02. かわいい百合の育て方
①
『10月~11月ごろ、鉢の土中深くに球根を植えます。深植えすることによって、土全体に根を張らせることが重要です』
私は、どこにでもいる田舎の普通の女子大生だ。
どこにでもいる普通の大学生だから、その例にもれず、勉強よりもバイトや恋にかまけてしまって、今日だってバイト5連勤の真っただ中(かまけすぎか……?)。
ただ、ちょっとだけ普通から外れてることがあるとするなら、私の恋愛対象が女子……つまり、私がレズビアンってことかな。
でも、言っちゃアレだけど多分私、レズの中でも結構恵まれてる方のレズだと思う。だって、高校1年で自分にその気があることに気づいてから今まで、1か月以上恋人が途切れたことがないんだもん。なんていうか私、「自分の仲間」を見つける嗅覚が鋭いっていうか。初対面の人でもちょっと話しているうちに、「あ、この人レズだな」って気づいちゃうんだよね。
で、そういう人って結構愛に飢えてたりするから、私がちょっと誘ったりするとすぐに「そういう関係」になれちゃったりするってわけ(あれ、これってもしかして感じ悪い?)。
まあ、そうやって付き合えても結局長続きしなくて、全部すぐに別れちゃってるんだけどね……。
とにかく、そんなわけで。
現在も私は郊外のホームセンターのバイト先で先輩社員さんと付き合ってて、バイト終わりとかにその人としょっちゅうゴニョゴニョしたりしてるっていうことなのでした(あ、さすがに5連勤で5日連続はヤラないよ? 多分ね……)。
そんな私だけど(いや、どんな私だよ……)、この頃ちょっとバイト中に楽しみにしてることがある。それは、このホームセンターにやってくる、あるお客さんに会えることだ。
束縛が異常に強くて最近ちょっとウンザリ気味の例の社員さんとか、がっついてて汚くて臭いだけの同僚の男子バイトたちに飽き飽きしている私にとっての、ちょっとした清涼剤的存在。会えただけでその日一日を楽しく過ごせるような、私の最上級ラッキーパーソン……。
「あの、すいません……」
「はーい、どうしましたー? って、あー、この前のお客さーん!」
ちょうどそのとき、店内で品出しをしていた途中で話しかけてくれたのが、そのお客さんだった。
「あら、まあ。あなたは先週の……」
「えー、私のこと覚えててくれたんですかー? うれしー!」
シミ一つない純白のワンピースの奥には、隠しきれないほど豊満でセクシーな体。そのくせ、その上にはケガレを知らない清純そのものって感じの上品な顔が乗っかっていて、まるで童話の世界の女神様? あるいは、白金台でトイプードルかなんかを散歩させてるのがお似合いの、セレブ感はんぱないオネーサマって感じ?
こんな田舎のホームセンターには不釣り合いすぎるこのお客さんに会えるのが、最近の私の一番の楽しみだったんだ。
「この前はありがとう。とても助かったわ」
「いえいえ! ペット用品とか園芸コーナーとか、自分が興味がある場所をたまたま覚えてたってだけですから! 全然、全然大したことないですから!」
「でも、すごいわ。わたしはこんなにたくさん物があるなかから、目当ての物を見つけることなんてできないもの」
「いやー! ただ物が多いってだけで、9割以上は使い物にならないゴミみたいな物ですから! お客さんみたいな上品な人はこんな店じゃなく、銀座とかそっち系の一流ブランド店とかのほうが、探してるもの見つかるんじゃないっすかー?」
「うふふ……」
ついつい浮かれて大声でそう言ってしまってから、視界の奥の方でレジスタッフと目が合った。
自分としては事実なのだから別にいいじゃんと思うのだけど、さすがにそこからは声を抑えるようにする。
「そ、それで、今日は、何を探してるんです?」
「何か、植物でも育ててみようと思って……例えば、百合とか」
「え? ユリって、花の百合ですか?」
聞いてから、我ながら間抜けな質問だと思って恥ずかしくなる。
「ええ。確か、今頃が植え時だったから……うふふ」
でもそんな私を気にせずに、そのオネーサマは美しい笑顔を向けてくれた。
その顔を見ただけで、私の気持ちはホームセンターの高い天井を突き抜けてしまいそうなほどに舞い上がってしまう。
「じゃ、じゃあ、園芸コーナーですね! ご案内しますっ!」
「ええ、お願いするわ」
自分の顔が真っ赤になってる確信があって、そこから先はそのお客さんの方を見ることができなかった。
本当に、それくらいにそのお客さんは美人だったんだ。
しかもただ美人なだけじゃなく、他人を引きつけるような不思議な魅力を持った女性だ。だから、私が案内した園芸コーナーで球根や土やゴム手袋を選んでいる間も、老若男女問わず、周囲の視線を釘付けにしてた。
しかもしかも……実は前回会ったときから私の嗅覚は気づいてたんだけど、多分この人は、「私の仲間」なんだよね。だから、私がついつい舞い上がっちゃうのも仕方ないわけで……。
それだけに、彼女の左手薬指にリングがはめられているのは、とても残念なことだった。
②
『3月~4月ごろになると、少しずつ新芽が顔を出します。2週間に1回程度肥料を加えて、生長を促してあげます』
それからも、彼女は2週間に1回くらいは私のバイト先に訪れては、また園芸用の培養土やその他の用具なんかを買ってくれるようになった。しかも不思議なことに、彼女はうちで何か買うときは決まって、一緒に大量のお菓子を買っていくんだ。それがあまりにも続くものだから、ある日、私は尋ねてみた。
「それにしても、毎回買っていくこのお菓子は、誰用なんですか? 近所で子供会でも開いてるんですか?」
「え?」
彼女は突然の質問に驚いたみたいだけど、すぐに笑顔になって答えてくれた(私たちはそのころには、ある程度ならプライベートな質問もできるくらいの仲になっていた)。
「いいえ。わたしは、あまりそういう行事ごとには参加していなくて……本当は、でなくちゃいけないとはわかっているのだけれど」
「あ、そうなんですか」
むしろ、こんなセレブ美人が、この辺の田舎の子供会とか町内会とかに参加している方がおかしいだろう。私はそれは特に気にならなかった。
「じゃあ、お客さんのお子さんが食べるんですね? 結構な量ですけど……お子さんは何人いらっしゃるんですか?」
「……うふふ。それも違うわ。わたしは、子供はいませんから」
「え……」
そこで、ショッピングカートいっぱいのお菓子に目を落として、私は少し考える。それから、
「じゃあ、旦那さんが食べるんですか?」
と聞いてみる。
「いいえ。うちの夫は、食事はすべて外食で済ませてしまうので……」
「そ、それじゃあ……それじゃあ……」
残った可能性は、1つだ。
でも、私にはどうしてもその可能性が信じられず、そのお菓子の山と、そのお客さんを交互に見てしまう。すると、彼女はだんだんと恥ずかしそうに顔をうつむかせて、頬を赤らめ始めた。
え? え? え?
こ、このお菓子の山を、この、清楚で上品な女性が? 1人で?
ギャップ萌えっていうか、なんていうか……。
頭の中で、彼女が「うみゃい棒」を上品にほおばる姿が……「ラッコのマーチ」を1個ずつつまんで、プリントされた柄に一喜一憂する姿が……「じゃがりっ子」を食べた後、指についた塩分をなめる姿が、妄想として再生される。
か、かわええ……。
赤くなっている彼女に悪くて、深くつっこむことはできなかったけど。
でも、そんな彼女の意外な一面を知れば知るほど、私の中で彼女の存在が大きくなっていくのを感じていた。
今思えば、そのころにはもう、私は彼女のことを愛おしく思うようになっていたのかもしれない。
③
『日陰を好む種類の場合は、風通しのいい直射日光が当たらない場所においてあげてください』
春というには遅すぎて、初夏というにはまだ気が早いような、5月のよく晴れた暑い日。
バイトを休んだ私は、大学の友達と男女3:3で、近くの山にハイキングに来た。
っていうとなんだか「年中遊び惚けてるリア充大学生かよ、あー、いやだいやだ」って感じかもしれないけど……。実際の私の心は、そんなに楽しいものでもなかった。そもそもレズの私は、こんな、いかにもな合コンイベントみたいなのに参加しても全然楽しくない。そんなのやるくらいなら、バイトしてた方があのお客さんに出会える可能性があって、百倍楽しい。(ちなみに、バイト先の社員の人とはもう結構前に別れた。私が彼女に飽き始めてたのが気に入らなかったらしくて向こうからフってきたんで、こっちも頭にきて、本部にあることないことチクってやったら、次の日からいなくなってた。どうも、北海道だかどこだかの支店に飛ばされちゃったらしい。ウケる)
でもなんか、男の方の1人に、私のこと好きな人がいるらしくて。私が来ないとその人も来てくれなくて、この企画そのものがポシャっちゃうらしくて。これを企画した友達に「来てくれるだけでいいから! あなたは何もしなくてもいいから! お願い!」って言われちゃったから、仕方なく来ていたんだ。一応、友達の顔は立ててあげたいし。
で。
「来てくれるだけでいい」って言われたから、とりあえず集合時間に集合場所の登山口駅には集まってみたものの、そのあとめんどくさくなっちゃって……トイレに行く振りして、逃げ出してきたっていう……。
いや、分かってるよ? これじゃあどっちみち友達の顔丸つぶれだし、そもそも来ない方がよかったとか、そういうことはね。でもさ、私こんな感じで大勢でつるむのとか、ぶっちゃけ苦手なんだよね。どっちかっていうと私、孤高が好きな日陰者なんですよ。
そんなわけで。私は今、携帯の電源を切って、線路沿いの道を歩いていた。
集合場所になっていた駅で電車待ってたら、さっきの友達たち(もう友達じゃなくなるかもだけど)と鉢合わせしちゃいそうだったから、1つ隣の駅までは歩こうと思ったんだ。
そしてそんなときに、なんとあの彼女に出会ってしまった。
「あら、奇遇ね」
「え……」
歩道を歩いている私の隣に、1台のセダンが止まる。半分下りた助手席のスモークガラスから見える運転席には、あのセレブなお客さんが座っていた。
「どこまでいくの? 送っていきましょうか?」
私は無言でうなづいて、助手席に座った。
それからの車内でのことは、あんまり覚えていない。
あまりにもうれしくて夢のような時間だったから、頭がぼおーっとして記憶が曖昧だったんだ。別に、何か特別なことがあったわけでもなんでもなく、本当に家に送ってもらっただけ。車内でも、バイト先の延長の世間話をしてただけなのに。
その中でもかろうじて私の記憶に残っているのは、彼女は来週知人と一緒にするキャンプの下見をしにきたということ(そういえば、彼女は先週うちのバイト先でブルーシートやクーラーボックスを買っていた)。それから、私がどうしてあそこを歩いているのか話したときに、彼女が言ってくれたことだった。
「別に、あなたはおかしくないと思うわ。わたしも、あまり大勢の人がいるところは苦手だもの」
彼女は友達を裏切った私のことを責めたりせず、いつもと同じ安らかな笑顔で肯定してくれた。
「わたしとあなた、少し似ているのかもしれないわね……」
「え、そ、そんな私なんて、全然……」
「わたしたちはただ、一番好きな人と一緒に、静かに平和に暮らしたいだけなのよね……。それ以外は、何もいらない……。でも、この世界では、それが一番難しいのかもしれないわ……。うまくいかないものね……」
「……え、ええ」
彼女がどんな意味を込めてその言葉を言ったのかは、私なんかには分からなかった。でも、寂しそうにほほ笑む彼女の横顔を見ていると、とてもそれを否定することなんてできなかった。
家の前まで送ってもらって、最後に彼女が運転席から手を振ってくれたとき。私は気づいてしまった。
彼女の左手の薬指から、以前ははめられていたはずのリングがなくなっていることに。
その瞬間、私の決意は固まった。
④
『害虫は注意深く予防し、見つけたらすぐに殺虫剤などで対策してください。愛情をもって育ててあげれば、6月ごろには、美しい花を咲かせてくれるでしょう』
夏休みも近づいて、周囲が少しずつ浮つき始めているころ。
私はとうとう、「あの日」に固めた決意を行動に移した。
きっかけはその日、あのお客さんがバイト先にやってきて、痴漢撃退スプレーを買ったことだ。
その珍しい買い物が気になって話しかけた私は、最近彼女が夜道を付け回されたり、郵便物を抜き取られたりといった、ストーキングの被害を受けているらしいことを知った。それで、「1人で帰るのは危険ですから、家まで送ります! ちょうど、もうすぐバイトが上がりの時間なので!」となかば乱暴に彼女を説得して、一緒に帰る約束を取り付けることに成功したのだった(実際には上がり時間までにはまだ3時間以上あったけれど、勝手に帰ってしまった。多分、もうあのバイトには戻れないだろう。でも、別に構わない)。
この前送ってもらった車は、私を送ったあとに自損事故を起こして廃車にしてしまったらしくて、あれ以降乗っていないらしい。危なっかしいと思う一方で、そういう意外とおっちょこちょいなところも最高にチャーミングだと思った。
そのときの私はもう、彼女のすべてが愛おしかったんだ。
彼女が醸し出す悲哀を帯びた雰囲気が、彼女が発する湿り気のある言葉が、彼女からあふれ出る色気のあるたたずまいが。彼女のすべてが、私をひきつけて離さなかった。私は、彼女の虜になっていたんだ。
だから私はその日に、「一線」を超えるつもりだった。
お客とバイトという立場を超えて、かけがえのない存在に……彼女が言っていた「一番好きな人」同士になるつもりだった。なれると、信じて疑っていなかった。
こんな素晴らしい彼女を捨てた元夫の代わりに……いや、それ以上の存在として、私なら、きっと彼女を満足させることができる。彼女も、私を求めてくれている。そんな、確信があったんだ。
帰り道では、私たちはあまり多くはしゃべらなかった。
やがて、私たちは彼女の家の前に到着した。
「今日はありがとうね。それじゃあ、ここで……」
そういって手を振ろうとする彼女を、私は呼び止める。
「あ、あの……」
「……何かしら?」
そこは、閑静な住宅街の中の、何の変哲もない一軒家だ。中には誰もいないから、当然電気はついてなく、薄暗い。1人暮らしにしては大きすぎるけど、かつて旦那さんと2人で住んでいたときは、ちょうどよかったのかもしれない。彼女が廃車にしてしまったためか、1台分の車庫には何も置かれていない。
彼女の家に向けていた視線を動かして、彼女自身を真剣に見つめる。そして、静かに言った。
「きょ……今日、おうちに寄ってもいいですか?」
「あら、どうして?」
そういって、不敵にほほ笑む彼女。
その瞬間、私は渾身の誘いをかわされて、パニックになってしまった。
だってこれまで、ここまで言ってすんなり家に入れてくれなかった人なんて、いなかったんだ。
さっきの言葉で、私の気持ちはもう十分彼女に届いているはずだし、彼女のほうでも、私のことは気に入ってくれていると思っていた。だから、こっちから切り出せば、絶対に受け入れてくれると思っていたんだ。
想定外の事態に慌てながら、それでも何とか先につながる言葉を口からひねりだす。
「ワ……ワンちゃん! あ、あの、ペットのワンちゃんを、見せてもらう約束してませんでしたっけ⁉ せ、せっかくだからそれ、今日、どうかなーって……!」
でも……。
「うふふ……」
彼女はまたさっきの笑みを浮かべてから、
「あら……うちに犬はいないわよ。わたし、今までペットを飼ったことがないの。誰か、別の人の約束と勘違いしてるんじゃあないかしら?」
と言った。
もうその瞬間に、私の混乱はピークに達していた。
せっかく、ここまで来たのに! もう少しで、彼女の家に入れる! そうすれば、彼女と一緒になれる! そう思ってたのに! まさか、こんなところでつまづくなんて! ああ、もうこうなったら強引に彼女を引っ張って家の中に……って、それじゃあただの変態だし! ああー、どうしたらいいんだよー! 彼女だって、私のこと求めてくれるはずなのにー……!
頭の中の混乱が表面まで現れて、ものすごい顔をしていたと思う。
そんな、あまりにも滑稽に慌てている私を哀れんだのか、それから彼女は口元に手を当ててほほ笑むと、
「ごめんなさい。あまりにもあなたがかわいいものだから、イタズラしたくなってしまったのよ。……どうぞ」
と言った。そして家のドアを開け、私を招き入れてくれてたんだ。
「へ……?」
い、いいの……? い、いいんだよね……?
突然開かれた夢の世界へと、一歩一歩、足を踏み入れていく私。
電気のついていない薄暗い玄関がまるで、この世の素晴らしいものすべてを寄せ集めた、天国のように見えた。
こ、これで、私、彼女と……この、女神のようにきれいな人と、一晩一緒に……。
そこで私は、首元にチクリと痛みを感じた気がした。
でも、そんな小さなことはいまさら気にならない。だって、私はこの人と……。
振り返ろうとして、そのまま体が斜めに傾いていくのに気付く。と同時に私が見る世界も、ゆっくりと斜めになっていく。でも、その角度を修正することはできなかった。修正したくても、体に力が入らないんだ。
まるで、本当に「天国」にでも行ってしまったみたいに気持ちいい状態のまま、全身の力が抜けて行って……。
そのまま私は、彼女の家の玄関に……倒れていた。
薄れゆく記憶のなかで、私は思い出した。
どうして私が、彼女が「ワンちゃんを飼っている」って思いこんでいたのか。
そうだ、彼女が初めてうちのバイト先に来た日、彼女がペット用品を買っていったからだ……。
あの、子犬用の首輪を……。
暗闇に目が慣れるのと、意識が遠のいて目の前がぼやけていくのがちょうど半々というところで……。
私の視界は、玄関奥の居間に小さな女の子がいるのを確認していた。その娘は、首にあの日の子犬用の首輪がはめられて、柱につながれていた。
「まったく……。この前尾行していた刑事といい、この娘といい……。どうして、わたしたちを放っておいてくれないのかしら? わたしはただ、一番好きなこの娘と、一緒にいたいだけなのに……」
それが、私の最期の記憶となった。
※
それからしばらく後。
郊外の住宅で、2人の男女の死体が見つかった。
1人は近隣の大学に通う女子大生で、住宅の玄関で、殺虫剤を濃縮したものを静脈注射されて毒殺されていた。もう1人の中年男性は、どこかで殺害させられたあと、腐敗臭を抑えるためにバスルームの浴槽に園芸用の土を敷き詰めて埋められていたようだ。その男性は県警の捜査一課に所属する巡査であり、去年の10月に発生した少女誘拐事件の捜査を担当していたことが分かっている。
先日、○○山で発見されたバラバラ死体の身元確認と合わせて、現在行方不明中の住人女性の捜索が進められている。