあ次でもいいか。仕事には間に会うし。


「ああ~間に合わなかったー」


と大きなため息を吐く男性。私と一緒だ。何だかその残念な顔を見ていたら、私もさっき同じ顔をしていたんだと思うと思わずぷっと笑ってしまった。わっ失礼だよね。


「すみません、笑ってしまって。私も同じなんです。だから、つい‥‥‥」

「そうなんですね。こんなに早い時間にお仕事ですか?」

「今日は早い時間からの仕事なんです。余裕持って出たはずなんですが、バス、間に合いませんでした」


そして、次のバスが来てバスに乗る。結局降りるまで話をしていた。

「今日は良かったら夜一緒に食事なんてどうですか?」


えっとこれって…。

「迷惑ですよね。急に」

「いいえ…それなら美味しいお店を知っているんですよ。ここです」

と、あのお店の名刺を見せる

「…知ってますよ、そこ美味しいですよね。それじゃあ19時に待ち合わせしましょうか?」

「はい!」


では、また。と言ってバスを降りて行く。やったー! なかなかのイケメンさんに誘われた! 今日はこれで頑張れる! ‥‥‥


間に合った…時間ギリギリだ。お店に入る。とあの男性が待っていた。

「すみません! お待たせして!」

「大丈夫ですよ。俺も今来た所だから」


「ここの親子丼美味しいですよね!」

「そうそう!」


楽しく2人で食べた。

「美味しそうに食べるんですね」

やだ! そんなにがっついて食べてたかな? 恥ずかしい…

 

会計をしようと財布を出すと

「会計は済んでいるから、いいですよ」

「それじゃあ。お言葉に甘えて。御馳走様でした」

「嬉しいですよ。美味しいって言ってくれて」


にっこり笑う男性、やっぱりイケメンだわ。

「ここの店、俺の店でもあるんですよ」


ここって、そこそこ大きなビルなんですけど…

「このビルのオーナーなんです」

なんと! こんな事って…

(しっかりつかむんだよ)

これの事ですか?おじいさん‥‥‥。


黒森 冬炎 様企画の螺旋企画参加作品です。アンサーストーリー希望です!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 不思議なお店と螺旋階段、私もこんなところに行きたいです。 おじいさんの食べていた親子丼、主人公が食べたカツ丼、どっちも食べたいです! そして最後に良き出会いがあったのですね✨ お幸せにーー…
[良い点] ∀・)なんだろ?不思議な空間に入った感じのお話でした(笑)でも面白いね。この……え?何この作品?ってなる感じが。螺旋階段が作る妙を楽しませて頂きました☆ [気になる点] ∀・)工藤さんが主…
[一言] かつ丼を美味しそうに食べる女の子って、とても可愛いと思います( ˘ω˘ ) ほっこりするお話をありがとうござました♪
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