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あなたの背中をおしてあげる

作者: 高光 亜季

どうぞ来世を夢見てください


世界は弱いひとに厳しいですね


ひとは頑張れる生き物です、と偉いひとは語るのです

もちろん私も頑張っていますとにこやかに笑います


あなたは風のように笑って

頑張ったけどどうにもならないと呟くのです


可哀想に


あなたは誰かに話すことさえ出来ないのですね


伝えるための言の葉さえないのですね


あの偉いひとは誰かに聞かせるために話すというのに


呟きじゃあ誰も聞いてくれない

伝えるための言の葉じゃなきゃ分からない


都合よくその呟きを拾ってくれるひとなんて

そんな都合よく現れやしないのです


世界はお伽噺のような夢に溢れていて

だけどあなたはその夢の世界にはいられない

遠目に見ることしか出来ない


夢の向こうにいる幸せなひとが言うのです


あなたが努力をしないから届かないのだと

努力が夢に触れるだけの形になったなら

あなたも此方にこれるのに

途中で諦めてしまうからダメなのだと


傷付きますね


あなたはまだ生きているのに


いったい何を基準に諦めたなどと囁くのでしょうか


世界で笑うひとたちはみんな幸せそうですね

あなたはこんなに苦しいと胸を掻き毟っているのに


あなたの側にいるひとはあなたに語りました


あなたの人生はあなただけのものじゃないと

その身体だって親のものだと

一人のものでないのだから、大切にしなければいけないと


ああ、ああ、ああ


なんて恐ろしい話でしょうか


なんて残酷な台詞でしょうか


ならばいったい何があなたのものだと言うのでしょう

何があなただけのものなのでしょう


ええ、そうです


あなたのものなどこの世界にはないのです

あなただけが抱えることのできるものなど存在さえしないのです


苦しみ違う世界に飛び出すことさえ

弱いものには赦されないのです


強いものは違う世界など求めさえしないのですから


世界は弱いものに残酷ですね


だけどわたくしは違います

わたくしだけはあなたをとめたり致しません


どうぞ新たな世界を探しに行って下さい


どうぞこのあなたにとって厳しく残酷な世界から

たったひとりで逃げ出してください


あなたはあなたのものでございましょう


あなたはあなたが自由にしていいのです


産みの恩などお忘れください

少しでもあたたかいと感じる記憶を砂にしてください


僭越ながらこのわたくしが




あなたの背中をおしてあげる


わたくしはあなたを応援致します。

ええ、だって世界は“あなた”に厳しい残酷ですから。


一読有難う御座いました。気軽に一言、評価などお願いします。

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