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イチョウとハニーキャラメル  作者: 合森万
冬を探してイチョウ
1/8

前編



 何も特別でない土曜日の朝が、小鳥のさえずりとともにやってくる。自動車やスクーターのエンジン音や、時折強く吹く風に揺れる雨戸。もぞもぞと毛布から顔を出して、カーテンを見やれば、空いた隙間から陽光が儚く差し込んでいる。


 せっかくの休日なのだから、まだもう少し寝ていても誰も文句は言わないはずだ。


 再び毛布の中に顔をうずめれば、途端に眠気があたしをおそってくる。二度寝は成功すれば気持ちがいいが、下手に脳が覚めてしまうと苦痛と化す。けれど今回はうまく眠りにつけそうだ。



 うとうととし始め、身体がふわっと軽くなった感じがする。意識がぼうっと海底へ沈み込む不確かな浮遊感に身をゆだねた直後だった。



「す・ず・きぃ!」



 ひとの名前を呼ぶどでかい声が、海底へ沈むイメージを膨らませていたあたしの邪魔をした。思わずぱっと目を開いてしまう。嫌な予感しかしなかった。



 声は家の外から聞こえてくる。今も「おーい!」とか「起きろ!」とか「すずき!」とか、近所迷惑になることなんて知ったことではないと言いたげな大声が、止むことなく繰り返される。こうなっては放っておくわけにもいかず、あたしは唸りながら毛布を蹴飛ばした。布団から出てすぐさまカーテンを開け放つ。陽光がもろに目に飛び込み、反射的に顔を逸らした。


 気持ちのいい朝なわけがない。


 憎らしい太陽を正面に目を眇め、あたしは窓を開けた。



「あ、起きた」と、まぬけな声が眼下から聞こえてくる。見下ろせば、門扉の向こうで少し色の抜けたバードツインテールがキラリと一瞬光るのを見て取った。



 あたしはついイラッとしてそいつを睨む。しかし、そいつは意に介すどころか、睨まれていることにも気づいていないようで、こちらに向けて、「おーい!」と叫びながら大きく両手を振ってくる。大した距離でもないのに。


 あたしは額に握り拳を当てて、気のせいかもしれない偏頭痛に意識を向けた。横髪の毛先が窓枠に寄りかかる。朝から疲れる。



「チャイムを鳴らしなよ、チャイムを」



 気怠い口調で言うと、そいつは両手で作ったグーとパーで、ポンッと、なるほどの仕草をした。


 門扉を開けて玄関まで進み出るのを眺めていると、真下に来たそいつの姿が家の壁に隠れてしまい見えなくなる。直後に家中にインターホンの音が鳴り響いた。



 あたしは嘆息する。


「なんてアホな子なんだ……」と。



 時機に階下から母の声が聞こえてきた。本当に今しがた来訪を知ったような口調で、「くるみちゃんが来たわよー」と言うので、部屋に上がってもらうようにと応えると、間髪入れずに階段を上る足音がしてくる。くるみはすでに家に上がり込んでいたようだ。遠慮も何もない。



 挨拶もなく顔を出したそいつは、あたしを見るなり、


「冬を探しに行くよ!」


 と元気よく言った。起きたばかりの脳にはうるさすぎる声だ。どこかに人間用の音量調整ボタンは売っていないだろうか。



「はぁ? 冬?」



 率直な疑問を口にするが、そいつから明確な返答はなく、早速話が脱線していた。



「あ、久々に見たー。すずきのパジャマ姿」



 そこで、あたしの耳はピクリと反応した。こいつのあたしの呼び方に、わずかな拒絶反応が起こったからだ。



「その『すずき』っていう言い方やめてくんない」


「えー、どうして?」


「名字っぽくて嫌だから」


「なんでー? かわいいのに」



 恥ずかしげもなくそいつは言った。本当に可愛いと思うなら、四百字くらいでその理由を述べてほしいところだ。


 少し変わっている、と自分で言うのはなんだけど、あたしの下の名前は鈴季で、ちょっとどころか普通に名字っぽい。上の名前はちゃんと他にあって、家族からは「スズ」と呼ばれているが、省略して呼ぶくらいなら初めからそれだけでよかったろうにと不満がある。


 目の前のこいつには、くるみなんていう可愛らしい名前があって羨ましい。幼い見た目であるからか、名前負けしていないのは認めている。性格や言動に難ありではあるけれど。



 それはさておき、話を元に戻す。こいつはさっきなんて言ったんだっけ。



「えっと……、あ、そうだ、冬を探しに行くよ!」



 一瞬自分でも忘れてしまったようだった。



「冬を探しに、って――いまは秋真っ只中じゃない」


「だからこそだよ! 冬はもうそこ。顔を出しはじめてる」



 まったく考えが読めない。


 昔からこいつはそうだ。気がつくと奇異な行動であたしを驚かせる。名前も知らない芋虫を手に持って見せてきたり(もちろん悲鳴を上げて驚いた)、公園で穴を掘って地下水を見つけようとしたり(片足を穴に取られて挫いた。痛かった)、大きな木にぶら下がってぼうっとしていたり(なぜかあたしも近所の人に危ないと怒られた)。あたしと違って人当たりはいいから人間関係で苦労はしていないようだけど、これで無口なら、いよいよあたしでも近寄りたくはなくなってくる。


 いや、本当はあまり仲良くしたいとは思ってない。幼馴染みなんていうステータスがなければ、今頃あたしたちは赤の他人のはずだった。



 部屋のドアがノックされ、内側に開かれる木板のあいだから母が姿を現した。持っているこげ茶のお盆の上にはオレンジジュースが入ったグラスが二つ。小さな陶製の皿にはほんの気持ちばかりのお菓子が載っていた。



「あらー、スズまだパジャマのままなの?」



 甘ったるい母の声が、部屋に染みた。それだけで少し顔をしかめてしまう。特別母と仲が悪かったり、ケンカしているわけではないけれど、自分の部屋に親がいるということに拒否感を持ってしまったからだと思われる。


 それにしても、ノックをしたのになぜ返事を待たないのか。とくにやましいことはしていないから気にするほどでもないけれど、こういった細かいことが気になってしまう。



「あ! ママさん、おはよー。今日もかわいいねえ」


「あらあら、くるみちゃんったら褒め上手ねー。スズの分のお菓子も食べていいからね」


「やったー!」


「なんでそうなる……」


 というか、さっきあいさつしたんじゃなかったの。



 お盆が机に置かれると、くるみは早々にお菓子に手を出していた。まあ、起きてすぐにお菓子を食べるのもなんなので譲ってやらんこともない。


 母は満足そうに笑みを浮かべると、「くるみちゃん、ゆっくりしていってねー」と間延びする語尾を置いて、さっさと部屋をあとにした。母のことを、たまに抜けているな、と思うことがあるけれど、そういう気遣いはちゃんと大人なんだと改めて気づかされる。


 陽気に返事をしたくるみは、すでにお菓子の袋を二つ開けていた。どうやら本当にあたしの分まで食べる腹積もりらしかった。



「いいお母さんだね」


「ほどほどにね」


「ところで、なんの話してたんだっけ?」


「冬を探すとかなんとか」


「ああ」



 くるみは両手のグーとパーで、ポンッと――。その仕草ってそんな簡単に出るものなの。



「ふぉんばぁあ、いくぅお」


「食べてから話しなよ……」



 オレンジジュースのグラスを渡すと、くるみは勢いよく飲み干した。透明になったグラスがお盆の上へ置かれる。このまま居座らせたら、うちの冷蔵庫にあるオレンジジュースを片っ端から空にしてしまうかもしれない。危惧したあたしは腹をくくって外出を選ぶことにした。



 外を見やる。空は雲一つない快晴ではあるけれど、気温はどれほどか、わかったものではない。ましてや、ただのティーシャツに裾を折り曲げたデニムスキニーというこいつの服装は当てにはならない。


 十月中旬から下旬にかけての気温ってどんなんだったかなと考えつつ、あたしはクローゼットから老竹色のマウンテンパーカーを取り出した。それとマフラーも忘れずに。



 さて着替えようとしたところで視界にくるみの姿が映り込む。パーカーとマフラーを持ちながらそちらを見つめていると、自然と目が合った。


 交わる視線は数十秒そのままで、先に首を傾げたのはくるみの方だった。


 いやいやいや、と空気の読めない彼女に頭を抱えてしまう。いくら幼馴染みだからって、下着姿を見せ合えるほどの関係性ではないだろうに。では関係性が深まれば見せ合えるのか、と訊かれても、いやそれも違うとしか答えられない。


 まあ、どうせ気にするほどの繊細さはお互いに持ち合わせていないし、と考え直して、若干抵抗はあったけれど、あたしはパジャマを脱ぐのだった。



 ふと、くるみを見てみると、いつの間にか彼女の視線は窓の外に向いていた。なんとなしに安心感を覚える。こいつなりの考えがあっての行動なのかはわからない。



 着替え終え、声をかけると、跳ねるような反応があった。



「お、寒がり!」



 からかうような声に、こっちは冷静に応える。



「大人なんだよ、こっちは」



 そのあと数瞬の間があって、あたしは、ん? となった。意味が通じなかったのかと思っていると、くるみはわざとらしくまばたきを繰り返す。



「あー、そっか。そうだね、そうだよ」



 うんうんとうなずいている。頭の中で何か、合点がいったようだった。



「そんじゃあ行こう! 冬を探しに!」



 握り拳を天に突き上げて、快活な笑顔がぱっと華やぐ。鼻歌混じりに部屋を出ていくそいつの無邪気な後ろ姿に、あたしは思わず微笑んだ。




 外はやっぱり寒かった。自分の体感ではあるけれど。


 上着のポケットにぐっと手を押し込むと、隣を歩くくるみに、「えー、そんなに?」と疑いの目で見られた。



「いいでしょ別に。……それで、どこ行くつもり?」


「北!」


「キタ?」


「そう北。冬は北風に乗ってくるものだから」


「北ね。なるほど」


 と言いつつも、あまりにも抽象的だなと呆れる。



 街を練り歩くのは途方もないし、どこかいい目的地でもないかと考え、自分の意見を口にする。



「とりあえずあの公園まで行けば道中なんか見つかるか」


「お! いいね、あの公園! 行こう行こう!」



 早速歩き出したくるみの後ろを、あたしはのろのろ追った。



 あの公園とは、あたしの家から北へ徒歩二、三十分ほどの所にある自然豊かな中規模の公園だ。住宅地よりも高い場所にあるその公園は、絶景とは間違っても言えないがそれなりに街並みを眺望できる。周囲はマテバシイというどんぐりを実らせる常緑樹に囲われ、奥に続く細道を進むと、小山の登山口に行き当たる。小学生の時なんかは教育の一貫で、一日かけての山登りなど、行事の集合場所として利用したことがあった。そのせいか、遊具などの設備は何もなく、街がある方に設けられたベンチ二つに、汚い公衆トイレに併設された自販機があるだけの、なんとも貧相な造りになっている。なので、休日でも人の姿はなかなか見られないし、あたしたちのイメージでは「寂しい場所」になってしまっている。


 ただ、いつだったか、夜中にその公園で人影を見た、なんていう噂が学校中に広まり、ちょっとした怪談話になりかけたことがあった。あたしはとくに興味をそそられなかったけれど。



 平坦なアスファルトを進んでいく。前を行くくるみの歩は浮くように軽やかだ。小さなツインテールが嬉しそうにぴょこぴょこと跳ねている。


 日が昇って四、五時間ほど経つけれど、どっからそんな元気が出てくるのか、こいつを見ていると不思議でならない。それに、あたしより背が小さいはずなのに歩幅がやけに大きいし。


 くるみの鼻歌が知っている曲に変わった。誰にでもわかるポップで懐かしい曲が、あたしの耳に小さく届いてくる。目的もなく歩いている時にはピッタリだと思うのは、過去にそんな経験があったからだろうか。



 こういう暢気なところも、他人から無駄な警戒心を持たれない、彼女のいい部分であるとたまに思う。


 幼馴染みだからか、こいつなりの気遣いかは知らないけれど、学校ではあまりうまくいっていないあたしにも、さして変わらぬ態度で接してくれている。


 さっきも、めんどくさがりを自負するあたしに、わざわざ声をかけて外出を促してくれた。不思議なことに、誘われることを不快に思わなかったのは、きっと、彼女の能天気さがいい方向に働いていたからなんだと思うわけで。


 人によってちょうどいい距離感といものがあって、それをくるみは理解できている。自ら身を引くことができることには、普通に好感が持てる。あたしはきっと、こいつのこういうところに触れていなければダメな人間になっていたと思うから、直接言いはしないけど、少しだけ感謝しているところもあった。



 なんだかんだ言って、あたしはこいつと一緒にいる時間は嫌いではないのかもしれない。ただ、絶対に必要かと考えると、冷静な自分がそうでもないなと大きくうなずいている。



 そんなわけで、思いついたら吉日の性分にふさわしいくるみに、なんらかのちょっとした変化があるとつい気になってしまうのは、そんな冷静な、冷淡な自分がいるからなんだろう。


「数瞬の間」っていうのは、こいつにはふさわしくないのだ。



 風にそよぐくるみのティーシャツの裾が目に入った。その後ろ姿に声をかける。



「そいえば、絵の調子はどうなの?」



 ただの世間話。そんな風に訊いてみる。



「あー……」と口を開けたまま、言葉が喉につっかえるみたいに、たどたどしくくるみは続けた。


「いまは描いてない……」


「へー。なんで?」


「……さぁ?」



 これかぁ、とあたしのなかで腑に落ちる。お茶を濁すのにも、得手不得手があるらしい。



 たとえば明るさ満点とか、ポジティブシンキングとか、表現方法はいろいろあるけれど、実はこいつのそれは表面だけの、言わば塗装みたいなものだ。加えて意外に脆く、時間が経ったり、刺激を与えると思ったよりも簡単に剥がれ落ちてしまう。


 きっと、なかにはいるはずだ。他人よりも感受性が高くて思い込みすぎてしまう質の人が。


 それが、こいつにもあてはまる。簡単に言ってしまえば、浮き沈みが激しい。気分の切り替えが0か100か。


 思ったよりもネガティブなんだ、と初めて今のこいつを見た人はそう思うだろう。あたしですら初めて気がついたときは驚いた。


 しかし、そんな一面がなんの役にも立っていないかというと、そんなこともない。こいつが描く絵、特に風景画に関しては、素人のあたしでも目を見張るものがある。コンクールでも上位の結果を残す実力者だけはあって、やはりクセも強く、一筋縄ではいかない気質も大いにあった。


 そんな時に、うまくフォローすることができる人間が近くにいてあげればいいのだけれど、あいにく、あたしにはそんな力はない。普通の性能しか持っていない凡人が、一歩踏み出そうとする足場の余地はそこにはないから。


 だから気がついても、あたしには見て見ぬふりしかできない。



「お、見えてきたよ、すずき!」



 物思いにふけっていると、くるみの声にハッとする。顔を上げると、あの公園の全貌が見えてきた。たまにこいつに連れられて来たことはあったが、それでも少し懐かしいなと感じてしまう。



「ねぇ、競争しない?」



 しみじみとしていたところに、突然の提案が飛び込んできて、あたしは顔をしかめた。



「は? 競争?」



 訝しんだ直後、くるみの「よーい、ドォン!」という迷いのない高らかな声が響き、彼女の身体はぐんっと前に進み出た。見る間に背中が遠のく。



「え、ちょっと」



 あわてて追いかけるが、どうにも日頃の怠けのせいで身体が思うように動かない。


 走っている途中で肺に痛みを覚え、とうとう追いつくことができなかったあたしは、ハアハアしながら公園に続く上り坂までなんとかやってきた。心なしかぼやける視界の中に、くるみの姿が映し出される。一本の木を見上げたまま、彼女は突っ立っていた。


 膝に手をあて、息切れしながら訊いた。



「どうしたの……」


「これさぁ、秋って感じだよね」



 視線を追って見上げると、そこには濃い影を下ろすイチョウの木があった。



 思わず息をのむ。


 冴えわたる空の青に、浮かび上がる鬱金色の葉。日常の風情にはない、どこか異様なオーラを放つイチョウの木に気を取られ、一瞬呼吸を忘れそうになる。



「こんなおっきかったんだ……」



 感嘆の声をもらしたくるみに、あたしも同意した。



 同じ時期ではないけれど、公園に来た時は必ず目につくはずなのに、いま見ているこの木にはこれまで感じたことのない気後れするほどの存在感があった。


 木の上の方からひらひらと葉が舞い落ちてくる。くるみは、器用にキャッチした扇型のそれの柄をつまんで、くるくる翻して観察していた。



「ぎんなんが落ちてないってことは、この木はオスかな」


「さぁ。詳しくないから知らない」


「……そっか」



 どこか物憂げな瞳が、イチョウの葉と線で結ばれている。


 くるみのツインテールを揺らす風が、地面に落ちている葉を転がした。同じ風に乗って、手の中にあった葉が緩やかに下降する。静かな空の下、あたしたちは風のあとを目で追っていた。



「幸先よくない? こんなにすごいイチョウが見られるなんて」



 穏やかなくるみの声に、あたしは小さくうなずいた。



「探してるものとは、ほど遠いけどね」


「でも希望が持てるでしょ」


「どっちかと言ったら望み薄なんじゃない?」



 えぇー、と納得できない顔になったくるみは、負けじと気合を入れるように、また声のボリュームを上げた。



「思えば見つかる! 次行こ、次!」



 イチョウの木に向かって突き上げられたくるみの拳に、ちょっと強引すぎじゃないですか? とあたしは思うのだった。




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