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ヴィランたちの後日譚「所長の日記」  作者: 名利 杏樹
xx18年 10月分
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xx18年 10月10日

10月10日


エクエスの機体に使う精密パーツが何とか用意できたので、朝からエクエスの機体に組み込んでいると明らかにテンションが低いアティが手伝いを申し出てくれた。あまりの低さに思わずどうしたのか尋ねると、


「いえ、そんな・・・かなり個人的にショッキングな事実を知ってしまっただけです。お気になさらないでください。」


とかなりテンションの低い声で言われた。ロボットも気分で声色変わるんだなと感心してしまったが、何となく可哀想に思えてきたので、無理せず休んでいいよ、と伝えたみたところ、


「いえ、可能なら何か機械をいじらせて下さい。心のオアシスを失った今せめて機械いじりをしていないと漏電しそうで・・・」


と元気のない声で言われた後、


「邪魔は! しませんので! どうか自分に!! 何かいじらせて下さい!!!」


といきなり距離を縮められものすごく至近距離で懇願された。ロボットも情緒不安定になるんだと感心してしまったが、本日の作業は精密パーツを組み立てるだけで、あと1、2個組み込むだけだった。とりあえずその1、2個分はアティにやってもらったが案の定すぐ終了。またすぐいじけてしまっていた。あまりの様子になんて声をかけていいかわからずにいるとアティはボソッと、


「あぁ、いっそ修理されず壊れたままだったなら・・・」


なんて言っていた。そしてその瞬間作業用のロボットアームが目の前のアティを吹っ飛ばした。一瞬の出来事のはずだったのにやたらと吹っ飛ばされるシーンがスローモーションだったのがすごく印象に残っている。吹っ飛ばされたアティはそのままドアを突き破って廊下へ転がっていった。


「イッソ修理サレズ壊レタママ、ナラドウト? 所長ハワシラノ頼ミヲ聞イテ修理ヲ引キ受ケテクレタンジャゾ!!」


と鼓膜が破れそうな音量が屋敷に響き渡ったところで私は現実に戻された。騒ぎを聞きつけたティムとワルドーが何事かと駆けつけ、転がっているアティを回収してくれていたが、弟が吹っ飛ばされた割には淡々と回収して修理台に運んていた。そして、運び終わったワルドーから


「アーティレリーが何かしでかしたんだろうが、大丈夫だったか?」


と何故か私の方を心配して声をかけてくれた。視覚的にショックだったのは間違いないが怪我はないので大丈夫と伝え、念の為吹っ飛ばされたアティの検査で本日の作業は終了した。ちなみに吹っ飛ばされたアティは多少パーツが凹んでいたぐらいで済んでいた。

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