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おしりのあなのブルース

作者: 安西ケルピ

 ブルースの足音が聞こえる。ブルースはいつだって断りなくやってきて、おれの心をバラバラに引き裂こうとする。おれは泣いてしまうかも知れない。泣いている途中に屁をこいてしまうかも知れない。その屁がとてもくさかったとしたら、おれは泣き続ければいいのか。くせえ! と叫べばいいのか。


 ブルースが間もなくやってくる。おれの屁はさっきから止まる気配がない。TV取材のクルーがおれに熱い視線を送っている。どうやらあと三時間ほど屁が出続けると世界記録になるらしい。何も好きで屁を出し続けている訳じゃないのに、だ。この部屋はおれの屁の匂いが充満している。


 サブリナがおれをハメようとしていると噂で聞いた。だからおれはサブリナを逆にハメてやろうと思っている。リンダに足りないもの、おれに足りないもの。そいつは全部、バズが持っているらしい。でも、サブリナもバズもおれのように屁を出し続けてはいない。今、ブルースがおれの部屋のドアをノックした!


 ブルースがおれの体を押さえつけてブルースをおれのケツの穴にねじこもうとしている。おれは泣かない。ブルースがおれの体に入り込んでくる。おれは泣かない。ブルー、ブルー、ブルー、ブルースがおれを滅茶苦茶にして帰っていった。おれは泣かなかった。いつの間にか屁は止まっていた。TV取材のクルーが汚い言葉を吐きながら帰っていった。サブリナがトラックの内輪差に巻き込まれて死んだ。バズが売春婦と抱き合ったまま死んだ。サブリナとバズの息子のグレッグはおれが育てる事になった。


 グレッグはとてもおれになついている。でもグレッグがおれの事をパパと呼ぶかどうかはまだ解らない。その辺りはグレッグの判断に任せようと思う。グレッグはチョコミントのアイスクリームを美味そうに食べている。グレッグが幸せなら、おれはそれでいい。そこで初めておれは泣いた。泣きながら歌ったんだ。トラスティンミー、トラスティンミー……

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