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ヴィランたちの後日譚「所長の日記」  作者: 名利 杏樹
xx18年 9月分
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xx18年 9月16日

9月16日

昨日の修理に必要な小さなギアだが、現在どの工場でも生産していないことがわかった。おそらくそれで修理ができないと言われたんだろう。ただラボに聞いたらティムがこの前から少しずつ直してくれている研究室に必要なサイズのギアが作れる設備があるらしい。早速ティムに使えるかどうか確認をお願いした。

「設備に問題はない。材料さえあればすぐに作れる。」

と返事が返ってきたので、ラークように集めておいた予備パーツを溶かして小さなギアを製作。耐久度チェックで問題なかったパーツを持ってティム経由で連絡を取ってから再びハシバさんの工場へ向かった。


昨日と同じメンバーでハシバさんの工場を訪れると

「待ってましたよ!さぁこちらへどうぞ」

とわざわざ駐車場で待ってくれていたハシバさんにロボットのところへ案内された。


「ん? おう!アンタは昨日の嬢ちゃんか! ありがとな!おかげで今まで通り働けるぜ!!」

と!がたくさん付くくらい威勢の良い喋り方をして出迎えてくれたのは昨日応急処置をしたオヤカタさんだった。あれほど安静にと言っておいたのにバリバリ働いていた。

とりあえず、作業をやめてもらい昨日待機していた場所でパーツの付け替えを行なった。付け替え中他にもボロが来ている箇所が見つかった。ただ直せないほどではなかったのでギアの付け替えのついでに調整と修理も行なった。

結局半日かかってしまったが修理は無事成功。応急処置後以上に動かせるようになった腕にオヤカタさんはものすごく喜んでいた。そして同じくらいハシバさんも喜んでくれたみたいでオヤカタさんと肩を叩きあっていた。


「本当に助かりました!これでいつも通り仕事ができそうです。」

とハシバさんから何回もお礼を言われた後、こちらも挨拶を済ませ工場を去ろうとしたらまだ修理費を渡していないと引き止められた。そういえば仕事だったなと思い出したが料金をいくらにするか全く決めていなかったし、今度是非使ってくださいとハシバさんの工場で作っている自動車部品の交換券までいただいてしまったので、最初の一回はサービスします、と言って修理費は頂かなかった。横でティムが何か言いたそうにしていたがあえて無視した。


帰り際にティムがオヤカタさんに話かけられていた。ティムの背中を笑いながらバシバシ叩くオヤカタさんをみて随分仲が良さそうで良かったとなぜか我が子を見守る親のような気持ちになっていた。ただ解放されて返ってきたティムは少し疲れた様子で

「見ていたのなら止めてくれ。 背中が凹むかと思った。」

と文句言ってきた。


ちなみに屋敷へ戻ったあと、修理費のことをみんなに相談したらものすごく呆れられたあと、ラークから

「とりあえず、今の相場から料金の方考えておくよ。」

と言われた。

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