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ヴィランたちの後日譚「所長の日記」  作者: 名利 杏樹
xx18年 9月分
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xx18年 9月1日

9月1日

屋敷にきて1ヶ月がすぎた。

母から今どうしてるのかとメールが届いていたが、どう説明しよう?とりあえず、知り合いのところに泊めてもらって就活中と、前に伝えているがそろそろごまかし辛くなってきたかもしれない。

メールの確認だけ終わらせて、朝ごはんを食べにキッチンに向かうとティムがエプロン姿でごはんを作っていた。

「まだ、できないからこれでも読んで待っていてくれ。」

と、どこから取り出したのか新聞を渡してきた。新聞なんてテレビ欄しか読んで来なかったので興味がないのだが時間つぶしに言われた通りにした。


新聞の科学欄にロボット工学の権威としてある博士が載っていた。「エディ・ルークス博士。ローベル科学賞 受賞!」と書かれた記事には昔の科学戦争に大きく貢献したあのトーマス・ルークス博士の子孫が最年少で受賞したと書いてあった。

何の気なしに私よりこういった博士に修理頼んだ方がいいんじゃない?というとティムはピタッと動きを止め、ギギギと本当に音を立てながら

「あいつに頼るなんて絶対ごめんだ!」

とつぶやいていた。どうやら知り合いらしいが非常に仲は悪いらしいのでこの話題はすぐに打ち切った。


ティムが作ってくれた朝ごはんのあと、バタバタとワルドーがエプロンを抱えてキッチンに走ってきた。やっと強制スリープが解除されたらしい。既に食べ終えている私たちを見つけがっくりうなだれていた。あまりに残念そうなので晩ごはんはワルドーに任せることにし、せっかく皆がそろったので昨日復元させたラークの設計図を見せた。

見せてからしばらく2人は動きを止めてひたすら設計図を注視していた。なにか間違っていたかなと不安になり始めたころ、ワルドーがポツリと

「1人で復元したのか?」

と尋ねてきたので、正直に私とラボで復元したことを伝えた。

なんでそんなことを聞かれたのかはわからないが、設計図の方は問題ないとのことなので明日から各々部品の調達をすることになった。


私は街でコード類の調達になったが、パーツ全部を集めるには1ヶ月以上かかりそうなのでラボと話してラークのスペアボディを準備することにし、とりあえずミニチュア版の機体を屋敷にあるパーツでなんとかすることにした。

2人には内緒でびっくりさせようとスペアボディのことは黙っておくことにした。



ちなみに晩ごはんはやたら気合いが入ってそうなビーフシチューだった。すごく美味しかったよワルドー。

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