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プロローグ

空から降り続く雨粒が傘をたたく、走る車から巻き上げられる水しぶき。

昨日、天気予報で梅雨入りが発表されてから1日中降り続ける雨はジメジメと体にまとわりつく。

学校からの帰り道1人で濡れた道を歩き続ける。

周りにも下校途中の生徒がいるなか僕は1人雨粒が落ちる道を見つめながら歩く。

今日までの苦痛の日々は去り明日にはまぶしい光が迎えに来てくれる。

下校途中にはいつも通る歩道橋があった。もうかなり古くはなっていて元の色は剥げ落ち、錆だらけになっている。

階段を上がり歩道橋の真ん中ほどに来たときに携帯が鳴った。

普段かかってくることがない相手だったので不思議に思いながら立ち止まって通話ボタンを押す。

「もしもし、どうした?電話なんて珍しい。」

「……。信じられないと思うけど、今電話があって、優ちゃんが死んだって。マンションから飛び降りて自殺した。」

雨足が強まってスニーカーの中まで雨水が染み込んできていた。

電話で言われたことの意味がわからずに僕は混乱する。

「なんの冗談だよ。さすがに俺でも怒るぞ。」

「こんな冗談いうわけないだろ。死んだんだよ本当に。」

「……。そんな。」

それ以上言葉が出なかった。

車の音、打ち付ける雨、人の声、全ての音が聞こえなくなり、傘を落としてその場に崩れ落ちる。通りすぎる人々は皆怪訝な目を向けながら歩き続ける。

体を濡らす雨に成すすべもなく世界の全ての色を流されていくようだった。

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