xx18年 10月1日 その3
10月1日 その3
「今回、君にお願いしようと思っとるのはこの2体。君たちが探しとる機体ではないかね?」
と、ロビルさんが置いた写真に写っていたのは迷彩柄のロボットと赤色のロボットだった。なんかどこかでみたことあるなぁ、と思いながら写真を眺めていると、
「人質のつもりか?」
とすべての感情を消した無機質な声でティムがロビルさんを見据えていた。
「そう思われても仕方がないかもしれんがね、『The Villain』を欲しがる不届き者に渡すわけにはいかんから見つけ次第、R.Mで預かっとるだけだ。Dr.Σの作った機体たちは修理も処分も出来んかったからね。もし、今回アンジェ君がこの2体の修理に成功したらR.Mで預かっとる『The Villain』機体は君たちに全て委ねるつもりだよ。うちで持っとっても保管しか出来んからね。」
と真っ直ぐティムに答える。さらに、
「逆に、アンジェ君がうちの依頼を断ったり、2体の修理が出来なかった場合はアンジェ君が所持している『The Villain』は全てR.Mが預からせて頂く。危険が及ぶ可能性がとても高いのは君たちも重々承知しているだろう。まだ、ギリギリ一般人のアンジェ君を巻き込むのもね。まぁ、君たちを修理できるほどの腕前を腐らしたくないってのが我輩の本音だね」
とこちらにウインクされた。すごく胡散臭そうだし、正直何が起こっているのか理解が追いついていなかったが、何となくR.Mからの依頼を断るともう修理出来なくなるってことだろうと理解した私はティムたちが何か言う前に、私のやり方で活動させて頂けるなら依頼を受けます、とロビルさんとレストレイドさんに伝えた。
後ろで安請け合いしていいのかとラークがつぶやいていた気がするが気にしないでおく。面倒事に巻き込まれた感はあるが、そもそもティムとの約束の時点で巻き込まれているようなもんだし、現状は楽しく修理出来ているから問題はない。
「君のやり方、というのがどんなものかすごく気になるがそれは今回の機体の修理で確認させてもらうとするよ。では改めて『Σ01-014 アーティレリー』及び『Σ01-015 エクエス』の修理を依頼させて頂くよ。修理後は、ロボット修理研究所で管理しておくれ、アンジェ君」
と、ロビルさんはこちらに腕を伸ばしてきた。私も腕を伸ばして握手をしながら、アンジェじゃなくて杏樹です、と訂正しておいた。ティムとレストレイドさんはまだ何か言いたそうにギアが鳴っていたがひとまず話し合いは終了した。




